元王女が操りし二つのサイコロ(俺) 〜俺を振ると、出た目に応じたモンスター娘が現れる〜 作:人間 計
「蓋に指をかけて、プシュって開けるんだよ」
俺は、自らでやって見せた。
「なるほど」
アラネは俺の真似をし、同じことをした。そして俺とアラネはちゃぶ台のそばに座り、ハンバーガーを食しながら、晩酌する。
「あ、ポテトもあったかも」
俺は冷凍庫の中のポテトをチンして、アラネの前に出す。
「お酒ってやつ、飲んだことがなかったから、飲んでみたかったのよね」
アラネは嬉しそうに、そのビールを口に入れる。そして500mlのそれを一本丸々、一気に飲みきった。
「いい飲みっぷりですこと」
俺は、そう口にした。
「うふふふ、美味しいわ」
アラネは、微笑む。
「もう一本いきますか、ねぇさん」
「ええ、いただきたいわね」
アラネはえらくビールとやらを気に入ったようで、それを楽しそうに飲む。
この部屋には不思議なことが、一つある。この部屋の中で俺は昨日、ブリドラと遊んだ際に、チョコなどを食した。しかしそのチョコやらは今、元の状態に戻っているのだ。つまり、この部屋は出て戻ると全ての変化が消えて、元の状態に戻るらしい。だからアラネが恐ろしい勢いで飲みつくしているそのビールやらもきっと、明日になると元の状態に戻っているだろう。
「てか、強いすね、ねぇさん」
アラネは500mlの缶ビールを何本も空けているのに、全く酔っぱらている感じでもないのだ。
「そうなのかしらね? でも、これを飲むのは好きよ。楽しい気持ちになってくるから」
ポテトをつまみながら、笑みを見せるアラネ。
「それで、あなたは私を楽しませてくれるのよね?」
アラネはおもむろに、そう言葉を発した。
「まぁ、そうだね。俺と一緒にいてくれれば、君を退屈させないよ」
俺は、そう断言した。
「その根拠は?」
俺は、ドヤ顔を見せる。
「ない!!!! でも、俺を信じてくれ!!!!」
俺のその無責任ともとれる、というか無責任なその発言に対してアラネは、一層楽しそうに笑った。
「うふふふふふ、面白いわね。いいわ、あなたを信じてあげる。でも私を裏切ったら、許さないからね」
アラネがその顔を俺の眼前数cmまで持ってきて、微笑む。その甘い息が、俺の顔にかかった。
「あ、ああ、信じてくれ」
俺は少したじろぎながらも、そう断言する。
「あなたって、転生者なのよね?」
アラネは俺から顔を離し、そう問うた。
「あ、ああ、そうだね」
「転生者って私、初めて見たけど、みんなあなたみたいに、能天気なのかしら?」
「いいや、俺は、転生者の中でも群を抜いて、能天気な存在だ」
俺にはその自信が、とてもある。きっと俺以外の存在であればこの異世界で、もっと賢明に立ち回るだろう。
だがアラネは、ぼそりと告げる。
「うふふふ、この虹色のサイコロに転生したのが、あなたで良かったわ」
「ほんとに?」
俺はアラネのその言葉に対して、嬉しく感じた。
「うふふふふふふ、あなたみたいに面白くて、おもちゃにしがいのある存在はきっと、そう多くないわ」
アラネさんは、恐ろしいことをさらっとおっしゃる。
「さ、さようですか」
俺は、そう告げた。
「うふふふふ、そうそう」
そして俺達は、どんどんと酒を飲んでいった。
「わはははははは、楽しいなぁ」
「うふふふふふふ、そうねぇ」
笑い上戸の俺と、お酒を飲むと楽しい気分になるアラネの晩酌は、とても愉快なものだった。
冷蔵庫に入っていた枝豆などをつまみとして机の上に並べ、それをちびちびと食べながら酒を飲むという、俺達。
男にはある。お洒落に目覚め、高いお酒を買いあさって、インテリアとして部屋に置いてしまうという時期が。俺にはあった。
だから俺の部屋には、まぁまぁ高いワインやら日本酒やらが置かれている。その中でアラネはワインを好み、それを飲んでいる。
「わははははは」
笑い上戸の俺は、笑う。
「あなた、とても楽しそうね」
「そりゃあ、一緒にお酒を飲める友達ができたんだ。楽しいに決まってるだろ?」
俺はそう告げ、アラネも頷く。
「そうね、この虹色のサイコロの中に入って良かったわ。こんなに楽しいなんてね」
アラネも満足そうだ。まぁ、アラネはずっと一人で森の中にいたのだ。そのアラネにとっても、誰かと一緒にこうしてお酒を飲むというのは、楽しいだろう。
そして、それからもどんちゃん騒ぎは続き、時計を見ると、23時頃になっていた。
「よし、そろそろお風呂に入って寝ようか」
俺はそう告げ、お風呂に湯を張った。そしてまず俺から、お風呂に入った。
「出たよ~」
しばらくして風呂から出た俺は髪をタオルで拭きながら、ジャージ姿で、アラネに対してそう告げた。
「うふふふふ、ならそのお風呂とやらに、入らしてもらおうかしら」
アラネは立ち上がった。そして何を血迷ったか、自らの服の役割をしている茨を全て、取り去った。そのことにより美しい裸体が突如、俺の前に現れた。