元王女が操りし二つのサイコロ(俺) 〜俺を振ると、出た目に応じたモンスター娘が現れる〜   作:人間 計

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第二話:現れた珍獣

 シズクが俺こと虹色のサイコロを握り、プルプルとする。チワワかな? まぁ、いかつい頭三人衆に狙われているのだ。いたしかたない。

 

「へっへっへ、逃げられねぇぜ」

 

 いかつい頭三人衆が、シズクの方に歩いていく。

 

「待て、お前ら!!!! 俺が相手だ!!!!」

 

 俺は、叫ぶ。だがその声はいかつい頭三人衆には聞こえていないようであり、別に聞こえても聞こえなくてもどっちでもいいシズクだけが、霊体である俺の言葉に反応するかのように、俺の方をちらちらと見ていた。

 

(見ないでくれ。かっこいい言葉を発したのに相手に聞こえてすらいないっていう今の状況は、まぁまぁ恥ずいから)

 

 俺は、そんなことを思う。

 

「これを、見てください」

 

 シズクはそう告げ、虹色のサイコロをかざした。

 

「そ、それは……」

 

 いかつい頭三人衆は、驚愕の表情を作っている。なに? この世界ではサイコロ珍しいの?

 

 いかつい頭三人衆は愕然の表情のまま、言葉を発する。

 

「お前、それが何か分かってるのか? なぜそれをてめぇが持ってるのかは分からねぇが、それを振るとその出目に応じた、魔物が現れる。そして過去のそれの所有者は、そこから現れた魔物に、殺された。そんないわくつきのサイコロだろ?」

 

「説明センキュー」

 

 その声は俺とシズクにしか聞こえていないらしいが、俺はいかつい頭三人衆に対して、お礼を言った。

 

 てか、俺の転生した虹色のサイコロって、そんな危ない代物なのかよ。

 

 俺は、愕然とする。しょんべんちびりそうだぜ。

 

 だからこそシズクはそのサイコロを、振れないのだろう。

 

 振ることで魔物が現れ、いかつい頭三人衆を倒すことができるのかも知れないが、その魔物にシズクすらも殺されるリスクがあるらしい。

 

「うううううぅぅぅぅぅぅ」

 

 シズクは唇を噛んで、なんとも言えない表情をしている。

 

「はははははは、お前はそれを振れねぇよ」

 

 いかつい頭三人衆が笑う。その瞬間シズクが、その二つの虹色のサイコロを地面に落とした。

 

「な!!!!」

 

 いかつい頭三人衆が、顔をしかめる。

 

「私は貴方達に捕まるくらいなら、自らの命を賭してでも、戦います」

 

 シズクは、いい眼をしている。

 

 ふふふ、いいねぇ。凛々しいねぇちゃんだ。俺はそう思いながら、自らである虹色のサイコロを見る。

 

(何が出てくるのかは知らねぇが、シズクに味方してくれる魔物、出てくれよ?)

 

 俺は、そう思う。

 

 そして二つのサイコロは転がり、3と6の、計9の目を出した。

 

「現れる!!!! 封印されし魔物が!!!!」

 

 いかつい頭三人衆の一人が、そう叫ぶ。

 

「お願い、来て!! 私に味方してくれる、魔物よ!!」

 

 シズクが自らの胸の前で手を合わせ、祈りのポーズを取った。

 

 そしてその虹色のサイコロが、とある存在に姿を変えた。

 

「よ……よっす」

 

 虹色のサイコロから姿を現した俺はきょどりながら、そう告げた。

 

 そう、虹色のサイコロが姿を変えたのは、この俺だったのだ。

 

 元々霊体だった俺が、実体を持ったのだ。今その姿はいかつい頭三人衆にも見えてるし、相手に触れることもできる。

 

「あ、あなたが、虹色のサイコロの中に封印されている魔物だったのですね」

 

 シズクがその大きな目を一層大きくし、俺を見る。

 

「ああ、ここは任せろ」

 

 俺は凛々しい顔で、そう告げる。

 

 いかつい頭三人衆はこん棒のようなものを持っている。だが俺は、そんな奴らにひるまない。

 

「わはははははははははは、ひざまずけ、愚民共よ。魔王である、私が相手だ」

 

 俺は適当に、そう告げる。シズクはその膝を地面につけ、ひざまずくポーズをとっている。俺は思う。

 

(違う、君じゃない!!!! 君は逃げるんだ!!!!)

 

 ひざまずいてほしい存在であるいかつい頭三人衆は、俺に突進してくる。

 

(嘘だろ? 普通、急に現れた俺に臆して、尻尾を巻いて逃げるところだろ? どういう思考してたら今の流れで突進できるんだよ? IQハチミツか?)

 

 だがそ奴らは、現に突進してくる。

 

(ち、やるしかねぇか)

 

 俺は、覚悟を決める。もちろん魔王などではなく、普通のサラリーマンである俺。喧嘩なんてしたこともない。だが俺には、確信があった。転生した俺には何かしらの、素晴らしい力が宿っているであろうということの。

 

 だから俺は、いかつい頭三人衆と向かい合う。

 

 そして数秒後、ボロボロになって倒れていた……俺。

 

 何もできなかった。こん棒で頭をポカリと叩かれて、倒れてしまったというとてもかわいそうな俺。

 

「つ、強くない……」

 

 シズクが気を使ったのが、分かった。だって、"弱い"って言えばいいところを、"強くない"って言ってくれたんだもん。

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