元王女が操りし二つのサイコロ(俺) 〜俺を振ると、出た目に応じたモンスター娘が現れる〜   作:人間 計

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第三話:いつもの部屋

 俺は、倒れる。そして俺の姿が、透明になる。

 

「逃げろ……、悲しいが俺は、役に立たねぇようだ……」

 

 シズクは走り出した。俺を見限ったのだろう。

 

(ふふふ、いい判断だ)

 

 俺はそう思いながら、消えていった。

 

 

 

 

 

 目が覚めた、いつもの部屋で。

 

「なんだ、夢だったのか」

 

 俺は、そう口にした。俺が目を覚ましたのは、見覚えのあるしみったれた部屋だった。

 

 1DKの風呂トイレ別の部屋。田舎で家賃4万7000円。ゴキブリ、たまに出る。そんな部屋。

 

 俺は、電気をかちりと付けた。

 

「よっと」

 

 俺は、ベッドの下に手をやった。

 

「あったあった」

 

 テッテレー、俺は、隠していたエロ本を見つけた。一人暮らしなのだから隠す必要もないのだが、学生の頃の癖で、隠すようになったというそれ。俺はそれがあることでそこが、間違いなく自分の部屋であることを理解した。

 

 床に置かれているテレビゲーム、飲みかけで出しっぱなしのコーヒー牛乳。そんな生活感あふれる、俺の部屋。

 

 俺はコーヒー牛乳を手に取り、それを口に入れる。さらに、個包装のチョコ系のお菓子がある。それを一つ口に入れ、もう一つをスーツの内ポケットに入れる。さらに口に入れたそれを、コーヒー牛乳で流し込む。

 

「うん、美味い」

 

 コーヒー牛乳を飲んだ俺は、プハッという表情を見せた。

 

「良かった良かった、夢だったんだ。追われている少女は、いなかったんだなぁ。それは何よりだ」

 

 俺は、そう告げる。

 

「な~んちゃって」

 

 俺は、頭をポリポリとかいた。

 

 角部屋で日当たりだけはいい俺の部屋だが、その窓は真っ黒に塗りつぶされているかのような様相だ。

 

「きっとまた、俺に理解の及ばぬことが起こってるんだろ?」

 

 俺は、にやりと笑う。玄関の扉から、光が漏れている。あまりにまぶしく、そこに行けと言わんばかりの、玄関のその扉。

 

「しゃあねぇなぁ、行ってやるよ」

 

 俺はそう告げ、その扉を開いた。

 

 

 

 俺の住んでいるゆらぎ荘の良いところは、緑に包まれている(くっそど田舎に存在している)というところだ。だがその扉を開いた俺の目に、緑は入ってこなかった。

 

「なんとも、不思議な場所だこと」

 

 俺は扉を閉め、自らの部屋の表札をその目に入れた。本来そこに書かれているのは、"202号室"という文言であるはずだった。しかし今、別の言葉が記されている。

 

"虹色のサイコロの主"

 

 そんな、文言だ。

 

「俺が、虹色のサイコロの主ってことなのかな?」

 

 俺は、首を傾げる。

 

 本来部屋から出ると吹き抜けの廊下になっており、そこから緑が見えるはずだった。俺はその吹き抜けから自然を見るのが、好きだった。ロハス(嘘)的な俺は、自然に触れるのが、とてつもなく好きなのだ。

 

 だが今吹き抜けはなく、薄暗い廊下を経て、複数の部屋が存在している。

 

 元々俺の隣の部屋に住んでいた、夜中の二時にお経を唱え始める倉重さんや、挨拶を無視してかつ睨んでくるという素敵な能力を持つ持前さんの部屋は、姿形もなくなっている。

 

 代わりに無機質な廊下に、無機質な扉が複数存在している。その複数の扉の前には、2~12の数字がそれぞれ、割り振られていた。

 

 だがその各部屋には、南京錠がついている。

 

(南京錠が外からついてるってことは、中からも出られないってことだろ?)

 

 俺は、そう思った。

 

 だが一つの部屋だけは、南京錠が外れている。

 

 "9"の数字の表札が掲げられている部屋だ。その部屋の扉からも光が漏れており、俺はその部屋にいざなわれていることを理解した。

 

「あはははははは、入れってことかい」

 

 俺は、その"9"の数字の部屋に入った。

 

「出て行って!!!!」

 

 入るや否や、俺の心をえぐるそんな言葉が聞こえてきた。

 

「入るなってことかい……」

 

 俺は、そう告げた。

 

 ショックを受けるが、冷静に考える俺。俺は今、人様の部屋に勝手に入り込んだのだ。どう考えても、非は俺にあろうというものだ。

 

「すまん」

 

 俺は、謝る。だが俺も、下がるわけにはいかない。俺はこの部屋と自らの部屋しか行く場所がないのだ。だからこそ俺は、申し訳ないと思いながらも、その部屋の中を進む。

 

「寒いねぇ。俺の熱い心も、凍っちまいそうだ」

 

 俺は相変わらずの減らず口を、叩く。

 

 氷が壁一面にはびこっているというその部屋。その部屋の中ならきっと、生ものを置いておいても腐らないだろう。まるで、冷凍庫のようなその部屋。

 

 その部屋の奥でとある存在が、体育座りかつ俺に背を向けた状態で座っている。

 

「こんなとこにいると、寒いだろう? お嬢ちゃん」

 

 俺は静かに、そう告げた。

 

 

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