雪音クリスは衛宮士郎に拾われる   作:バースデー

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遅れてしまい、申し訳ありません。
バトル描写に手間取ってしまいました。


白刃と薔薇の残響

 

「困ったわね」

 

 息を吐くように、了子が呟く。

 響たちが走る街の道路は、ケーキを崩すようにポロポロと剥がれ落ちていく。

 その崩落に合わせ、パンパンと花火のような爆音が耳を打った。

 もちろん、偶然の自然現象などではない。――明らかに、何者かの仕掛けだ。

 

「響ちゃん、しっかり掴まっててよね」

「ハイ!!」

 

 了子は声をかけると同時に、ハンドルを左右に激しく切る。

 静かなドライブは、今や命がけのジェットコースターと化していた。

 

 再び、低く「困ったわね」と静かに呟く。

 爆破は彼女の車を中心に、同心円状に広がっている。

 金属が擦れ合う甲高い音。護衛車の一台が爆発を避けようとしてスリップし、車体を横滑りさせた。

 砂煙で視界が奪われ、次の瞬間――別の車両と激突。

 これでは、とても護衛の役目を果たせそうにない。

 

『了子君、ノイズの反応が!!』

「了子さん!!アレ!!」

 

 弦十郎の通信と、響の叫びが重なった。

 

 目の前の道路が崩れ、了子の車両は空に投げ出される。

 

 空中での視界はやけに遅く見え、映像のスローモーションを見ているようだ。

 そんなゆったりとした視界に――はっきりと浮かび上がる、色とりどりの影。

 

 ああ、ノイズだ。

 そこにいる誰もが瞬時に理解した。

 

 

 

 元々、二課の戦闘は、常に後手から始まる。敵の行動予測は、フォニックスゲインとノイズ反応の検知に大きく依存しているからだ。

 だからこそ、上空にヘリを配置し、視界からの情報支援を行っていた。

 しかし今回は違う。

 見ることができない――地下からの襲撃。

 恐らく爆薬を用いた、聖遺物に頼らない攻撃。

 

……反応が出る前に、もう動き始めていた。

 一手、遅れたのだ。

 

 ノイズたちが、了子の車を囲む。

 次の瞬間には飛びかかってくる――それこそ獲物を追い詰めた捕食者のように。

 

「……ッ!!」

 

 護衛の隊員たちにとって、あの包囲は“死の領域”だ。

 一歩でも踏み込めば、触れられた瞬間に命を奪われる。

 故に彼らは了子達の元へ向かう事は出来ない。

 

 そんな光景を前に、胸の奥がジンと熱くなる。

 

「響ちゃん!」

「はい! 歌います!」

 

Balwisyal Nescell gungnir tron――。

 

 了子の声と同時に、響は車の扉を押し開け、聖唱を放つ。

 四方を囲むノイズたちに反響し、その歌声は鋭く空気を震わせた。

 

 一瞬の閃光。次の瞬間には響の姿はシンフォギアの装束へと変わっていた。

 

 トン。と或いは華蘭(カラン)と音を立て、響が地面に着地する。

 

「行きます!!」

 

 着地の衝撃を殺すかの様に膝をぐっと折り曲げると、その反動を全身に伝え、そのまま一気に前方へと加速する。

 

 爆発的な音と共に、響は数メートル先のノイズとの距離を一瞬で詰めた。

 

「ッア!!!」

 

 大きく拳を振り抜き、ノイズをチリに変える。

 

(やった――私、戦えてる!)

 

 そう思った瞬間、冷静さが戻る。自分の役目は了子と聖遺物の護衛――距離を離すわけにはいかない。

 

 タン、と地面を蹴り、逆再生のように一瞬で了子のもとへ戻る。

 

「大丈夫ですか? 了子さん」

「ええ。最高に格好いいわよ、響ちゃん」

 

 背後にいる了子に、響は笑いかける。

 前方にいるノイズの数は無数。

 だが、それは物の数ではない。

 そう、静かに安堵したまさにその瞬間だった。

 

 *

 

 シュー……。

 空気が漏れ出るような音が、戦場の喧噪に混じって響いた。

 それに最初に気づいたのは、戦場を俯瞰していた了子だった。

 

「響ちゃん!!」

 

 次の瞬間、響自身も異変を感じ取る。

 

「ッ!?」

 

 肌にヌルリとまとわりつく、嫌な感覚。空気が重く、湿り気を帯びているような――そんな不快さが全身を覆う。

 その感触とともに、身体から力がじわじわと抜けていく。

 まるで蛇に締め付けられるような脱力感を感じ、それを振り払おうと必死にもがくが、それより早く、何かが彼女の口を塞いだ。

 

フガガ、フガ(了子さん)!!」

「シー……あんまり喋っちゃダメよ」

 

了子の声は、妙に落ち着いていた。

 

「話すってことは、空気を身体から吐き出すこと。その分、否が応でも息を吸うことになる」

 

 喉の奥に、重く粘つく感覚が残っている。息を吸うたびに、それが肺へと染み込んでいく気がした。

 

「今、あなたが吸い込んだのは――アンチリンカーガス。簡単に言えば、聖遺物の適合率を下げる薬よ」

 

 矢継ぎ早の説明に、響は目を白黒させた。だが、意味はなんとなく掴める。

 適合率――それは、自分がどれほどシンフォギアを使いこなせるかの指標。

 それが高ければ出力は上がる。だが逆に下がれば、力は削がれ、戦うことすら困難になる……。

 

「すいません。でも、早くしないとノイズが――!」

「ええ、わかってる! でも、それより早く……ジャンプでも何でもいいから、ここから離れる準備をして」

「へ?」

「デュランダルも持って!」

 

 焦る響に、了子は視線を巡らせながら低く告げた。

 

「アンチリンカーガスは多分囮よ。その匂いに紛れて……別の“空気じゃない気体”が流れてきてる」

 

 響の眉がひそめられる。胸の奥が妙にざらつくような、乾いた感覚――。

 

「確証はないけど、これは……」

 

 了子が言葉を切った瞬間、場の空気がひやりと張りつめた。

 

ダン。

 軽い破裂音が、やけに鮮明に響く。

 響が聞いたことのない音――だが、その正体を理解するより早く、

 

 一帯が閃光に包まれ、轟音とともに吹き飛んだ。

 

 

 *

 

 

『魔術師との戦闘は、如何にして相手の意表を突くか――それが勝敗を分ける』

 

 彼から、幾度となく聞かされた言葉だ。

 

『分かっていると思うが、俺たちと魔術師のあいだには、天と地ほどの力の差がある』

 

 無論、理解している。

 

 魔術師とは、欲望を燃料としながらも、同時に人の欲望から最も遠い場所へ至ろうとする聖火リレーのランナーのような物だ。

 代々受け継いだ“聖火”の数が多いほど、彼らは遥か彼方に立っている。

 それに対して、自分たちは初めて火を掲げたばかりの走者にすぎない。

 

 今の霊長と産声を上げたばかりの生物とが同じ土俵で競おうとするようなもの。

 

 勝ち目など、最初から存在しないのだ。

 

『だからこそ、より狡猾になれ。

 誇りは必要無い。

 誇りを捨てた末の穢れなど、成果で洗い流せる。

 相手が強大な魔術工房を持って、俺たちを待ち受けているのなら、外側から魔術を使わずに破壊しろ

 良いか?クリス。俺たちは必ず、相手が想定している物とは全く別の攻め方をしろ』

 

 どうしてだろう。

 あの言葉は今も耳に残っている。

きっと彼だって、本当はこんなことを教えたかったわけじゃないはずだ。

 最初の頃は……あの時間は、苦しいこともあったけれど、それ以上に温かかったのだから。

 

 でも、それももう過ぎ去った。

 希望に溢れていた日々も、再び絶望に溢れていた日々も。

 

 今の自分にあるのは文字通りの虚無だ。

 少女は何となくそう思った。

 

 

 *

 

 距離を開けた廃ビルの屋上から、狙撃ライフルの銃弾を打ち出す。

 

 

 今、デュランダルの護衛にいるシンフォギアの装者には二種類のトラップを仕掛けた。

 

 先ずはブラフとなる、アンチリンカーガス。

 そして、アンチリンカーガスが撒かれると同時に散布された可燃性のガス。

 

 無論、爆破の威力はデュランダルを傷つけることはなく、且つその上で、ガングニールの装者に有効な威力になるように調整済みだ。

 

 水素のように無味無臭の物を使っている為、気が付かれる可能性はほぼゼロだろう。

 

 使っている火薬の種類にもよるが、発射してすぐの弾丸の温度は数百度から1000度を超える。

 引火させるには十分だ。

 

 そうして、アンチリンカーガスに気を取られている内に銃弾の熱を利用して引火させ、アンチリンカーガスで弱ったガングニールの装者を黙らせる。

 

 そう言う魂胆だったのだが、どうにも現実はそう、甘くは無いらしい。

 

「ゲホッ、ゲホッ……大丈夫ですか!?了子さん」

「私の……私の愛車が!」

「すみません! こうするしかなくって……すみませんん‼」

 

 ガングニールの装者が、爆炎を突き抜けて転がりながら地面の陥没を脱出していた。

 アホみたいな慟哭をしているが、その手にはしっかりとデュランダルが入っていると思われるアタッシュケースが握られている。

 

 ガングニールの装者に、あの二重トラップを回避出来るとは思えない。

 なんてったって馬鹿なのだから。

 

「……アイツか、余計なことを」

 

 苛立ちを押し殺すように吐き捨て、クリスはネフシュタンの鎧を纏う。

 

 *

 

 迸るような悲嘆の声。任務の末に失われた、大切な相棒の無残な姿を前に、了子は涙をこぼす。

 その前で、響は深々と頭を下げていた。

 

 側から見れば、まるで茶番のような光景。

 けれど、当人たちは真剣そのものだ。

 

「い、いいの……いいのよ、響ちゃん。この役目を担った時点で、こうなる事は運命づけられていたのよ……ぐすっ」

「りょ、了子さん……」

 

 涙声のまま、それでも儚げに笑みを浮かべて首を振る。

 不安げに見上げてくる響を、了子はそっと手で制した。

 

 そして次の瞬間、瞳に鋭い光を宿し、厳しい声で告げる。

 

「……しゃきっとして、立花響。ここまで来たら、やれることは一つよ」

 

 重ねて言うが、彼女たちは至って大真面目だった。

 

 だが、そんな滑稽さを振り払うように、響はノイズへ向き直る。

 そうして――その瞬間。

 静かに、黒い影が二人の頭上を横切った。

 

 それは巨躯ではない。人ひとりほどの小さな存在が、太陽と彼女たちの間に割り込んだのだ。

 

 白銀の髪が、朝の光を受けて煌めく。

 身に纏うのは、やはりネフシュタンの鎧。

 荊のような鞭を街灯へ絡め取り、その反動で空を駆ける。

 

「……来たわね」

 

 了子の呟きと同時に、少女は鞭を引き離し、空中でひときわ鮮やかに回転する。

 そうして――ノイズのすぐ傍らへと、ネフシュタンの少女は軽やかに降り立った。

 

「ッ……!」

 

 少女は着地と同時に、グンと膝を押し曲げると、まるでクラウチングスタートのように身を沈め、薔薇の鞭を手に巻きつける。

 瞬間――地を裂くような衝撃音と共に、稲妻のごとく飛び出した。

 

強化、付与(トレース・オン)!」

 

 拳に巻かれた鞭が光を纏い、青白い閃光が爆ぜる。

 風圧が頬を裂き、焦げた匂いが鼻を突いた。

 響の本能が警鐘を鳴らす――避けられない、一撃だ。

 

「響ちゃん!!」

「……大丈夫、です!」

 

 爆ぜるような衝撃を横転でかわし、砂煙に咳き込みながらも響は必死に言葉を返す。

 肩で息をしながらも膝を突き、すぐさま立ち上がって敵へと向き直った。

 

 少女は鎖を気まぐれに振り回し、まるで獲物を嬲る猫のように不敵な笑みを浮かべる。

 

 

「――よぉ、また会ったな。お花畑頭」

「……うん。久しぶりだね」

 

 皮肉げな笑みと、真っ直ぐな瞳が宙を交差する。張り詰めた沈黙――わずか一瞬。

 

 ドンッ、と地を割る踏み込み。鎧の少女が矢のように跳び出した。

 迫るのは茨の鞭。反射的に跳躍してかわす――が、それは陽動。

 

 視界を裂く閃光。眼前に迫るのは、いつの間にか少女の手に現れていた白き陽剣。

 

――これは、喰らえば終わりだ。

 

 脳裏をよぎるのは、あの邂逅。

 一突きで動けなくなった恐怖。あの時は翼がいたから助かった。だが、今は違う。

 自分が倒れれば、すべてが潰える。

 

「――ッ!」

 

 響は地面に吸い込まれるように身を伏せ、刃をかろうじて躱した。

 もし少しでも無駄な力が入り、一瞬でも筋肉が強張っていたら――今ごろ串刺しになっていただろう。

 少なくとも少女の予想では、響はそこで無駄な緊張によって力を入れてしまうような、そんな矮小な存在である筈だった。

 

「へえ……ただのお花畑頭かと思ったが。少しは、戦えるようになってるじゃないか」

 

 地面に叩きつけられた衝撃で、身体が小さくバウンドする。背に痛みが走ったが――それでも、響は相手の姿を見据えた。

 今、少女の両手は剣と鞭に塞がれている。足元はがら空き。

 しかも、自分はその目前の地面にいる。

 

……ここしかない。

 

「でやあああああっ!」

 

 掌を地面に突き立てるように押し込み、そのまま身体を捻って勢いよく回転。

 感覚としては、アクション映画で見たカポエイラに近い。

 

 狙うは少女の足首。掬い上げ、一気に体勢を崩すために。

 

 ……が、空振り。

 足先に伝わるのは、わずかな空気の抵抗だけ。掴み取れるはずの「衝撃」は、どこにもなかった。

 

「阿呆が」

 

 少女は跳ねていた。ジャンプではない。

 腰を中心にバネ仕掛けのように膝を折り畳み、頭の位置を寸分違わず保ったまま。まるで重力そのものを嘲笑うかのように。

 

「その程度の付け焼き刃で、あたしに勝てると思うなよッ!」

 

 前のめりに飛び込む響。後退の選択肢など、最初から存在しない。

 車が急ブレーキをかけた時のように――慣性のまま、身体は少女の真下へと滑り込む。

 滑り込んでしまう。

 

「おらあああああッ!」

 

 少女の足が、地を穿つ勢いで振り下ろされる。

 優しい着地など微塵もなく、自らの体重すべてを刃のように乗せて。

 

 次の瞬間、その圧が響の頭蓋を直撃した。

 

「―――! がっ……あああ‼」

 

 少女の踵と大地に挟み込まれ、頭蓋骨がミシミシと悲鳴を上げる。

 シンフォギアがなければ、彼女の頭は卵の殻のように砕け散っていたに違いない。

 

「ッ、ウア……!」

 

 喉を裂くような声をあげ、響は本能のままに身体を転がした。

 みっともなく地を這いながら、どうにか少女の足元から抜け出す。

 視界はゴロゴロと回転し―― 転がる視界の端に、一つの影が閃いた。

 

 薔薇の鞭だ。鋭い風切り音と共に、一直線に自分の顔面を狙ってくる。

 

「ぐっ!!」

 

 咄嗟に地面へ両手を叩きつけ、身体を跳ね上げるようにして体勢を立て直す。

 鞭が頬をかすめ、背後の地面を粉砕した。

 ほんの一瞬遅れていたら――自分の首が、そこにあった。

 

 

「どうした?この程度か」

 

少女が響を見下ろし、冷ややかに吐き捨てる。

 

「そんなこと、ない!!私は……」

「バーカ」

 

 その瞬間、茨の鞭が閃き、鋭く肩口を突き抜けた。

 

「あ……っ!」

 

 鈍い衝撃と共に、焼けるような痛みが全身を駆け抜ける。

 呼吸が止まり、喉が勝手に震えた。

 ポタ、ポタと鞭を伝い落ちる血がアスファルトを濡らしていく。

 

「阿呆。戦場で会話なんざ、随分と余裕じゃねえか」

 

 少女は鞭をねじるようにして、さらに血を搾り取る。

 

「それとも、自分に余裕がねえってことも分からないのか?

少しは出来るようになったみたいだが――所詮、この程度だ」

 

 嘲笑を浮かべながら、少女はゆっくりと歩を進める。

 コツ、コツと靴音が響くたびに、響の心臓が嫌な拍動を刻んだ。

 逃げようにも、肩に突き刺さった薔薇の棘が返しのように肉を食い込み、身動きが取れない。

 

「まあ……お前には、まだ使い道がある。

 ()()()()()、な」

 

 ぞっとする声音に、冷たい笑み。

 いつの間にやら、少女の手には()()が握られている。

 その手に握られていたのは――悍ましい肉塊だった。

 心臓に似ている。だが、それはただ「臓器」というだけでは済まされない。

 毒々しく脈打ち、見る者の本能に「触れてはならない」と告げる忌まわしい存在。

 

「貴様……どういうつもりだ」

 

 突然、声が響く。

 了子の声に酷似している。だが、響には分かった。これは了子ではない。

 似ているからこそ、よりいっそう不気味に響いた。

 

 

「ッ……!」

 

 恐怖に胸を締めつけられ、咄嗟に拳を振り出す。

 だが、その拳は少女に易々と掴まれ、体勢を崩される。

 次の瞬間、響の身体は地面に叩きつけられ、背筋を冷たい悪寒が駆け抜けた。

 

「これが経験の差ってやつだ」

「ガハッ!!」

 

 嘲りと同時に蹴り飛ばされ、十メートル先へと弧を描いて転がる。

 激突の衝撃で肺が押し潰され、持っていた空気がすべて吐き出された。声も、歌も、もう残っていない。

 

 少女は歩み寄る。掲げられた手には――脈打つ肉塊。

 心臓のようでいて、しかし心臓とは言えぬ何か。血ではなくどろどろとした光を滴らせ、見ているだけで皮膚が粟立つ。

 

「正直、誰でもよかった。魔術回路を持つ奴ならな」

 

 足を止めず、淡々と吐き捨てる。

 

「シンフォギアの装者は全員、聖遺物に触れる資格を持ってる。つまり、魔術師としての資格(かいろ)がな。候補なんざ山ほどいた。……けど、お前は特別だ」

 

 ざわ……ざわ……

 ノイズが泡のように湧き、響の身体へ絡みつく。

 皮膚に張りつき、冷たい糸で縫い付けられるような感覚が全身を縛っていく。

 

「時が経てば、聖遺物そのものになる。……都合のいい器だよ、お前は」

 

 少女の目が細められ、声が低く震えた。

 

「昔から大嫌いだった。理想ばかり語って、何ひとつできない奴が――」

 

 少女は笑みを浮かべたまま、握った拳に血が滲んでいた。

 本人すら気づかぬ、自己嫌悪の匂いを纏わせて。

 

「じゃあな。理想と共に圧死しろ」




 本文で説明出来たか分からなかったことの解説。
Q,アンチリンカーガスは何処から出てきた?
A,少し前にクリスがアメリカ兵から、とある聖遺物の解析と引き換えにして取り引きして手に入れました。
 無断で物資を流されたので、ウェルは切れました。

 それと、何処で描写しようか悩んでいたら入らなくなってしまいましたが、シンフォギアの装者は全員が魔術回路を持っています。
 何と言うか、シンフォギアってやってることを鑑みると、殆ど神秘の領域なんで、魔術回路ぐらい持ってるんじゃないかな〜って考えました。
 深くは考えてないです。

 クリスが持っているのは何なのか、次やります。多分、大体の人は分かってると思うけど……
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