プラネタリウム・ドリーム   作:ななしのあ

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ワイ、感想やアンケートで色んな意見が知れてとてもハッピー


どこかの路地裏

「……」

 

 

 路地裏。死体が転がる道を赤い刀の男が歩いている。

 

 

「んな、無茶な」

 

 

 何処か顔を歪ませる。

 

 

「彼女が死のうと死ななかろうとどうでも良いが……それは違うだろ……」

 

 

 頭を抱える。それはお手上げと言う意味でもあった。

 

 

「……あー、あの案をそのまま突き通すバカが本当にいるのかよ……」

「A社を折る?マジの夢物語じゃねぇか。どうすんだこれ」

 

「……これに命賭けねぇといけねぇのマジ?クソッ……」

 

 

「……どうやら困っている様だね?モルテム君?」

 

 

 突如、華やかななスーツを着た女性が男の前に現れる。余りにも巨大な帽子にはざまざまな色の羽飾りが付いている。

 

 

「……ルミナスか。今取り込み中だ。構って欲しいなら後にしてくれ」

 

「そんな事言わないでさ〜、悩んでるんでしょ?あの代表案について?」

 

 

 腰にレイピアを下げた女はニタニタと男の顔を覗く。

 

 

「……部長で代表案に賛成してんのは楽しそうなお前(センク組部長)とトレス組部長、中立でディエーチ組部長だけだ」

「それ以外の部長は全員反対。当たり前だ。誰があんなアホな案に賛成するんだ?」

 

「ボクは楽しそうで良いと思うけどな!」

「都市の人間なら誰もが夢見たこの世界の改革(A社の乗っ取り)!ソレをこの世界の誰でもない、このボク達が成し遂げられるなら……!それはどんな御伽話よりも痛快で、どんな子供が見る(ドリーム)よりも壮大じゃないか!!」

 

 

 目を輝かせそう語る女。

 まるで新しい色鉛筆とノートを買ってもらった子供の様にはしゃいでいる。

 

 

「……ああ、夢はあるだろうな。だからこそ危険なんだ」

「現状、賛成と反対の比率は6:4って所だ。6は代表、4は俺らだ」

「代表を支持しているのは主に一般フィクサーの層だろうな。本当に自分がこの都市を変えれるだけのチカラがあると考えてやがる」

「反対派は部長とその直属の奴らが主な層、後は未だにアンジェリカを見捨てる事が出来ない奴らも混じってるな。まあ、自分の身の丈を理解してる奴らが多いな」

 

「……俺はお前よりは弱いだろうが、それでも場数は踏んでるつもりだ」

「身の丈に合わない夢に呑まれて死んでいった奴を何人も見てきた。この都市に住む奴も、うちの事務所の奴も」

「なあルミナス。お前は本当に頭を折れるって考えてるのか?」

 

 

 暗闇の中を赤い光が貫く。

 

 

「ボクは夢を見て死ねるならそれで満足だよ!」

 

「おっと失礼、そういやお前そんな奴だったな」

 

 

 ……静寂。

 

 

「……お前は良いよな。このまま強くなりそうだから」

「でも他の部長や組の奴らはそうじゃねえ。間違いなく()()が来ている」

「もし全てが上手く行った所で俺はせいぜい1級フィクサー上位が限界だ。他の下っ端共もニ十人中一人でも1級になれたら万々歳だろ」

「俺はこの事務所の未来(夢物語)が明るい物だとは思えない。このままいけば間違いなく全員野垂れ死ぬだけだ」

「……なら、現状で手の届くアンジェリカぐらいには手を伸ばし、後に特色の力を借りる方がまだマシだ」

 

 

「……野垂れ死なない様に手を打つんじゃ無いのかい?」

 

 

 極彩色に輝く帽子が傾く。

 

 

「今のままで頭を撃ち果たせるとは到底思ってないよ。だからこそ策を練り、鍛錬を積み、利害が一致しているリンバスカンパニーと協力するんじゃないのかい?」

「それをするだけの人材はこの事務所にいる。ボク達部長の誰か一人でも欠ければ、この計画は不可能なモノになる」

「ボクは救える命を見捨ててでも、賭ける価値のある計画だと思うけどな?」

 

 

「はぁ……」

 

 

 彼がため息を吐いた後、ポケットから何かを取り出す。

 

 

「……一度、偵察に行く」

 

「お?まさかまさかの?それ高かったでしょ?」

 

「本部長に頼んで経費で落としてもらった」

 

「おぉ!9区の裏路地行きのワープ列車乗客券!それも贅沢に1等席と来た!」

 

「本部長からの命令だ。『この事務所の最終目標の為に、どちらの選択肢も取れる様にしておけ』……との事だ」

 

「いやぁまさか!そこまでボクとデートがしたかったなんて!」

 

「……一枚しか無いぞ」

 

「まさかぁ!君がしらばっくれてもそのチケットは嘘をつかないよ!」

 

「……は?」

 

 

 チケットを確認してみる。

 

 ……もう一枚、重なっていた。

 

 

「ボクも本部長からお使いをお願いされてね!『シ組部長が誤って酒場にいるピアニストの首を撥ねないように見張っておけ』だってね!」

 

「……はぁ」

 

「さあさあ行こうデートの旅へ!一応言っておくけど、ボクは簡単には落とせないからね!」

 

「誰が落とすんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「代表」

 

「はいはーい!何?」

 

 

 ルナ事務所の何処かの部屋。椅子に座り忙しそうに資料と睨めっこをする黒いコートの男。

 

 ……それを見つめる白いスーツの男。

 

 

「貴方の今月の給料はナシです」

 

「はぁ!!???」

 

「当たり前でしょう。プシュケ様からSOSを貰って久しぶりに戻ってきたらとんでもないことになってるじゃないですか」

 

「え!??あの案の事???」

 

「正確に言えばその案のせいで起こった騒動の事ですよ。変に彼らを煽ったせいで思いっきり事務所を真っ二つにしているじゃないですか」

 

「うーむ……」

 

「代表が変な事を言うべきではなかったですって。もっと事務所の長としての自覚を持って下さい」

 

 

「……ちなみに、私の給料は何処へ?」

 

「ワープ列車のチケット代になりましたよ」

 

「はぁ!?あのアホ高い1等席のチケット買ったの!?」

 

「シ組とセンク組の部長さんに行ってもらいましたよ」

 

「……じゃあさ、どうすれば良かったのさ。あのまま放っておいても事務所真っ二つだったじゃん」

 

「普通にピアニスト討伐に舵を切っておけば良かったじゃないですか。そこまですれば()()が出てくると思いますし、そうしたら調子乗ってる一般フィクサー達のお灸も据えますよ」

 

()()、出てくるの?」

 

「おそらくですが監視されてますよ。今回は刺激を与えそうな二人を選んで送りましたから、多分何かしらが起こると思いますよ」

 

「……あー!!!!」

 

「叫ばないで下さい」

 

「……頭痛い!やめだやめ!久しぶりにプシュケちゃん誘って三人でご飯食べに行こう!」

 

「パワハラですよ」

 

「…………」

 

「……代表の奢りなら良いですよ」

 

「………………よし!行こう!」

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