プラネタリウム・ドリーム   作:ななしのあ

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Furioso-4

「……ここも駄目か」

 

 

 何者かによって荒らされた部屋。

 特徴的な鎖が散乱し、バラバラにされたノートが転がる。

 五本指の一つ、中指。その拠点の一つ。

 義理を重んじる裏路地のギャング。組織員を家族として敬い合い、手を出そう者がいるなら組織の総力を上げて対象を叩き潰す。

 

 ……しかし、とある狂犬が家族を一人残らず喰い殺してしまったようだ。

 

 

「……おい、クレド。これ以上ついてきても会えない可能性が高い。事務所の方に戻ってもいいんだぞ?」

 

「今更戻った所で間に合いませんし、私の目的は今回の襲撃を最悪中の最悪にしない為に動いているんです」

「ただ……一応聞いてみましょう。安価、300」

 

「……最悪を最悪にしない、か」

 

「貴方は戻らなくても良いのですか?」

 

「戦力にならねぇよ。俺がかろうじて噛み付けるのは指の輩だけだ」

 

 

 床に散乱した仕返し帳簿を覗く。

 黒い沈黙、と書かれたと、ソレがやった所業の数々が書き殴られている。

 

 

「その筈なのに人差し指のせいで……いやそもそも黒い沈黙が暴れ出した時にもっと……クソ……」

 

「……私は戻ってみます」

 

 

 安価は彼を連れ戻す事を選んだようだ。

 

 

「……そうか。どうせこのままターニャを探そうっつっても見つからないのがオチだろうし、それで良いと思うぞ」

 

「ありがとうございます。では」

 

 

 黒い帽子を被った者が部屋を出ていく。

 

 

「……人差し指と薬指は論外、頼みの綱の中指が無理なら……小指か?」

 

 

 頭を掻きむしりながら思考を巡らせる黒い迷彩柄の服を着た男。

 

 

「親指に高い金払って出てきてもらう……小指の強者に無理言って出てきてもらう……全部の指が黒い沈黙から被害を貰っているなら、どっかは手ぇ貸してくれだろうが……」

「…………はぁ。真面目に取り組んでくれるのは中指だけか」

 

 

 男はしわくちゃになった地図を見ながら、また別の場所へと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒い影と赤い炎が衝突する。

 赤い籠手が火花を散らし、黒い手袋から現れる武器が振り下ろされる。

 

 

「『老いた少年工房』」

 

「『一点突破』!!!」

 

 

 重力を受け、加速するハンマー。

 重力に逆らい振り上げるアッパー。

 

 

 ——ッ!!!

 

 

 赤いコートの男が押し出される。

 

 

「『ムク工——』」

 

「おっと、そいつは看過出来ないな」

 

 

 突如横から飛んで来た錨によって吹き飛ばされる黒い影。

 

 

「……チッ。『ロジックアトリエ』」

 

「おい!ショットガンが来るぞ!」

 

 

 錨が繋がった鎖を手放し、オールを左肩の辺りまで持っていく。破裂音と共に弾丸が放たれ——

 

 

「ふむ。大湖の波と比べればこの弾丸など……」

 

 

 ——オールの軌跡が波となり、弾丸を飲み込んだ。

 

 

「……重い」

 

「だろうな!」

 

 

 黒い影が本棚を飛び移り、ラクスへと近づく。黒いモヤが動き回る様子は目の錯覚を疑ってしまう。

 

 

「『デュランダル』」

 

「儂は人付き合いが苦手でな……無闇に近づかないで欲しいのだが」

 

 

 鎖が曲がりくねり、黒い影とラクスの間に壁を作る。

 

 

 ——ッ!!

 

 

 断ち切れない。その間に引き寄せられた錨が黒い影へと襲いかかる。

 

 

 カンッ!!

 

 

 また新しく現れた二つの剣で抑えた後、流し切る。

 

 

「……『クリスタルアトリエ』」

 

 

 ラクスを切り裂かんと一閃を放つ双剣。

 

 

「おいおい!そっちばっか見てて大丈夫か!?」

 

 

 後ろから飛び掛かる赤いコートの男。

 未だ血が流れる体が火照り、赤く燃え盛る。

 

 

「『鉄山靠』!!!」

 

 

 赤い光は黒い影を押し出しはするが、その炎が届きはしない。

 

 

「『狼牙工房』」

「ッ!『疾風脚』!!」

 

「『アラス工房』」

「『煉獄拳』!!」

 

「『ケヤキ工房』」

「『裡門頂肘』!!!」

 

 

 黒い影の乱撃に辛うじて喰らいつくポール。

 先程までの技のキレは存在せず、防戦一方と言った所か。

 

 

「抜錨」

 

 

「来たか。『ホイールズ・インダストリー』」

 

 

 ……錨が大剣によって打ち砕かれた。

 

 

「なんと。毎日手入れをしていたと言うのに」

 

「クソッ!アレが来るぞ!」

 

 

 ——沈黙。

 

 

 一度聴いたあの狂想曲。

 この大広間にいるのはたったの二人。二人だけの為に送るには少々勿体無いが、それでも黒い影は出し惜しみはしない。

 

 

 ——Furioso。

 

 

 ロジックアトリエ(リボルバー)二発。ポールの赤い籠手が銃弾を弾く。

 アラス工房(ランス)。黒い影の突撃。籠手によって阻まれるが、ラクスの付近まで吹き飛ばされる。

 

 

「ッ!!」

 

 

 老いた少年工房(ハンマー)。ポールの右手に装着された籠手が迎え撃つが、籠手ごと右手を破壊される。

 ムク工房()。切り刻まんと放たれた斬撃はラクスの持つ錨を繋いでいた鎖が身代わりとなる。

 狼牙工房(ガントレットと短剣)。短剣の切り裂きを左手の籠手で防ぎ、彼の頭部へと突き出されたガントレットをラクスの持つオールが打ち返す。

 ケヤキ工房(斧とメイス)。目標を変えた黒い影がラクスの胴体に大きな切り傷を刻み、オールが辛うじてメイスを受け止めるが衝撃を受け止める事が出来ずに吹き飛ばされる。

 

 

「——チッ。ここまでか」

 

 

 ホイールズ・インダストリー(大剣)。孤立したポールに向けて振り下ろした大剣が彼の上半身を消し飛ばす。

 

 

「……さて、万策尽きてしまったな」

 

 

 クリスタルアトリエ(双剣)。ラクスがオールを振り払い、波が双剣を押し出す。

 ロジックアトリエ(ショットガン)。彼の右肩を消し飛ばし、オールが地面に落ちる。

 デュランダル()。最早荒れ狂う狂犬の一撃を止める手段は存在しなかった。

 

 

 

 ———。

 

 

 

 最後に一人残った黒い影。

 

 頭部が弾けた死体。

 首元を引き裂かれた死体。

 上半身が存在しない死体。

 心臓を切り裂かれた死体。

 

 大広間は、地獄へと姿を変えた。

 

 

「あまりにも下らない小競り合いだった。……無駄に時間をかけ過ぎてしまったか」

 

 

 黒い影は扉の向こうへと歩き始め……

 

 

 

「おっとお?流石にソレは野暮ってヤツじゃ無いのかい?」

 

 

 

 上空から強風が吹き荒れ、一本のレイピアが突き抜ける。

 

 

「——チッ」

 

 

 黒い影は咄嗟に動きを中断し、身を捻る。それでも完全に避ける事は出来ず、鋭く研ぎ澄まれた一撃が黒い影を掠める。

 

 

「お疲れだろうけどさ、このままボクと踊ってくれないかい?」

 

「センク協会のルミナス……。もう何でもアリだな。色んなフィクサー協会の奴らが集まってピクニックにでも行くつもりか?」

 

「まぁそんな所だね!他のフィクサー達がどう考えているのかは知らないけどさ」

 

 

 黒い影の手に、再び武器が現れる。

 

 

「……おい、ねじれについて——」

 

「さぁ始めよう!二度ある事は三度ある!」

「この命の最期を君の狂想曲(レクイエム)と共に迎えれる事に感謝するよ!」

 

 

 ルミナスの付けている手袋が宙を舞い、左腰にあるレイピアが引き抜かれた。

 

 

「……口を開けばクソみたいな事をペチャクチャと……ここにはマトモに会話が出来る相手は居ないのか?」

 

 

 

 

 

 

873:名無しのフィクサー

そこに無いなら無いですね

 

874:名無しのフィクサー

この事務所にマトモに会話が成立する相手がおるとでも!?

 

875:名無しのフィクサー

そりゃ殺されても文句は言えねぇよ

 

876:名無しのフィクサー

事務所の為なら命を捧げる従順なワイらやぞ!

そんじょそこらの常識が通用するとでも!?

 

877:名無しのフィクサー

てかいつセンクネキ来たの

ついさっきまで音信不通やったやろ

 

878:名無しのフィクサー

ともかくセンクネキ抜かれたらもう代表の部屋直行だろうから何とかして足止めして

 

879:名無しのフィクサー

正直ここで第三波来るのはデカい

 

880:名無しのフィクサー

リウニキ残したかったなー

せめてエイトニキだけでも

 

881:名無しのフィクサー

後戦力は誰がいる?

陽炎とか知恵を欲する者とか色々いたやろ?

 

882:名無しのフィクサー

想像通りではあるがボロボロやな

 

883:名無しのフィクサー

>>881

そこら辺は全員出張中

シニキと本部長は遠くでお仕事

指ニキが指関連でかなり詰まってる

今戻ってきてるのはウーフィニキぐらい?

 

884:名無しのフィクサー

>>882

むしろよくここまで喰らいつけたなって感じ

もっと一撃で全員消し飛ぶモンだと思ってた

 

885:名無しのフィクサー

多分センクネキってタイマン作る為にわざと見殺しにしたよな

まあ割り込んでもFurioso喰らって消し飛ぶだけだから正解なんやけどさ

 

886:名無しのフィクサー

もしかしてワイらの命って軽い?

 

887:名無しのフィクサー

とりまこのまま代表の部屋上がられたらアウトやから耐えてくれ

 

888:名無しのフィクサー

>>886

何を今更

 

889:名無しのフィクサー

>>887

???

特異点ネキの場所に行かれなかったらいいんじゃないの?

 

890:名無しのフィクサー

大赤字やな

しばらく飯は雑草になりそう

 

891:名無しのフィクサー

>>889

実は特異点ネキと特異点の部屋って代表の部屋経由で行ける

 

892:名無しのフィクサー

本来はこの事務所の地下に埋まってるぞ

前は別に直で行けたよな

 

893:名無しのフィクサー

今でも直で行こうと思えば行けそう

 

894:名無しのフィクサー

>>891

一応特異点への部屋って隠されてるけどクソガバだから即バレる

 

895:名無しのフィクサー

今のローラン君怪しい物は全部叩き切ろうとするからなぁ

 

896:名無しのフィクサー

ワイら「この装置はねじれとは関係ないんです!」

 

黒沈「知るか」

 

YOU DIED

 

897:名無しのフィクサー

とりま代表の部屋に入られたら負けでおけ?

 

898:名無しのフィクサー

出来るだけ尻尾も掴まれたくない

 

899:名無しのフィクサー

>>897

そうそう

だから大広間でなんとかしようとしてる

 

900:名無しのフィクサー

ところで代表まだ?

もう最終防衛ラインに来てるんだけど

 

901:運び屋筆頭ヂェーヴィチネキ

あと3分!!

 

902:名無しのフィクサー

セブンネキのお膳立てアリ状態のリウニキで無理なら何してもキツイと思うが

 

903:名無しのフィクサー

>>901

長くね?

 

904:名無しのフィクサー

3分マジ?

センクネキが死ぬ方が早いぞ

 

905:名無しのフィクサー

センクネキって死ぬの?

あの人死ぬイメージ湧かないんだけど

 

906:名無しのフィクサー

>>904

最悪ワイがレスバで時間稼ぐ

 

907:代表

ワイ、ガチモード入るのでしばらくゲゼルシャフト繋がりません

よろぴく

 

908:名無しのフィクサー

特異点ネキに頼んで事務所の空間捻じ曲げてもらう?

 

909:名無しのフィクサー

>>907

え?

代表ローランと戦うん?

 

910:名無しのフィクサー

おいちょ待て

さっさと情報渡して帰ってもらった方がええやろ

 

911:名無しのフィクサー

>>908

この家融通は効かんぞ

そのせいで何度迷子になったと思ってるんや

 

912:名無しのフィクサー

正直その後を考えれる余裕は無いぞ

 

913:名無しのフィクサー

戦ってもええがなんとかしろよ

 

914:名無しのフィクサー

本部長プレゼンツなら良し

代表プレゼンツはアウトやからな

 

915:名無しのフィクサー

何考えてるか知らんが任せるぞ

 

916:名無しのフィクサー

コイツに事務所の命運握られるの嫌だな……

 

917:名無しのフィクサー

最終的にローランに帰ってもらえたら何でもいいよ

 

918:名無しのフィクサー

ワイらのお仕事は代表が来るまでの繋ぎなだけだからな

その後は代表がなんとかしてくれ

 

919:名無しのフィクサー

がんばれセンクネキ〜

アンタが死んだらマジでそこまでやからな〜

 

920:名無しのフィクサー

>>916

残念ながら今に始まった話じゃないぞ

 

 

 ………

 

 ……

 

 …




生存状況

代表…○
特異点ネキ…○
本部長…○

ツヴァイネキ…✖️
トレスネキ…✖️
シニキ…○
センクネキ…○
リウニキ…✖️
セブンネキ…✖️
エイトニキ…✖️
ヂェーヴィチネキ…○
ディエーチネキ…△
ウーフィニキ…○
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