煌びやかな飾りと多種多様な照明が都市を照らす。夜にも関わらず切れる事のない電球の数々は、彼の目をくらませてしまう。
J社。今日も数多の勝者と敗者を作り出す、賭博の巣。
「……うぉー」
派手な服装の人々、外にいても響き渡る甲高い電子音、誰がどう見ても豪華そうな飾りの数々によって、彼はもう既に萎縮してしまっている。
黒と紫の装飾が多くなされた服に、布で包まれたハルバードの様な武器。彼も立派な服装を着てきたつもりだが、彼らに比べればその姿はどうしてもちっぽけとしか言いようがない。
……そんな彼の目的地は、華やかな中心地から少し離れた場所。
J社の外れに位置する巨大な特設会場。中心地に比べれば音も飾りも控えめだが、それはJ社の重鎮にとって。彼からすれば違いを見つける事すら難しいだろう。
「はーい!『イヌーティル・パレス』へようこそ!参加券と身分証の提示の方をお願いしまーす!」
特設会場の入り口付近へと足を運べば、そこには受付役の女性が複数いた。
J社の宣伝役として偶に使われるバニー姿。カジノの豪華さや華やかさを保つ為にその服を着ているのだろう……と、推測される。
「これでお願いします」
彼は一人のバニー姿の者にチケットとフィクサー証を渡す。
「はい!ルナ事務所のワラギさんで宜しいですか?」
……確かにバニー姿ではあるが。
黒く長いが垂れた耳、そこまで際どくないスーツ姿、皮膚を包む黒い毛皮。黄色に染まった瞳。
その者は衣服を着てウサギへと姿を変えているのではない。おそらく……。
「……黒獣」
「……あら、知っているんですか?」
「たまーにJ社から依頼としてやって来るんですよ!護衛だったり、警備だったり、今回みたいに案内役もやるんですよ!」
「はあ」
「R社の殺人ウサギを雇う所もありますけど、奴らは大体事故を起こすのでね!我々、『黒獣—卯』は多くの皆様から選ばれております!!是非貴方も機会があればH社に依頼してみてはどうでしょうか!?とんでもなく高い代わりに、どんな仕事も的確にこなしてみせますよ!!」
何故J社の人々はそこまでして兎にこだわるのだろうか。
……しかし、妙に明るい。
本来、黒獣と呼ばれる者が自我を出す事はまず無い。黒獣とは、飼い主である主君の命令に従う武器の一つ。武器が自我を持ってはならない。
にも関わらず、今目の前にいる黒獣は笑いながら色んな世間話をペチャクチャと話し続けている。黒獣としてあってはならない行為の筈。
この人は本当に黒獣なのだろうか?
| この人は本当に黒獣なのだろうか? |
| 1:カマをかけてみる 2:気にせず流す
1d2=1 |
彼は少しカマをかけてみるようだ。
……こういうアホな行動をする者が真っ先に死ぬ、と言う事を未だに理解していないドアホとも取れるが、残念ながら彼はこういう気質の持ち主のようだ。
| この人は本当に黒獣なのだろうか? |
| 嫉妬有利判定 成功値:10(15)以上 |
| ギャンブラーワイ:怠惰、暴食、傲慢 知識による追加成功判定:+5
3d6=1、5、4 追加判定=+5
|
| 合計値:15=成功値:15 判定成功 |
うまく彼女を揺さぶる話題を思いついたようだ。それも、幾つも。
| 何について話す? |
| 1〜2 :ジア・ムーについて 3〜4 :ジア家の宝玉について 5〜6 :ジア・チォウについて 7〜8 :兎の筆頭について 9〜10:鳥鴶人について
1d10=4 |
「ジア・バオユ」
「……?、ジア家の宝玉がどうかしましたか?」
流石に知っているようだ。ここは一つ、ブラフをかけてみよう。
「いえ、H社と聞いて思い出しましてね。確か、小さくて……頭にお団子を二つくっ付けていて……むすっとしていて……」
「……あれ?もしかして、ジア・シーチュンの事を言ってます?」
バレた。
「お客様が仰っているのはジア・バオユではなく、その妹さんですよ!
少なくとも、H社に関わりのある人物ではありそうだ。黒獣なのも嘘では無いだろう。
「お客様は鴻園とも関わりがあるんですね!やっぱり高貴なフィクサーにもなると翼からも注目の的になるんですか!さぞガッポガッポと稼げているのでしょう!」
「はは……まあ、そうですね」
嘘は言ってないが、彼女の話す理想と現実の差にどこか心が痛んだ。
| ギャンブラーワイ |
| 精神力 5 減少! |
「……さて!折角なのでこのまま私が案内しますね!」
簡単な手続きが終わった後、彼女がカジノの中へと誘導する。
「今回開かれている『イヌーティル・パレス』のルールを再確認させて頂きます!」
「……ちなみに、貴方の名前は?」
「兎に名前はありませんよ!」
そういう所だけはしっかりしている。
「ではでは、コレを!」
兎からコインが渡される。ざっと……100枚といった所か。
「コレが今回のイベントのみで使う事が出来る専用のチップ、『ヌル』になります!あと、コレが専用のコイン入れになってます!次元式になっているので見た目以上に沢山入りますから、コインの管理は此方で行って下さいね!」
ヌル。
……Null?
「この会場ではこの通貨のみ使用が可能となっており、A社の発行する『眼』は使う事は出来ませんので!よろしくお願いします!」
まあ、いいか。
「では、後はご自由にお遊び頂いても構いませんよ!ただ……」
「ここはJ社の監視下に置かれている事は重々承知の上で!」
……変な動きは絶対にするな、との事だろう。
「では説明は以上です!ごゆっくり!」
兎が入り口付近へと戻っていった。
「……さて」
遂にやって来たカジノ。
メインルームには数多の人影と煌びやかな飾り、コインの音が鳴り響く機械の数々。巣に入った時はただ圧倒されるだけだったが、今はワクワクの方が勝っている。
警備員が常に目を光らせる中、ワラギはカジノの中へと入っていく。
「……!!」
まず目についたのは、コインの音が鳴り響くスロットマシン。いかにも豪華そうなスロットの前に座り、コインを一枚入れてみ——
[人が真面目に働いてる中遊びふけてるのは誰だ!]
声がする。その音源は……彼、ワラギから出ている。
[お前さんよぉ!事務所が大破してるってのにギャンブルとは、相当己の運に自信があるようだなぁ!]
ゲゼルシャフトからのようだ。
「うるせぇ!前々からずっとJ社でギャンブルやりたかったんだよ!悪いか!」
[悪い所しかねぇよ!せめてもうちょい時期をズラせよボケ!!]
身内だと分かれば強くなる。彼らの悪い癖である。
「別に金を稼げればどんな方法でも良いだろ!?ギャンブルで稼ぐも働いて稼ぐも変わらんだろ!」
[ぜっっったい普通に働いて稼いだ方がいいに決まってんだろ!?そっちの方が事務所の評判も上がるから良いんだよ!!!]
大声で争う二人。ただし、カジノ内には一人しかいない為、独り言のうるさい変人になってしまっている。幸いにもカジノ内の騒音にかき消され、誰の耳にも届いていないようだ。
[……ったくバカらしい。これだから『安価厨』は嫌いなんだよ]
「……え?知ってんの?俺のトップシークレット情報なのに」
[変な板があったから何の事だろうと調べたんだよ、
「……ちなお前誰?」
[『運び屋』とだけ]
そんな彼の悪口を流し、スロットにコインを入れる。ガチャ、ガチャンと音が鳴れば、スロットが回り出した。
| スロットが回り出したようだ |
| 1:??? 2〜5:大当たり 6〜30:当たり 31〜95:ハズレ 96〜100:???
1d100=51 |
…………。
何の魅力も無く外れた。
「まだまだ!」
ワラギが追加でコインを入れる。
[おーい、絶対アカンヤツだぞ]
「任しとけ、安価で鍛えられた目押しを舐めるなよ?」
[目押し関係無いだろそれ]
| コインを更に入れたようだ |
| 1:??? 2〜5:大当たり 6〜30:当たり 31〜95:ハズレ 96〜100:???
1d100=34 1d100=19 1d100=34 1d100=94 1d100=46 1d100=55 1d100=71 1d100=2 1d100=47 1d100=84 |
ガチャンガチャン!!
ピロンピロン!!
ガララララ!!!!!
多少ヤケクソになりながら何度もコインを入れていると、突然画面が光出す。
……絵柄が揃っていた。
「それ見た事か!?ワイの力に掛かればこんぐらいの当たりは当然なんよ!?」
[マジで当てる奴がいてたまるか]
スロットから溢れ出るコインを回収する。概ね……500枚と言った所か。コイン一枚の価値がかなり高いと考えられるので、現状でもかなりの大金持ちになれただろう。
「いやー大金大金。ガッポガッポですな」
[……そこら辺で切り上げて戻って来い。臨時収入としてはそれぐらいでも満足出来るだろ]
| 事務所に戻るべきなのかな? |
| 1:満足!戻ろう! 2〜100:うるせぇ!俺は100億眼稼ぐんだ!
1d100=45 |
「うるせぇ!俺は100億眼稼ぐんだ!」
[馬鹿野郎だろお前]
ギャンブラーワイの所持金額 |
所持金:100ヌル 増加:510ヌル 減少:11ヌル 総額:599ヌル |
いやぁwww黒獣なんて堅苦しい奴らばっかでしょwwwそんな表情豊かな黒獣がいる訳ないwwwがははwww
*ギャンブラーワイ
フィクサー名:ワラギ
ウーフィニキの直属部隊、『安価厨』に所属する一般ルナ事務所フィクサー。明らかにふざけているが現状数少ないレスアンカーの使い手。
私はあの子達に手を差し出すべき、なのかな?
-
そうだ。彼ら彼女らを、貴方が導くべきだ。
-
うーん。貴方の後輩に任せるべきでは?
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貴方達はあの者達に関わるべきではない。