プラネタリウム・ドリーム   作:ななしのあ

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最善の選択

 コインケースを懐に隠し、コソコソと歩く男。周りの視線に注意を払い、自信なさげにカジノをふらついている。

 

 金が欲しいと言いながら、いざ大金が手に入れば挙動不審になる。余りにも情け無い男だが、かろうじて同情は貰えるだろう。

 

 

「いちまん……かける……」

 

 

 『いいですか〜?ここの通貨の『ヌル』はですね〜?1万眼の価値があるんですよ〜?』

 

 

「いちまんは……いちおく……」

 

 

 1億眼。平凡なフィクサーが一生の内に稼ぐであろう額を遥かに超える額。勿論、一級や特色になれば現実的な額にもなるのかも知れないが、それでもポンと出せる金額ではない。

 

 それほどの金額を、ほんの数時間で稼いでしまったのだ。こういう時は誰かに状況を共有すれば少しは落ち着くものだが、残念ながら彼の様子を見に行く人物はいない。

 

 

「流石ですね、お客様」

 

「ひっ!!」

 

 

 突然話しかけられた事で、飛び上がってしまった。

 

 

「ああ!ごめんなさい!流石にお客様もこんな大金を持つ事はそうそう無いみたいですね!!

 

「は、はは……」

 

 

 あからさまに動揺してしまっては面目が立たない。一応ここは大富豪の集まりであり、勝者の集まりである。少々多くお金を持ったぐらいで動揺してしまっては、情けないったらありゃしない。

 

 ワラギは落ち着きを取り戻した後、声がした方を見る。入り口で出会った兎だった。

 

 

「お客様……大分稼ぎましたね?」

 

「ええ……まあ、たまたまです……ね……」

 

「1万ヌル以上を稼いだお客様には凄い所に連れて行く事になってるんです。ささ、此方へ……」

 

「……?」

 

 

 兎の誘導のまま、奥の部屋へと案内される。金箔が塗された壁の間を通り、シャンパンタワーの隣を通り抜けていく。人目につかない奥の扉を開けた先に広がるのは……。

 

 

 

 誰もいない、ただ広大なカジノ会場だった。

 

 

 

「こちら、VIPルームとなってます!ここでのびのびとギャンブルをお楽しみ下さい!」

 

「……なんか、暗くない?」

 

 

 VIPルームと言うのなら、もっと豪勢で華やかな事が普通だろう。しかし、ここはどうか。どこか薄暗く、暗闇に満ちたカジノ会場。さっきいた場所の方が豪華そうだった。

 

 確かに人が少ない分、のびのびとギャンブルに勤しむことは出来るだろうが、だとしても心細い。警備の人間すらいないってどうなっているのか。

 

 

 ただ、ギャンブルをするだけの部屋。

 

 

 そんな印象を受けた。

 

 

「……えっと……兎さん?」

 

 

 …………。

 

 

「……?」

 

 

 …………。

 

 

 先程まで隣にいた兎が消えていた。

 

 

 咄嗟に先程までいた場所へと戻ろうとする。後ろへ振り返り、この部屋へと入ってきた扉を開き、あのカジノルームへと戻ろうとする。

 

 

 ——。

 

 

 扉の先に広がっていたのは、誰もいない、ただ広大なカジノ会場だった。

 

 

 

 おめでとう。嵌められた。

 

 

 

「クソッ!……おい!ゲゼルシャフト!」

 

 

 

63:ギャンブラーワイ

ギャンブルしてたら変な部屋に幽閉されたんやけど

 

 

64:ギャンブラーワイ

この部屋に入ってきたドアを開けても無限ループよろしくダメなんやけど

 

 

65:ギャンブラーワイ

ねえちょい助けて

 

 

66:ギャンブラーワイ

誰かー有識者ー

 

 

 

 

67:密売ニキ

何してんのお前

 

 

 

 

68:ギャンブラーワイ

良かったちゃんと繋がってた!

ちょい助けて!

 

69:密売ニキ

やだ

 

70:ギャンブラーワイ

お前さっきの運び屋の奴やろ!戻ってきてくれたんやな良かった!

 

71:密売ニキ

状況説明しろ

 

72:ギャンブラーワイ

あの時間ロトで大当たり引いたらVIPルームに案内されてたどり着いたのがここやった!

 

73:ギャンブラーワイ

いくら扉を開けて部屋を行き来してもダメや

 

74:ギャンブラーワイ

真ん中に巨大なテーブルとかスロットとかがあって、四方向に扉がある

 

75:ギャンブラーワイ

そのどれも開けてみてるけど出れない

いくら扉を開けて進んでみても同じ部屋ぐるぐるしてるみたいになってる

 

76:密売ニキ

部屋の家具に変化は?

 

77:ギャンブラーワイ

ちょっとだけある

テーブルが小さくなってたりスロットの種類が変わってたりする

そもそも印を付けているんやがそれも消えてる

 

78:密売ニキ

無限ループ構築じゃないな

なら頑張れば出れるぞ

 

79:ギャンブラーワイ

この板はお前のような有能を待っていた

 

80:密売ニキ

ワイらの事務所あるやろ

多分アレと原理は似てるはず

 

81:ギャンブラーワイ

空間拡張技術って事?

 

82:密売ニキ

違う

 

83:ギャンブラーワイ

違うのか

 

84:密売ニキ

薬指の廊下とかの方がイメージとしては近い

 

85:ギャンブラーワイ

ワイあれの仕組みよく分かってないんやけど

 

86:密売ニキ

闇雲じゃなくて直感とか到着地点を大切にして進めって事

あと今のままじゃ情報が少なすぎるから視界繋げろ

 

87:ギャンブラーワイ

あなんかテーブルの上にトランプが湧いてる

ハートの5だって

 

88:密売ニキ

あなんかこれ変だわ

 

89:ギャンブラーワイ

は?

 

90:密売ニキ

こんな技術今まで見た事無いわ

ちょい特異点ネキ呼んでみるわ

 

91:ギャンブラーワイ

またトランプあった

クローバーの8か

 

92:名無しのフィクサー

おーい

遊びにきたよ

 

93:ギャンブラーワイ

いらっしゃい

今閉じ込められて謎解きしてる所やねん

 

94:名無しのフィクサー

大体は見たから分かってる

 

95:ギャンブラーワイ

またあった

ハートの9

 

96:名無しのフィクサー

トランプのマークってどんな意味あるの?

 

97:ギャンブラーワイ

>>96

遊びや時期とか種類によってまちまちだからコレって決めつけるのは難しいな

でも有名なので言えばヨーロッパ文化とか階級制度に諸説あるのが大多数じゃね?

 

98:ギャンブラーワイ

例えばスペードだと貴族とか騎士、剣や槍、みたいなイメージ付けがされてる

絶望の騎士とかまさにソレやな

 

99:ギャンブラーワイ

他にもダイヤとか分かりやすいんやないか?富や商売、宝石や貨幣とか。

貪欲の王にピッタリやん

 

100:ギャンブラーワイ

でも基本長年続いてる遊びだから色んな解釈が混じってたり二次創作として作り出された思想やルールが逆輸入したりもするから諸説アリとしか

 

101:名無しのフィクサー

はえーさんがつ

 

102:ギャンブラーワイ

そんなこんなでまた見つけた

ハートの6

 

103:名無しのフィクサー

どんくらい彷徨ってる?

 

104:ギャンブラーワイ

まだちょっとしか彷徨ってない

あとハートのジャック、11やな

 

105:名無しのフィクサー

壊したりしないの?

 

106:ギャンブラーワイ

弁償とか言われたら嫌だからやらん

ハートの2

 

107:名無しのフィクサー

カードめちゃくちゃあるやん

なにそれ

 

108:ギャンブラーワイ

ワイにも分からん

スペードの6

 

109:名無しのフィクサー

うわお前ギャンブル行ってきた奴か

まだやってんの

 

110:名無しのフィクサー

うわコテハン付けてた奴

結局勝てた?

 

111:ギャンブラーワイ

勝てばしたけどなんか幽閉された

クローバーの1

 

112:名無しのフィクサー

>>111

お前何やらかしたの?

 

113:名無しのフィクサー

>>111

ゲゼルシャフト使ってイカサマしたんか?

 

114:名無しのフィクサー

>>111

ご愁傷様です

 

115:ギャンブラーワイ

してないんやけどなぁ……

スペードの3

 

116:名無しのフィクサー

とりまそこに幽閉されとけ

 

117:名無しのフィクサー

これで今日もまた悪が滅びた……

 

118:ギャンブラーワイ

見とけ絶対に出てやるからな

スペードの5

 

119:名無しのフィクサー

そもそもその部屋何?

特異点でも使ってる部屋?

 

120:密売ニキ

>>115

いやお前時間ロトで大当たり引いてたやん

その前もスロットで当たってたし

 

121:特異点ネキ

はいはい

ちょっと分析するので待ってて下さいね

 

122:ギャンブラーワイ

ありがたや……

 

>>120

だとしてもちょっと当てただけでこうなるか?

あとクローバーの8

 

123:名無しのフィクサー

特異点ネキちっす

 

124:名無しのフィクサー

そもそもゲゼルシャフトが繋がるって事は別次元とかではなさそうやな

だとしてもこんな技術聞いた事無いぞ

 

125:名無しのフィクサー

>>124

いや探せばありそうやぞ

ゲゼルシャフトは別次元でも頑張れば繋げられるし

 

126:名無しのフィクサー

>>122

ちょい待て

クローバーの8ってもう持ってなかった?

 

127:ギャンブラーワイ

あれほんまや

二枚持ってる

 

あとスペードの10

 

128:名無しのフィクサー

もう持ってるの数えたとかじゃないのか

 

129:ギャンブラーワイ

いやちゃんと二枚ある

 

ハートの3

 

130:名無しのフィクサー

じゃあトランプ全部集めたら勝ちでもないんかな?

 

131:名無しのフィクサー

>>130

いや分からんぞ

重複アリなだけかも

 

132:ギャンブラーワイ

圧倒的泥沼になるからやめてくれ

ハートの11

 

133:名無しのフィクサー

>>132

はい被りー

 

134:名無しのフィクサー

ようこそ泥沼へ

 

135:ギャンブラーワイ

まじでやめてくれ

スペードの2

 

136:密売ニキ

ほんと変だなこの空間

配達中に迷い込んだら台パン案件だなこれ

 

137:ギャンブラーワイ

特異点ネキ助けてー

ワイここで死にたくなーい

 

スペードの3

 

138:名無しのフィクサー

>>137

被り定期

 

139:名無しのフィクサー

はい乙

 

140:密売ニキ

ここで運が尽きたか……

 

141:ギャンブラーワイ

は?????

 

142:名無しのフィクサー

どうした

 

143:ギャンブラーワイ

ジョーカーの11

 

144:名無しのフィクサー

?????

 

145:名無しのフィクサー

なんでジョーカーに数字があるんだよ

 

146:名無しのフィクサー

わけわからんなコレ

これトランプ全部集めたら勝ちの線が薄くなったな?

 

147:密売ニキ

まさかの状況悪化

 

148:ギャンブラーワイ

じゃあなんなんだよこのトランプ!

ダイヤの2!

 

149:名無しのフィクサー

マジで全部ぶっ壊した方が早い説

 

150:ギャンブラーワイ

マジでありかも

大体はワイのお金から払える訳だし

 

ダイヤの7

 

151:特異点ネキ

大体分かりました

指示に従って下さい

 

152:名無しのフィクサー

お!

 

153:名無しのフィクサー

流石特異点ネキ

こういうのも分かるんや

 

154:ギャンブラーワイ

ありがてぇ……!

 

スペードの6、被り!

 

155:名無しのフィクサー

折角巨悪を閉じ込められたと思ったのに……

 

156:名無しのフィクサー

勝手にギャンブルをしに行く奴を助ける必要なんて無いのに……

 

157:名無しのフィクサー

本当の本当に信じられんと思うがコイツ精鋭部隊の一人やぞ

 

158:ギャンブラーワイ

お前らとは違うのだよ、お前らとは!

 

159:名無しのフィクサー

コイツここに封印した方が良くね?

 

160:特異点ネキ

じゃあ指示に従って下さいね

 

今見てる方向の扉へ進んで65部屋進み、その後右向いて89部屋進む、そしたらその部屋にテーブルがあるのでそれ壊してもらう、その後左を向いて155部屋進み、155部屋目に入った瞬間に後ろに振り返り駆け足で623部屋進む、そしたら扉が二つしかない部屋に入るのでそこまでお願いします。

 

161:名無しのフィクサー

は?

 

162:名無しのフィクサー

これなんてワザップ?

 

163:名無しのフィクサー

簡単で

す!!!

 

164:ギャンブラーワイ

とりま了解

 

165:名無しのフィクサー

>>163

貴方を詐欺罪と器物損壊罪で訴えられてそう

 

166:密売ニキ

おーい特異点ネキ

結局この空間なんなんや?

 

167:特異点ネキ

多分その先にいる人物に聞いた方が早いですね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここまでたどり着いたか。流石は代表さんの息が掛かったフィクサーさんだね」

 

「……だとしてもアレを初見で突破出来るなんて……」

 

「……いや、カンペを持っていたのかな?もしくは教えてもらった……とか?……ともかく、ここに来るなら……」

 

 

 男が椅子へと座り、テーブルを整える。

 

 

「バニーさん。接待の用意をしてくれないか?」

 

「はい!既に準備済みです!」

 

 

 

 

 

ギャンブラーワイの所持金額

所持金:10572ヌル

          

増加:0ヌル

減少:0ヌル

            

            

総額:10572ヌル

 




ハートの5
クローバーの8
ハートの9
ハートの6
ハートの11
ハートの2
スペードの6
クローバーの1
スペードの3
スペードの5
クローバーの8
スペードの10
ハートの3
ハートの11
スペードの2
スペードの3
ジョーカーの11
ダイヤの2
ダイヤの7
スペードの6


正直本編と直接は関係無いので解いても解かなくても良いです。答えが気になるなら作者の活動報告に解説があります。

私はあの子達に手を差し出すべき、なのかな?

  • そうだ。彼ら彼女らを、貴方が導くべきだ。
  • うーん。貴方の後輩に任せるべきでは?
  • 貴方達はあの者達に関わるべきではない。
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