これがヒーローのセリフ
これがカルメンのセリフ
小難しい話ばっかしてるからなんとなくで読んでね
「……話。オレと陳腐な問答でもしたいのか?」
「主人公。あなたの心はとてもザラザラしているね」
「……はぁ」
「星に誘われた子供達はみんな耳を塞いでいるの。まるで私の話を聞きたくないかのようにね」
「……なんの話をしているんだ?」
「そんな子供達の心はザラザラしてる。あなたも耳を塞いでいた。でも、あなたは星を断ち切って耳を傾けてくれた」
「だから、何の——」
「——はっ?」
「だから、まずは一緒に絵本でも読んで、少しずつ心を滑らかにしよう」
「ここは……なんでオレは9区にいるんだ?」
「あっ!見回りのお姉さん!」
「お嬢さん。折角なら、私が一曲弾いてあげましょう!」
「いつも手伝ってもらってありがとね、私達のヒーロー」
「いえ、このぐらいなんとも——」
「1人飛び出してきたあなたは、とある音楽の路地……フォルテ町に辿り着いた」
「待て、なにが起こっているんだ?」
「あなたは、音楽の路地に住む住民を助けて回り、いつしか彼女は『フォルテ町のヒーロー』と呼ばれるようになった」
「オレは今ここにはいない。いるべきじゃない。それよりも——」
「そしてその生活に、あなた自身も満足していた」
「……あぁ、そうだ」
「うん。決していつも上手くいく事は無かっただろうけど、あなたの行動で救われた人々がいたのは間違いないだろうからね」
「でも、いつまでも平穏な日々は続かなかった。そうじゃないと物語は作られないからね」
「……」
「ほら、ページをめくって?」
「……なんだこれ、何が起こっているんだ?」
「びしょ濡れになったあの日の事を覚えてる?」
「……あぁ。忘れる訳無い」
「白い夜と黒い昼が通り過ぎたある日に、ピアノが裏路地を支配したの」
「その時にオレは——」
「あなたは、
「……ああ?」
「あなたは、白い夜と黒い昼が来る事も、その後に起こる演奏が何を引き起こすのかも、全て知っていたんじゃないの?」
「……」
「それでも、あなたはこの路地を、音楽の裏路地の一画を守ろうとした」
「……そうだ」
「赤い楽譜をいくつ砕いた?」
「分からない」
「あなたの身体からいくつの音符が噴き出した?」
「数えていない」
「最後に守れたものは何だった?」
「オレの命だけだった」
「その他は?」
「全て……消えていた」
「あなたが真に守れたものはあなたの命だけだった」
「……オレに説教でもしたいのか?」
「そんな事の為に話をしている訳じゃないよ。でも、あなたが今立っている場所を理解する必要はあるんじゃないのかな?」
「オレが今立っている場所なんて——」
「分かりたくなかったんじゃないのかな?」
「……は?」
「もし、あなたが音楽の裏路地に住む住民の事を第一に考えていたのなら、結果は違ったのかな?」
「オレがフォルテ町の皆を助けようとしていなかったとでも言いたいのか!?そんな訳が無い!」
「ええ。確かにあなたは全力で裏路地の人々を守ろうとした。それは間違いないだろうね」
「なら、どうして——」
「でも。もし、あなたが音楽の裏路地に住む住民達を、別の安全な場所に避難させていたら?」
「——えっ?」
「もし、『黒い沈黙』と謳われた者の助力を借りていたのなら?」
「それは……その必要が無かったから……」
「ええ。あなたは9区から離れるフォルテ町の人々を見たくなかった。『フォルテ町のヒーロー』の肩書きを黒い沈黙に奪われたくなかった。フォルテ町の人々を、
「それはオレが勝てると——」
「ええ。あなたは伝説の赤い霧を知っている。そして、あなたにその素質がある事もね。だからこそ、あなたは過信してしまった。出来ると決め切ってしまった」
「違う」
「それでも、現実はそうなってしまったの」
「黙ってくれ」
「あなたはあなたが真に守りたいものを守り抜いた。あらゆる心の雑音を取り除いた最後に残った、本音のあなたが求めた結果こそがフォルテ町の悲劇だったの」
「……」
「一度、ゆっくり深呼吸をして周りを見渡してみて。空は真っ暗、もうすぐ裏路地の夜が全部綺麗にしてしまうだろうね。ビルは崩れてしまっているね。あれは……マンションだね。上の階で火事が起こってる。何人も下敷きになって、血溜まりが出来ているね。でも、泣き叫んだり、助けを求める声はどこからも聞こえないね」
「当たり前だ……なぜなら……」
「叫び声は全て演奏の一部になってしまったからね」
「……」
「殆どの人達はピアノの楽譜になってしまったみたい。でも、これはあなたが本当のあなたを見つける良い機会だからね」
「お前は……オレにどうなって欲しいんだ?」
「私はあなた自身に嘘をついてほしくない。あなたの軌跡をゆっくり辿り直して、もう一度あなたが下した選択を確かめて欲しいの。ほら、もう一度ページをめくって——」
「……やめろ」
「……?」
「お前は何がしたい?説教?慰め?人生の教訓の押し付け?カウンセラー気取り?」
「私はたった1つ残った不治の大病を治したいの」
「オレは至って健康だ。帰ってくれ」
「あなたの助けになりたいって言い換えてもいいよ」
「余計なお世話。誰もがプレゼントを押し付けられて『ありがとうございます』って言ってくれると勘違いしない方がいい」
「でも、主人公。あなたの道はいつも血濡れているよね?」
「……あ?」
「もしあなたが本当に皆を救いたいと考えているなら……どうしてその道を進んでいるの?」
「……血濡れてなんかいない」
「そうやって自分に嘘をつくのをやめて欲しいの。あなたがその道を歩んでいるのは、あなたが真に望んだ道がそこだったから」
「S社の皆を死に追いやったのは?T社の皆の時間を奪わせたのは?H社の皆が住む場所を潰したのは?」
「……何が言いたい」
「あなたが本気で他者の為に動いた事は無い」
「その行動の目的はいつでも、あなた自身のため。フォルテ町の皆は、埋まらないあなた自身の承認欲求を覆い潰すための廃材」
「それでもあなたは事実を認めず嘘をついて、誰かを救おうとし続けてる」
「私はそうやって、あなたが擦り減っていくのは耐えられない」
「つまり、オレに悪役になれと?」
「あなたがそう捉えるならそれでもいいよ?」
「……はぁ」
「でも、最後に決めるのはあなた。私はあなたの選択を尊重するよ?」
「それがお前の言う病か?そもそもこれは病気なのか?」
「あなたがあなたの可能性を諦めてしまう病。希望を持てない、持つという事すら忘れてしまう病。夢を見れない都市の大病だよ」
「……大病、大病か。病人が病人を救える筈が無いと思うんだけどな」
「あなたはこの都市の病をどう思ってるの?」
「それを聞いてどうする?」
「いいから」
「……どうかは分からないが、なんとなく音が聞こえるな」
「音?」
「雨の音、ピアノの音、子どもの笑い声」
「……なんで?どうして?」
「引くなよ……なんとなく、都市の病ってそんな感じがするんだよ」
「……あなたは、この都市を愛してるんだね
「……?、変な事言わない方が良かったか?」
「やっぱり、あなたがこのまま枯れてしまうのは勿体ないよ」
「まだまだ現役だっての」
「ねぇ、主人公。あなたを救えるのはあなただけ。あなただけがあなたを愛してあげられるの」
「だから、まずはあなた自身をちゃんと愛して欲しいの。あなたの色が枯れてしまう前に」
「……」
「そうしたら、私があなた自身を愛してあげられるように手伝ってあげる。数多の無意識に潰されたあなたが、たった1つの自己へと戻るの」
「……それは良い事なのか?」
「少なくとも、あなたが周りに気遣う必要は無くなるよ。他者によってあなたが傷つく事が無くなるの」
「確かに……そうすれば……私は……」
「……どう?」
「それなら……別に、この世界はオレ1人だけで……いいんじゃないのか?」
「ええ。あなたはあなただけの世界にいたらいいの」
「……違う。オレが手に入れた感情は……オレ1人で手に入れたものじゃなかったはず……」
「……他者を乱雑に使うあなたを認めてくれる世界はどこにも無いよ」
「……確かにオレは誰も救えなかった。己の欲求を最優先にして、他人を踏み台として食い散らかしてきた。その中で唯一救えたのはオレ自身だった」
「オレを愛する事は出来るだろう。その道がオレにとっても楽になるだろうとは思う」
「でも……オレ自身を愛してしまったら、オレのお陰で誰かが笑う姿を見ることは出来なくなると思うんだ」
「たとえ動機がクソッタレの偽善だろうと、オレはあの時見た笑顔に偽りは無いと信じている」
「……そうやってあなたは疲弊し続けてきた。この都市の苦痛に巻き込まれ、ついには苦痛にすら嫌われた」
「だからってオレの世界に閉じ籠る訳にはいかない。オレが求める世界は、オレ1人だけでは決して作れないって分かっているから」
「言ってしまえば……時間の無駄だ」
「でもあなたはその苦痛すら愛そうとした。ナイフを持った子供に、あなたはハグをしてあげた」
「
「あなただけの色が、他の色に塗り潰されてしまうのを見たく無いの」
「いいや。オレが世界を塗り潰してやるんだ」
「……そう。ザラザラになった心はそう簡単には綺麗にならないんだね。なら、あなたの物語を信じたらいいよ」
「この都市に見せつけてやる。
「じゃあ、最後に1つだけ教えて」
「どうしてあなたは、あの場所から逃げ出したの?」
「……合わなかったんだよ、色々」
「そう。じゃあ、いってらっしゃい。あなたの英雄譚を楽しみにしてるからね」
「……あと。
「……『ツヴァイ式月詠剣術・蟹鋏』!」
山のように折り重なった瓦礫が、下から吹き飛ばされる。その後に、地中深くから1人の女性が這い上がってくる。
(L社のような頑丈な施設でなくて良かった……もしそうだったら生き埋めでしたね)
ペルタは服についた砂を払いながら周りを見渡すと、辺り一帯は少し荒れているようだった。幾つかの建物は崩れ落ち、やや遠くにエドガーが佇んでいるのが見える。どうやら、ペルタよりも早くに脱出しているようだった。
エドガーは身に纏っていた鋼鉄の甲冑を脱ぎ、隣で待機しているラングと一緒に座り、無線機とにらめっこをしているようだ。
(エドガーさんは無事……なら、後はヒーローの後始末だけ……いや、回収には時間がかかるでしょうし——)
轟音。
突如世界が揺れ、辺り一帯がピンク色に染まる。
「ッ!?」
眩い光に目が眩む。
L社跡地に広がる白い煙を巻き込んで、天へと昇る光の柱が打ち上がる。桃色の世界に包まれたL社跡地は一瞬、けたたましい光の音だけが響いている。
その光の中心地は——
「……ビルの上、ですかね。ゲゼルシャフトは……」
「おい、ツヴァイ2課の協力事務所。無事か?」
「……ひとまず」
ペルタの側まで近寄ってきたエドガーが一本の光の柱へと視線を向ける。巨大な光の柱は徐々に小さくなっている。
(ゲゼルシャフトが繋がらない…?)
「驚いたな。てっきり地下で生き埋めになっているものだと……」
「それは……」
「地獄の底から
ちょうどペルタの視線の遠く、ビルの頂上から放たれ続ける光の柱。
光の中で佇む、ピンクのマフラーをたなびかせている少女が1人。所々、彼女の服装にはレースのような飾りがつけられている。
何よりも1番違うのは、彼女が持つ1本の棒。
「あれは……まるで……」
黄金の小枝……否。彼女のE.G.Oと同化し、魔法の杖のような姿。棒のてっぺんには星が付いている。
即ち、あれは。
「魔法……少女……」
幻想体に似た、されど確かな自我の殻。
あの光を見た誰もが、その危険性を本能的に感じ取っていた。
都市に輝く1つの星。
激しく光り輝く星の前には、万人は焼き尽くされるだけだから。
「やっとだ……ついに帰ってきたんだ……!」
その光景を見ていた荒くれ者はそう言葉を漏らし、高々に声を荒らげる。
無様で、誰かに縋るような、どこか感極まった魂の叫び。
「俺の……俺たちの……最高に最低でクソッタレな……!」
Proelium Fatale
「エセヒーローが!!!!!」
やっとらこっさの終盤突入
*開花E.G.O::偽善者
ヒーローのE.G.O名
どこかで書こうとしたけどいい感じの隙間が無かったのでここに埋葬
私はあの子達に手を差し出すべき、なのかな?
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そうだ。彼ら彼女らを、貴方が導くべきだ。
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うーん。貴方の後輩に任せるべきでは?
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貴方達はあの者達に関わるべきではない。