プラネタリウム・ドリーム   作:ななしのあ

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事務所設立編とL社就職編の間に簡単な人物と用語紹介を入れておきました。
今後も章完結ごとに入れる予定です。


経歴作りの為に都市の悪夢を覚ましてやろうの会

 都市で緑豊かな地は希少である。

 翼の中に森は存在するが、その多くは大富豪が趣味として私有地に生やしている事が多い。裏路地にある森は数多のフィクサーによって引き抜かれ、その上には人工物が立った。

 木々に身を包まれたいのなら外郭の方が適している時すらある。

 

 

 それでも都市に自然豊かな地はある。

 

 

 確かにある、のだが……

 

 

 現在都市に残る森の多くは、過去に数度も人の手が加えられた過去がある。

 

 つまり、誰かが森を撤去しようとしたが、利益に見合わぬリスクがあったために諦めた、ということだ。

 

 言い換えれば、曰く付きである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 都市。K社の裏路地に位置する地。

 都市にしては珍しく、その土地には森があった。

 周りからは鳥がさえずり、生き物が草木を揺らす音が聞こえる。

 しかし、それも森の奥地に足を踏み入れる事に薄れていく。

 

 まるで森の奥地にある何かを恐れるかのように。

 

 

「ふーん」

 

 

 声が漏れると同時に、金属がぶつかるガチャガチャという音が森の静寂を乱す。

 音の主は、大柄な男だった。

 

 

「今回のお目当てはアレか?」

 

 

 ただならぬ雰囲気を出す男。

 短めに切られた黒髪と黒目、190はあるだろう背丈、都市にしてはかなりの大柄男だろう。

 しかし、彼の特徴はそこではない。彼の最大の特徴は身体の生身を多く残しながらも上から備え付けられたかの様な義体。

 サイボーグと言うのがもっともな姿。

 

 

「これが……都市悪夢事件、『秘境の泉』……なのか?」

 

 

 そんな彼が目を凝らしながら見つめる先には泉があった。

 

 池と言うには大きく、湖と言うには小さい。

 

 何処か神秘的な金色の様な水は、姿を映し出す事はない。

 

 

 彼は泉に近づき、手のひらを虚空に向けると体の中から空のビンが発射され、彼の手中に収まった。

 そして彼が水を採取しようと……

 

 

 人影。後ろ? 否、目の前。

 即ち、泉の中から。

 

 その泉から、それどころかその周りからさえ命の気配はしない。

 

 なら、目の前のアレは何? 

 

 

「———ッ!」

 

 

 男は即座に泉から距離を取り、人影の正体を見る。

 ソレは泉の水でできており、確かに人の姿をしているが、目、口、鼻。本来あるはずの顔のパーツが無かった。

 金色の衣服と長髪からは女神ともとれる姿をしているが、その身から溢れ出す敵意を隠しきれていない。

 

 

「…………!…………!!」

 

「——ッツ!」

 

 

 男が臨戦体制に入る。

 ソレは空気を震わせるが、言葉になる事はない。

 

 

「…………ォ………………ァァ!!」

 

 

 瞬間、泉が氾濫した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

213:名無しのフィクサー

えー、シ組からメーデー入りました

 

214:名無しのフィクサー

まじか

 

215:名無しのフィクサー

手足でもあかんかったか? 

 

216:名無しのフィクサー

>>213

シ組から? 

じゃあ調査行ってたアイツ死んだ? 

 

217:名無しのフィクサー

やっぱ都市悪夢はまだ早かったって

 

218:名無しのフィクサー

 >>216

死んでもゲゼルシャフトには接続出来るぞ

何でシ組経由? 死んだから萎えてサボり? 

 

219:名無しのフィクサー

死んだら萎えるとかガキかよ

 

220:名無しのフィクサー

死んだらそれこそ死に物狂いで助け呼ばない? 

一定時間内に蘇生出来なきゃガチ死亡じゃん? 

 

221:名無しのフィクサー

>>218

よく分からんがゲゼルシャフト経由でも応答取れないらしい

 

222:名無しのフィクサー

結局アイツどうなったの? 

死んだの? 

 

223:名無しのフィクサー

都市悪夢は偵察すらまともにさせてもらえないんか……

 

224:名無しのフィクサー

あんなのでもそこそこ腕の立つ奴だったよな

死体回収すら出来ない感じ? 

 

225:名無しのフィクサー

>>223

実力不足感は否めないがL社就職の件で多少経歴作りをせなあかんからな

あと単に富と名誉の為

 

226:名無しのフィクサー

何で急に都市悪夢に手出したかなと思えば経歴作りなの? 

 

227:名無しのフィクサー

>>224

シ組曰くお手上げとのこと

 

228:名無しのフィクサー

>>226

ワイらこの都市では学歴方面の経歴マジで何も書けないぞ

ならせめて実力はあるよアピールせな

 

229:名無しのフィクサー

>>228

そっかワイら幼卒ですらないんか……

 

230:名無しのフィクサー

都市悪夢解決した事務所に所属してました! って言えば印象は良くなるもんな

 

231:名無しのフィクサー

ほんでどうする? 

現状一人持ってかれただけやけど

 

232:名無しのフィクサー

あいつトレスネキの直属だったよな? 

そいつで無理ならもう部長格しかおらんやん

 

233:名無しのフィクサー

>>222

ネキの直属が水回収→泉の主激おこ→そいつ泉に呑まれる→シ組応答取れず→今に至る

 

234:名無しのフィクサー

>>232

ほんじゃトレスネキ出すしかなくない? 

 

235:名無しのフィクサー

>>234

姫様を戦場に出すなんて言語道断! 

まだ我らだけで何とかなりますぞ! 

 

236:名無しのフィクサー

>>234

姫様を連れ出すのは我らを全員殺してからにして欲しいでありますな! 

 

237:名無しのフィクサー

うーわ出た

トレスネキの直属じゃん

 

238:名無しのフィクサー

また癖の強い奴らが来たか……

 

239:名無しのフィクサー

トレス組直属の名前なんだっけ

 

240:名無しのフィクサー

トレスネキの取り巻きじゃないがトレスネキ出さないのは賛成

ネキ非戦闘要員やん

 

241:名無しのフィクサー

>>239

我々は姫様の代わりに業務を遂行する直属部隊、その名も『手足』! 

 

242:名無しのフィクサー

>>239

姫様の命令があれば例え火の中水の中! 

それが我ら姫様直属の部隊手足である! 

 

243:名無しのフィクサー

あー思い出した

手足とか言いながら目とか耳とか鼻とか口だとかほざいてた奴らか

 

244:名無しのフィクサー

>>243

教えてもらっておいてこれは草

 

245:名無しのフィクサー

え? トレス組ってこんなイカれ野郎しかいないの? 

 

246:名無しのフィクサー

>>240

元は自分の作った武器で戦いたい戦闘狂の集まりやぞ

 

247:名無しのフィクサー

>>245

ワイ一般トレス組所属

こんな奴らと一緒にしないでほしい

 

248:名無しのフィクサー

>>245

あくまでコイツらはトレスネキ直属のエリート部隊ってだけや

一般トレス組所属は至って普通やで

 

249:名無しのフィクサー

まあトレス協会所属になったのが自家製の武器の審査が面倒でなら俺らが作って俺らが審査すればええやんで入ったからな

元はただのルナ事務所所属の工房だもん

 

250:名無しのフィクサー

>>249

それもあるが武器の税金の抜け穴や規制などの把握がしたかったのも大きいですぞ! 

 

251:名無しのフィクサー

じゃあ武器製作が劇的に改善したかと言われたらそうでもなかったである! 

 

252:名無しのフィクサー

流石に自分で作って自分で審査はグレーゾーンだったぞ! 

 

253:名無しのフィクサー

まあそんな事出来たらトンデモ武器作れちゃうもんな

 

254:名無しのフィクサー

やめてよ次の日足爪が事務所の前にいるとか

 

255:名無しのフィクサー

まあ工房って頭からの規則バカ厳しそうだもんな

 

256:名無しのフィクサー

そもそも工房って都市的には事務所と同等よな

やろうと思えば事務所から独立出来るよな

 

257:名無しのフィクサー

ルナ事務所のあんな物やこんな物も作ってるから独立されるとかなり困る

 

258:名無しのフィクサー

>>257

姫様が望んでないのでしないですぞ! 

 

259:工房担当トレスネキ

そーそー

この事務所気に入ってるしー

 

260:名無しのフィクサー

姫様!!! 

 

261:名無しのフィクサー

姫様が!!! 

 

262:名無しのフィクサー

お前ら頭が高いですぞ! 

頭を垂れろですぞ! 

 

263:名無しのフィクサー

これでどうやって頭下げんだよ

 

264:名無しのフィクサー

トレスネキちっす

直接出向く? 

 

265:名無しのフィクサー

都市悪夢である以上生半可な手は通じんぞ

 

266:工房担当トレスネキ

うーん

出るわ

 

267:名無しのフィクサー

なりませぬ!!!!! 

 

268:名無しのフィクサー

姫様が出るなんてとんでもない! 

我々だけで十分ですぞ! 

 

269:名無しのフィクサー

姫様に何かあれば我々はどうすれば……

 

270:名無しのフィクサー

こいつらうるさ

 

271:工房担当トレスネキ

こっちもこれ以上人員失いたくないし都市悪夢なら本腰入れないとまずいでしょ

 

272:名無しのフィクサー

つまり我々の努力不足……

 

273:名無しのフィクサー

情けない限りでありまする……

 

274:名無しのフィクサー

姫様があの役立たずのカスを気遣う必要はないでありますよ! 

死んだなら彼の忠誠心はそれまでであっただけであります! 

 

275:名無しのフィクサー

姫様の為により一層強くならねば……

 

276:名無しのフィクサー

いい加減うるせーぞお前ら! 

ほぼ荒らしじゃねーか! 

 

277:工房担当トレスネキ

舐めてたつもりはないけど都市悪夢って桁違いだったわ

L社の方もあるし失敗出来ないから私が出るね

って事でがんばってくる

 

278:名無しのフィクサー

勿論お供しますぞ姫様! 

 

279:限界過労シニキ

ちょい待ち

トレスネキ出るなら俺も出るわ

 

280:名無しのフィクサー

 

281:名無しのフィクサー

シニキ? 

 

282:名無しのフィクサー

うおうシニキやん

どうした? 

 

283:名無しのフィクサー

シ組部長が出るの珍しいな

 

284:限界過労シニキ

この事案かなりきな臭いからギブかけようか悩んでたんやけどトレスネキ出るなら手伝うわ

 

285:名無しのフィクサー

シニキがイエローカード出すのって相当では? 

何があった? 

 

286:名無しのフィクサー

そんなヤバいならディレイ掛けて代表とかと相談した方が良くね? 

 

287:工房担当トレスネキ

シニキ来てくれるの? 

さんきゅー

 

288:名無しのフィクサー

ウッ(尊死)

 

289:名無しのフィクサー

勝手に死んどけ

 

290:限界過労シニキ

正直確証があるわけでもないし他にも手回してるけど危なくなったら即撤退とだけ

 

291:名無しのフィクサー

リウニキとかセブンネキ辺りとかは出さんくてええんか? 

 

292:工房担当トレスネキ

おっけー

 

293:名無しのフィクサー

承知でありまする! 

 

294:名無しのフィクサー

情報共有感謝である! 

 

295:限界過労シニキ

>>291

全体的に相性が悪い

 

296:名無しのフィクサー

てか今回の目的のアイツって何? 

 

297:名無しのフィクサー

アイツってどいつや

 

298:名無しのフィクサー

>>296

金の泥田坊のこと? 

 

299:名無しのフィクサー

>>296

泉の女神みたいな面して出てくる奴のこと? 

 

300:名無しのフィクサー

そうそう

都市って動物はセーフでも怪物はアウトだろ? 

 

301:名無しのフィクサー

白夜黒昼まだやからねじれでもないんよな

 

302:名無しのフィクサー

都市にあんな怪物モドキおったっけ? 

大湖ならともかくガッツリ都市の中やぞ? 

 

303:限界過労シニキ

>>296

そこも含めて調べてくるわ

 

304:名無しのフィクサー

作中ではあんなの無かったよな? 

セブン組とシ組が分からんなら誰も分からんか

 

305:名無しのフィクサー

まあシニキとトレスネキ出れば何とかなるか

 

306:名無しのフィクサー

じゃワイらの代わりに頑張ってくれ

 

307:名無しのフィクサー

トレスネキもここの部長なだけあってかなり強いもんな

 

308:名無しのフィクサー

明らか今回怪しいし救出できん可能性あるから安全第一で

特にシニキとトレスネキ

 

309:工房担当トレスネキ

まかせてー

 

310:限界過労シニキ

肝に銘じます

 

311:名無しのフィクサー

>>308

我々にも応援の言葉を……! 

 

312:名無しのフィクサー

がんばれー

 

313:名無しのフィクサー

>>311

しゃーねーな

手足の厄介集団も頑張れよ

 

314:名無しのフィクサー

お気遣い感謝である! 

 

315:名無しのフィクサー

ノシ

 

316:名無しのフィクサー

ついに俺らも都市悪夢クラスか……

 

317:名無しのフィクサー

成長速度半端ないな

 

318:名無しのフィクサー

>>316

尚そこまで成長しているのは部長クラスだけの模様

 

 

 ………

 ……

 …

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、もしもし」

 

「ええ、私です、モルテムです」

 

「……知らなかったんですか? 最近、プシュケさんがゲゼルシャフトを改良して作ったんですよ」

 

「……まあ、ボイスチャットみたいな物ですよ」

 

「……はい、それでお願いします」

 

「では、出来るだけ早く大湖から帰って来て下さいね」




ロボトミー社のお話はもうちょっと後になりそう
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