機動戦士ガンダム GQuuuuuuX とある少年達の記録   作:冷凍みかんは冷たい

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ジークアクス最終回良かったです。

見たその日の夜は興奮しすぎて全然眠れませんでしたが。


軍警との戦い

 

あれから僕は付いて行く原因になってしまった幼馴染のマチュと、サングラスを掛け直した少女と共にお届け先まで行くことになり、夜の街を歩く事になった。

 

「はぁ…何でこんな事になったんだ…」

 

「まだ言ってるのレイ、もう決まった事なんだからあーだこーだと言わないの」

 

何故かマチュに逆に説教を喰らってしまい僕が悪者みたいな感じで言われてしまった。

 

「その原因を作ったのは誰だよまったく…それでまだかかりそうなのか?」

 

「うん、もうちょっとかかるから…付いてきて」

 

少女は僕の方を振り向きながらそう言うと、その時僕はサングラスからチラリと見える左目をみると目尻の所にアザがあるのを発見する。公園ではよく見えなかったが怪我をしていたとかと思い、僕はリュックから医療箱を取り出し湿布を少女へと渡す。

 

「…別にいいよ。」

 

「跡になったらどうするんだ。こんなものしかないが貼ってくれ。幾分かマシにはなるとは思う」

 

少女は少しの間僕を警戒していたが、その湿布をようやく受け取り、アザの所にペタリと貼る。

 

「……ありがとう」

 

少女は頬を少し赤らめ恥ずかしそうに言った。

 

「どういたしまして」

 

「………」

 

何故かマチュは不機嫌そうな顔をしながら僕の肩を蹴った。地味に痛い。

 

「何するんだよ!?」

 

「別に…」

 

マチュは半目で僕を睨みつけ、口篭った声で何か言っているみたいだが僕には聞こえなかった。

 

そんなやりとりをしつつ、僕達は橋の下にグラフィティが描かれている絵の道を通り過ぎると街並みがチラシが雑に貼られている雑居ビルや電柱などが乱立している地域へと変わり僕達はそこへと入っていく。マチュはその街並みを興味津々にキョロキョロと見渡しており見るからに危なっかしい。

 

「マチュ、逸れるなよ。変な人に連れ去られても僕は知らないからな」

 

「分かってるよそれくらい…」

 

その後、僕達は裏路地へと入り、ジロジロと見てくる視線を潜り抜け、数分ぐらい歩くと少女は赤いランプの灯りが照らすドアの前で止まる。どうやらここが目的地の様だ。

 

ドアの上には監視カメラが一台あり、おそらくそれで僕達を監視しているのだろう。少女はインターホンを鳴らそうと人差し指で押そうとするが指はピタリと止まる。

 

「……大丈夫か?」

 

「………………」

 

少女まるでマネキン人形の様にピクリとも動かない。練習すればパントマイム師を目指せるんじゃないかというぐらいに見事に止まっている。

 

「……えいっ」

 

「あっ待って…」

 

マチュは少女の静止を無視し、素早くインターホンを鳴らす。

 

「……コンニチハ…オイソギデスカ?」

 

少女はそれにあわあわして戸惑いながらもカタコトの棒読みでそう言った。おそらくそれが合言葉だったのだろうか、ガコンとドアのロックは外れゆっくりと開く。

 

その先を見ると、中は上へと登る細い階段になっており、少女を先頭にそこを登っていくと、スラム街の景色が見える屋上に着く。

 

そしてその屋上にぽつんと一つの明かりがついている部屋を発見し、少女はサングラスを外しながらその部屋のドアを開くと、奥の方から手が出てきて「来い」と言わんばかりに手招きをしていた。

 

僕達は誘われた通りに中に入るとそこは事務所であり、奥の方に全員全裸という訳の分からない言葉が額縁として飾られている部屋だった。

 

そしてその中にいたのはピリついた空気を出している3人の男達と黒のニット帽を被り白いハロを抱えた1人の女性がいた。

 

「……どうもこんばんわ…」

 

僕はおそるおそるその4人に挨拶をするがピリついた空気は変わらず、相変わらず僕らは睨め付けられている。その内の1人の男が青筋に血管を浮かべ、かけているメガネを揺らしつつ少女に怒鳴りつけて来た。

 

「おめー、運び屋のくせにサツに見つかってんじゃねえよ!お陰でこっちは大変だっつの!」

 

メガネの男はイライラした様子で声を荒げて少女に強く言う。続けてもう1人の細身の男が喋り出した。

 

「アンキー、コイツです、コイツが駅でサツに追われてました。まったく…直接来られても困るんだよ」

 

「ったく、ほんといい迷惑だぜ!!」

 

少女はメガネの男に指を刺されながらそう言われるとしゅんと落ち込み僕の後ろにすっ、と隠れてしまう。

 

「ま、まあ…そんなに怒鳴らなくても…」

 

僕は落ち着かせようとメガネの男を説得するが、男は聞く耳を持たず。

 

「うるせぇ、テメェは黙ってろ!」

 

「……はい、すみません」

 

「…だけど今日中にって、ね?」

 

マチュはフォローする様に言い、少女の方を振り向く。少女はソレにこくりと頷いた。

 

「先払いなんだし、それは当然だろ?」

 

もう1人の金髪のピアス男がそう言うと、少女は気まずそうにどんどんと僕の後ろに縮こまる様に隠れている。というかなんで僕の後ろに隠れるんだ?僕より背高いから身体隠れきれてないんだが…。

 

「えっと…とりあえずデバイスを渡してくれないか?」

 

「あ、うん…」

 

僕は少女にデバイスをイライラしてるメガネの男に渡すように言い、少女はそれを渡す。

 

「あの、これで間違いないですか?」

 

「おう…これこれ、これさえあればバトルができる!」

 

メガネの男にデバイスを渡すと、男はパソコンを取り出すとそれをデバイスに接続する。そして細身の男と一緒に作業を始めキーボードを打つのだが、その途中パソコンからエラー音が部屋中に鳴り響く。

 

「くそっ、こいつデバイス壊れてやがる!」

 

「こりゃ粗悪品掴まれたな、やれやれ…」

 

どうやらデバイスに何らかのエラーが発生し、2人は不良品だった事にがっくりしてショックを受け、項垂れていた。

 

「それは残念としか言えませんね、よっぽど質の悪い所と取引してしまったんでしょう。レビューとかちゃんと確認しないと…」

 

「裏取引にレビューもクソもねえよ畜生!せっかく高い金払ったのにテメェらどうしてくれんだよ!!」

 

そんなこと言われてもなあと思いつつ、僕は原因を確認する為、僕は2人の側にあるパソコンに近づき画面を確認して原因を探る。

 

「てめえ…何勝手に見てんだ!シロートが直せるもんじゃねえんだぞ!そこわかってんのか!」

 

「…少し落ち着いてください…部品不足か、接続不良の可能性があるな…ちょっと見てみます」

 

「お、おいお前何する気だ!」

 

「何って…修理ですけど?」

 

僕はパソコンからデバイスの接続を抜いてリュックから工具箱を取り出しドライバーでデバイスの中身を丁寧に分解し状態を確認する。

 

「……わかった。ここの線が断裂してるんだ。それと部品も丸々無くなってる所もあって…これだと起動はするけどマトモには動かせないな。だがちょうど部品が工具箱の中にあるからこれなら直せる」

 

僕はエラーの原因が分かり、すぐにデバイスの足りない部品を工具箱の中から取り出し、デバイスに足りない部品を次々に入れていく。それをマチュ以外の人は珍しそうに見ていた。

 

「……お前何者だ?」

 

細身の男が僕に問いかけてくる。

 

「ただの機械いじりが好きな唯の学生ですよ」

 

優しく、そう答えたつもりだったがメガネの男が急に立ち上がり僕に怒鳴りつける。

 

「嘘つけテメェ!ただの学生がそんなこと出来るわけねえだろ!」

 

「いや、だから本当に普通の学生なんですって…」

 

メガネの男は僕に掴み掛かろうと近づくが、最後の1人のオレンジ髪の女性がそれを止める。

 

「ジェジー!…すまないね。気にせず続けてくれないか」

 

「あ、ありがとうございます」

 

僕は心の中で危なかったとホッとしつつ、作業を進める。そして部品の取り付けが完了し僕はドライバーでデバイスのネジをきっちり閉めた後、修理したものをメガネの男に渡す。

 

「これで大丈夫なはずです。パソコンに接続して見てください」

 

「…動かなかったら承知しねえからな」

 

メガネの男は僕を睨みつけ、修理したデバイスを受け取って改めてパソコンに繋いで細身の男と共に作業を進める。

 

「これで仕事は完了…と言うわけで僕達はこれで失礼させてもらいます」

 

僕はそう言い、工具箱にドライバーをしまって帰る支度をしていると先程メガネの男を止めてくれたオレンジ髪の女性が僕に近づいて話しかけてきたのだった。

 

「ねえアンタ、その技術独学かい?」

 

「…いえ、これは父から教わっただけですけど…大したものじゃないですよ」

 

「そうかい、しかし助かったよ。アンタがいなかったらこっちは泣きをみていた所だった。ちなみにアンタ、MSは弄れるのかい?」

 

「…まあ、はい。基本的なMSは一応触ってるとは思うのでいけると思いますけど」

 

「そりゃすごいね。……もしよかったらなんだけどクランバトルで使う私らのMSを見てみるかい?連れの2人と一緒にね」

 

女性の言葉に細身の男が突然、作業をやめて立ち上がり猛反対する。

 

「本気か?こんな子供に俺達のMSを見せるのか!?」

 

「ナブは黙ってな!それで、どうなんだい?」

 

本来ならデバイスを渡した後帰るつもりだが…どうするか。

 

「ねえレイ。どんなMSか見てみない?」

 

突然マチュが僕にそう話しかけてくる。目がなんか爛々として見たい見たいと僕に訴えかけてくる様だった。

 

とりあえず、ここで断るなんて選択肢を選んだらマチュが不機嫌な顔をして後々僕が痛い目を見ること間違いなしだろう。前にそれで散々な結果になってしまったことは記憶に新しい。

 

「……まあ、見るぐらいなら大丈夫ですよ。えっと…」

 

「アンキーでいい」

 

「はい…アンキーさん。その…案内よろしくお願いします」

 

「あいよ、ほら付いて来な」

 

オレンジ髪の女性、アンキーさんは僕達3人を薄暗い倉庫へと案内する。アンキーさんが倉庫の明かりをつけるとそこには緑色のMS、通称ザクがあった。

 

腰には相手を切りつける斧の形をしたヒートホークがあり、左の太もも辺りには可愛らしい黄色のペイントで描かれた犬のマークとその下にはPOMERANIANSと書かれていた。

 

「…何で犬?」

 

マチュはザクに近づいて興味津々でじっと眺めており、少女は相変わらず僕の後ろに隠れきれていないのに隠れている。

 

「…前にレイに見せてもらったザクとはカスタムが違うね」

 

「ああ、本物のザクだけど…これは払い下げのザクかな?所々古いし…」

 

「このザクで私達はクランバトルに出るんだが…もしこれで戦うとして私たちは勝てそうかい?」

 

「僕に聞いてるんですか?」

 

「他にいないだろ?で、どうなんだい?」

 

見たところザクは最低限の整備はされてはおり、戦える状態なのは分かるが金がないのか左腕がフレーム部分だけであり装甲部分は付いてはない。かなり不安だ。

 

「……一応聞きますけど武器の遠距離用のやつはありますか?」

 

「ウチにそんなものは無いよ。まあ近接用の武器はあるけど」

 

「……凄腕のパイロットとかは…」

 

「多少は戦える人間はいるけどそこまで凄腕ってわけじゃないね」

 

「…そういえばクランバトルって何対何で戦うんでしたっけ?」

 

「2機1組で基本はそれで戦うんだ」

 

「で…残りの1機は?」

 

「一応もう一機の方のザクを他の方から借りるつもりだけど…厳しいかい?」

 

「……せめて遠距離武器が欲しいところですね」

 

正直な所、これでクランバトルをやれるのか不安だ…と、そう考えていると突然、建物に地響きが鳴り響き地面が揺れる。

 

「うわっ!?な、なんだ!?」

 

「MSだ!コロニー内に2機入ってくるぞ!」

 

金髪の男が倉庫のドアからそう叫び、僕達全員は建物の外へと急いで出る。

 

外に出ると、地面から謎の白いMSと赤いMSが地響きと共にコロニーを突き破り入ってくる。そしてその2機のMSは取っ組み合いながらコロニー内で争っている。

 

僕は遠目ではあるものの、あの赤いMSに見覚えがあった。前に資料で見た一年戦争で活躍した赤いガンダムだ。だがもう1機の方は見た事がないタイプのMSだった。しかし若干ではあるものの、あの赤いガンダムと少し似ている気がした。

 

「あれは、新型のガンダム…なのか?」

 

赤いガンダムは丸い球体らしき物を操って直接に攻撃を当てている。対して白いMSはなんだか動きがぎこちない様子であり赤いガンダムに押されていた。

 

やがてそのMS2機の戦いは激しさを増し、数キロ先のスラム街へ砂煙と共に落ちた。

 

「おいおい、こんな所でっ…」

 

赤いガンダムは起き上がると何故かキョロキョロと顔を動かし何かを探している様であったが、対して白いMSの方は起き上がると同時に背中から何発もの煙幕弾が勢いよく飛び出す。

 

煙はこちらまでやって来てしばらくするとそれが晴れる。だが晴れた頃にはあの白いMSも赤いガンダムも消えていた。その直後、黒いザクが2機、上空から僕達のいる場所の数百メートル先のスラム街に何の躊躇いもなく着地する。下にいた者はおそらく生きてはいないだろう。

 

「あのザクは軍警の奴か…!」

 

軍警の黒いザク…黒ザクは何かを探しているようだった。おそらくあの2機のMSを探しているのかよく分からないが、建物内にいる人達を無視して建物を壊し、まるで虫ケラの様に人を踏み潰す。そんな軍警の無惨な光景に僕は唖然とした。

 

「やり過ぎだ…ここには住んでる人達もいるのになんて事をするんだ!」

 

「…軍警の奴らは警備活動っていう建前でやってるのさ。だが結局やってる事は私らを悪だと決めつけてここに住む人達を人なんて思っちゃいない…だからあんな事ができる。アンタらだって知っていたはずだろ?このコロニーに住んでるならさ」

 

「それはっ…そうですけど…」

 

朝、マチュのスマホを踏んづけた時も軍警の奴らは謝らずに少女を追う為に去っていった。民間人への配慮も何もない奴らである事は確かだ。前にも色々民間人の間でトラブルが起きてる事はニュースでも時々問題になっている。

 

「…ここにあるザクで戦わないの?」

 

「バカ!軍警とやり合うなんて自殺行為だ!」

 

マチュがとんでもない事を言い、メガネの男が反対する。

 

「マチュ、そんなこと言ってないで早く逃げるぞ!僕たちまで巻き込まれる事になる!悪いが僕達と…」

 

少女の方を向いて一緒に逃げよう。と言いかけた時少女の顔を見る。それはとても暗く悲しげな表情をしていた。

 

「このままやられっぱなしとは…いかないよな」

 

僕があの黒ザクの中の人を殺す…とまではいかないが、少女にあの様な悲しげな顔をさせる奴らを一回懲らしめるくらいはしたい。だが今の所、動かせるMSはアンキーさん達のザクだ。ここ頼み込むしか…

 

「すみません、アンキーさん。その…」

 

僕はアンキーさんの方を向き、ザクを借りれないか問おうとしたその時。マチュが突然僕の襟首をがっしりと掴み引きずる様に僕は事務所に連れ込まれる。

 

「うおっ!?お前何するんだよ!!」

 

「レイは知ってるよね、操縦の仕方!MS修理してくるくらいだし!」

 

「そりゃ分かるが、というかお前まさか…」

 

「そ、レイが操縦方法を私に教えて私が操縦するの」

 

「おい、流石にそれは無茶すぎるっての!大体教えたからってうまく操縦できるか保証もできないぞ!」

 

「そんなのやってみなくちゃわからないじゃん!ほら、行くよ!」

 

「お、おいっ引っ張るなって!」

 

マチュは事務所に入ると空いた方の手でパソコンの近くにあったデバイスを取り、ザクのある倉庫の方へと向かう。そうこのほう倉庫の方へと着くと僕の襟首を掴んでいる手を離しコックピットに乗り込んだ。

 

「まったく、教えながら操縦って無謀すぎるだろ…」

 

僕は首を抑え咳をしながら呆れていると。

 

『ムボウ!ムボウ!』

 

突然、僕の後ろから機械の声が聞こえその声の方を振り向くと白いハロが元気よくぴょんぴょんと跳ねていた。

 

「お前…何でこんなところにいるんだ?」

 

『シンパイ!シンパイ!』

 

やれやれ…何が来たかと思えばアンキーさんが持っていたペットロボか。

 

『ノル!ノル!』

 

「いや、危ないから乗らなくていいぞ?」

 

『イヤ!ノル!』

 

「いやだから…」

 

『ノル!ノル!』

 

しつこいなこのハロ…というかこんなことしてる場合にも軍警に建物が破壊されてしまうな…仕方ない。こいつを連れてくしかないか。

 

「はぁ、安全は保証しないが乗るか?」

 

『ウン!』

 

僕は左腕にハロを抱え、マチュのいるコックピットに乗り込みハッチを閉じる。そしてマチュからデバイスを受け取り座席にある差し込み口に刺すと安全装置のロックは解除された。

 

「これで戦える様にはなったが…とりあえずそこのレバーを引いてくれ」

 

「はいはい、これね…」

 

僕の教えた通りにマチュはゆっくりと操縦桿を動かすと、ザクはゆっくりと動かしながら外へ出るシャッターを開ける。シャッターから出て腰にあるヒートホークを右手に持ち、街の道に出るがあの黒ザクはどこにも見当たらない。

 

「……どこにもいない」

 

「もう遠くに行ったとか?」

 

「そんなはずはないとは思うけど…マチュ、横!」

 

「え?」

 

僕は横に黒ザクがいるのを発見し、声を上げるがその時には相手が僕達に向けて強烈な蹴りを浴びせ、それは僕達の乗っているザクの横腹に直撃する。

 

「うわぁ!?」

 

「くっ!?」

 

僕達の乗るザクはバウンドしながら転がり、コックピット内はまるで洗濯機の中の如く回転すると壁に激突。回転が止まり一安心も束の間、僕らはそのまま垂直に落下していく。

 

「うおおおおっ!?」

 

「きゃぁぁぁ!?」

 

落下中、僕はすぐにマチュの頭を抱き寄せザクが地面に落ちた瞬間、背中を強打する。

 

「いっ…!?」

 

僕は多少右肩に痛みはあったものの、なんとか無事だ。マチュの方も確認するが怪我は無さそうだ。落ちてきた先はどうやら何かの通路トンネルのようであり結構通路は広い。通路内は灯りがついている。

 

「レイ、大丈夫?」

 

「ちょっと痛いが問題はない…っ、早く立ち上がらないと来るぞ!」

 

マチュはザクを立ちあがらせようとするが右足がまったく動かない。どうやら落ちたショックでやられたようだ。

 

「ダメ!これじゃ立てない!」

 

「ヒートホークは!?」

 

「さっき落ちた時に落ちた!」

 

「くそっ、このままじゃ…」

 

そうこうしていると僕達が落ちてきた穴から黒ザクがやってくる。そして僕達の乗っているザクのコックピットをマシンガンの銃床で叩きつけられ続ける。このままだとこじ開けられるのも時間の問題だ。

 

「ああもう、ガンガンうるさいな…!」

 

「くそっ、どうすれば…!?」

 

この状況をどうしようかと僕は辺りを見渡すと横に、先ほど赤いガンダムと戦っていた白いMSがコックピットを開けっぱなしで倒れていた。

 

「…おいマチュ。見てみろアレ」

 

「あれってさっき見たMSだよね?」

 

「なんで開けっぱなしのまま置いてるんだ?不用心にも程があるな…」

 

「あれ、使えるかな?」

 

「おい、まさかアレに乗る気か?」

 

「その……とおりっ!!」

 

マチュは手を伸ばし、ブースターを操る操縦桿を勢いよく引っ張る。すると乗っているザクの背中にあるブースターが全開になり軍警のザクへと玉砕覚悟で突進する。

 

「教えてもないのに何で動かせるんだよお前っ!?というか無茶するな本当に!!」

 

黒ザクは体制を崩し、そのタイミングでマチュはコックピットを開いて脱出する。

 

「レイ、早く来て!」

 

『ゴー!ゴー!』

 

「おい、待てって!?」

 

僕は咄嗟にハロを持ちながらマチュを走って追いかける。そして追いつくと、僕はマチュと並走しながら白いMSへと走る。

 

「よし、このままいけばあのMSに…」

 

「おい、それに乗るな!」

 

突然目の前にパイロットスーツを着た男が走ってくる僕達を止めようとしてくる。

 

「すいません、通りますよ!」

 

僕は咄嗟に目の前にいる男の前で高く飛び、相手の男の肩に右足を乗せ、踏み台にすると男のパイロットは蹴られた反動で前に倒れ、そしてそのままコックピット内へと僕は飛んで入った。

 

「よっと、さて…」

 

リニアシートへと座り込んだ僕はコックピット内をざっと確認する。コックピット内は左右には複数のボタンとレバーがあった。

 

「これで操作するのか…?」

 

その時マチュが遅れてコックピットに乗り込み、無理やり僕を突き飛ばし横に吹っ飛ばされる。そしてマチュはリニアシートに座り込んだ。

 

「痛っ!?お前危ないだろ!」

 

「うるさい!私が操縦するって話でしょ!」

 

「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!早くこいつを動かさないとあのザクに…」

 

『ロックガ、ハズレル』

 

「え?」

 

突然僕が持っているハロがそう言うと、マチュの股下の方から機械音が鳴りコックピットが閉まると、突然両方のボタンとレバーは折り畳まれ前の方へと移動される。

 

「急に動き出した…何なんだコイツは」

 

するとマチュの後ろにある左右の二つの丸いシャッターの様なものが開く。すると人間の腕を模したモノが現れ、先程あったレバーの所へと移動し手を開いた。そこには操縦するボタンらしきものがあり、マチュはそこに手を添える。その様子はまるで手を握り返している様に見えた。

 

「ねえ、これどうやって動かすの?」

 

「おそらくそのボタンで操作すると思うが…」

 

どうにかしてコイツを立たせられないかと考えていると、突然僕らの乗っている白いMSはゆっくりと動き出しそして

 

「マチュ、お前どうやったんだ?」

 

「いや、ただ立ってくれって思ったら立ったんだけど」

 

「そんなバカな事っ…やばいくるぞ!」

 

モニターを見ると体制を立て直したザクが突進してこちらに襲いかかって来た。

 

「飛ぶよ、レイ!」

 

「え?ちょっと待…」

 

白いMSは左足を踏み込み黒いザクの頭上を軽々と飛ぶ。突進攻撃を避け地面に着地して転がりながら先程僕達が落としたヒートホークを拾い、後ろを振り向くと同時にこちらを振り向いた黒いザクの首を切り落とす。そして頭が落ちたのと同時に黒ザクは後ろへと倒れた。

 

「凄い、このMS思った通りに動くよレイ!」

 

「そりゃ分かったがいきなり飛ぶな!びっくりしたぞ…おいハロ大丈夫か?」

 

『ヘイキ!ヘイキ!』

 

ふぅ、と一息つきハロを抱えながら切り倒された黒ザクの様子をモニターで確認する。切られた部分はチューブが飛び出し、胴体部分はピクリとも動かない。人間ならともかくザクのコックピットは胸にある為、おそらく死んではないだろう。

 

「しかし思った通りに動くMSか…なら僕が乗ると動きに支障が出るはずだけど何か条件があるのか…しかもMSであの動き…」

 

僕がこの白いMSについてそう考えていると、もう一体の黒ザクが突然トンネルの奥から突然飛び出し、マシンガンをこちらに向けるのが見えた。

 

「おい、来るぞ!」

 

「うぇっ!?」

 

マチュは奥の黒ザクに今気づいたが、その時にはもうマシンガンを発砲していた。幸いにも銃弾は僕達には運良く当たらず、トンネル内の壁や床に弾痕を付けるだけであった。マチュはその隙に奥の通路へと走り右の曲がり角へと逃げ隠れる。

 

「危うく当たるところだった…」

 

マチュは隠れながら黒ザクの様子を確認するがマシンガンを乱射しながらこちらへとゆっくりと歩いてくる姿が見える。

 

「このまま奥へと逃げたいところだけど…ね」

 

奥の方を僕達は確認する。そこには何処かへと出そうな大きな扉はあるがガッチリとロックされておりどうやっても開かなそうに見える。

 

「まさに絶対絶命だな」

 

僕がこの状況をどうするか考えていると黒ザクから突然ノイズが聞こえ、やがてそれはハッキリとした男性の声へと変わる。

 

『おい、そこの白いMS!早くそこから出て投降しろ!大人しく出れば怪我ぐらいで済ませてやる!』

 

「……そこは怪我しないって言うんじゃないのか?」

 

「そう言って大人しく投降するバカはいないんじゃない?」

 

僕達は軍警の言葉に呆れるが、声はこちらの聞こえていない為話し続ける。

 

『早くしろ!早くしないと蜂の巣にするぞ!オラ、出てこい!!』

 

「なんか、悪党みたいなセリフ言ってるけど自覚あるのかな?」

 

「そういう三下のセリフは死亡フラグだって何処かの誰かさんは言っていたけどな…とりあえずこの状況をなんとかしないとな。マチュ、耳を貸せ」

 

「え?何?」

 

僕はマチュに耳打ちでこの状況を打破する為のある方法を伝える。

 

「………どうだ?できそうか?」

 

「確実に出来る…とは言えないけどそれって危険すぎない?」

 

「だが、武器もこのヒートホークしかない以上これしかない。やり方は今さっき教えた方法でやれ。いいな?タイミングはこっちで伝える」

 

「…分かった」

 

僕は軍警のマシンガンの弾の音が鳴り止むまで待つ。連続して聞こえる音がまるでカウントの様に聞こえる。それが止まった時、僕達の勝負所だ。

 

「さあ…来い!」

 

マシンガンの音がようやく止まる。その瞬間、僕は大声で叫ぶ。

 

「今だ!!」

 

マチュはそれを合図に勢いよく角から飛び出す。ヒートホークを左手に持ち黒ザクの方を見る。

 

『はっ、バカめ!わざわざ蜂の巣にされに来たか!弾切れになるタイミングで出たつもりだがまだこっちには弾は残ってるんだよ!死ねぇ!!』

 

軍警はそんな事をわざわざこちらに説明してくれるがそれも想定内だ。だからこそ僕達はこの一撃に賭けることにした。

 

『へ?』

 

マチュは飛び出した瞬間、全身を使うように捻りつつヒートホークを投げつける。それはまるで弾丸の如く黒ザクの頭部へと向かう。

 

『何ィ!?』

 

黒ザクは何とか防ごうとするがマシンガンは構えたままであり今のヒートホークの投げの速さではガードしようとすれば間に合わないだろう。

 

『くっ、このぉぉぉぉっ!!』

 

軍警の必死な声が響く。何とかして避けようと黒ザクの膝を曲げ必死にしゃがむ。投げたヒートホークは頭部を擦り致命傷には至らなかった。

 

『へへっ、今のは危なかったがこれで終わり…!?』

 

軍警は僕達が先程居た場所を確認するが僕達は今そこにいない(・・・・・・・)、なぜなら。

 

『あ…』

 

軍警が気づいた頃にはもう遅い。僕達は黒ザクの頭部を右手で触れている。あの時僕達はヒートホークを投げつけた瞬間、上空へと飛び上がり相手の首の上に飛び乗ったのだ。今僕達は黒ザクの頭の所で片手倒立をしている状態だ。

 

『う、うわぁぁぁぁぁ!!』

 

軍警の叫び声がトンネル内に響いたと同時に黒ザクの頭部を捻じ切る。そして捻じ切った頭を手に持ちながら地面へと着地する。

 

「ヒートホークに当たってもダメ。避けてもダメ。まさに回避不能の技…残酷すぎないこれ?」

 

「これしか方法がなかったんだよ。悪いか?」

 

黒ザクは膝から崩れ落ち、前のめりに倒れる。マチュはちぎれた頭部を投げ捨てトンネル内を改めて確認する。

 

「とりあえず他に敵はいなさそう」

 

「そうか、なら早くここから出よう。とりあえずこの壊れたザクを連れて行かないとアンキーさん達に何て言われるか…」

 

「OK、分かっ……」

 

マチュがザクを運ぼうとしたその時、突然白いMSの動きが急に止まる。

 

「あれ?おいどうしたマ…チュ?」

 

動きが止まり、僕はマチュに何か起きたのかと様子を見るために振り向く。するとマチュはぼーっと天井を見ており、目は瞳孔が開いていた。まるで見えないナニかを見ているような…そんな気がした。

 

「おい、どうしたマチュ!」

 

僕はマチュの肩を手に置いてゆさぶる。するとマチュは突然瞳孔が閉じ、僕の方を振り向いた。

 

「何だレイか…」

 

「何だって何だよ。というかお前大丈夫か?目の瞳孔開いてたし操縦したせいで疲れてるんじゃないか?」

 

「…レイは見えなかったの?アレが」

 

「アレってどういうことだ?」

 

「キラキラだよキラキラ!さっきまで周囲が極彩色でブワーッとキラキラしててその横に赤いガンダムがこっちを見てて…」

 

マチュの突然の意味不明の発言に僕はマチュは疲れてるのか、何らかのストレスを抱えているのではないかと推測する。

 

「……お前、疲れてるんじゃないか?そんなの僕には一切見えなかったぞ」

 

「本当だって!」

 

「まあ認めたい気持ちは分かるが、現実と幻想の区別くらいはつけといた方が…」

 

「このバカレイ!知らない!アンタなんか首でも吊って死になさい!」

 

「ぐえっ!?やめろ!首を絞めるな!!」

 

僕はマチュに首を絞められながらアレコレ言い続け、数分間経った後ようやくマチュは落ち着き、とりあえずザクを運ぼうと白いMSを操作させてザクを背負ってもらいアンキーさん達の方へと向かったのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

???SIDE

 

「ああ、アンキー久しぶり…」

 

「今何処にいるって?ああ、それなら地球。今海にいるよ」

 

「地球の海はいいよ。静かだし風も気持ちいし…」

 

「え?2人の子供が私達のザクに乗ってった?軍警を倒しに?」

 

「…面白い子達だね。誰なのその子達?」

 

「そう…か……やっぱりそうなんだ」

 

「いや、何でもない。それじゃ頑張って」

 

「………ふう、やっぱり運命は避けられないか」

 

「いつかまた会える時を楽しみにしてるよ……レイ」

 

 

 




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