チート転移者が異世界のケモノ共に挑む話   作:テムテムLvMAX

1 / 1
期待できそうなら評価してね!
肌に合わねぇって?そりゃ……すまんかった。


一話 プラモたのし〜

 広い円卓に、十三の席が並ぶ、それは木製で質が良い、そこに腰掛けるのは二人の男性、広い円卓に対面で座っていた。

 一人は思い詰めたように顔をしかめ、一人は無表情を貫いた。

 

 無表情の男が口を開く。

 

 

「……神の力を超えた獣を狩る者が必要だ」

 

 

 思い詰めた男は言葉を返す。

 

 

「して、その者はどう選ぶ」

 

 

 無表情の男は目を閉じ、重く低い声でいう。

 

 

「我々の想定を超える知識が必要だ」

 

 

 思い詰めた男は納得してみせたが、それに伴う疑問が思い浮かんだ。

 

 

「なるほど、では、それをどこから見つける」

 

 

 無表情の男は一貫して無表情を貫く。

 

 

「我々の外から連れて来るのだ」

 

 

 思い詰めた男は、驚きと共に、後から納得を示した。

 

 

「……そうなるか、だが、許すと思うか、その外の神は」

 

 

 無表情の男の提案は、彼らの約束事に抵触することが心配された、無視できないのだが、無表情の男はそれでも無表情を貫いた。

 

 

「許すも許さぬも無い、滅びの定めを覆すため」

 

 

 思い詰めた男はその言葉に反論をやめ、折れた。

 

 

「仕方ないか……」

 

「そしてその者に、我の全てを与える」

 

「……いつか戻ってくるのか」

 

「……真の神が、それを知る」

 

 

 

 男たちはわずかな言葉を交わし無表情の男は円卓を後にした、残ったのは思い詰めた男だけ、彼は片肘を円卓へ付いてその手で顔を覆った。

 

 

「俺一人が、残ったのか……」

 

 

 ふっ。

 

 と、消えるように思い詰めた男はどこかへ行ってしまった。

 

 円卓は、空虚な十三の席を残したまま、そこに残る。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 のどかさのある山と山を覆う緑の木々、それを割って貫く高速道路、その高速道路から枝が伸びるように下道が伸び、その下道の先にあるのは海に面した田舎町。

 

 わずかな土地に密集した民家の中の、最も海に近い家ではうるさくもにぎやかな日常が繰り広げられていた。

 

 

「うふ……今日も良い出来……うっとりしちゃーう……」

 

「くぉら! リョウマァァァ! テメーいつまでプラモ作ってんだい! 学校行け!!!」

 

「ったく……かーちゃん今日は休みだよ! 振り返え休日!!!」

 

 

 リョウマという男は高校生でいつも母親に怒られるような子供だ、彼は自分のしたいことをしたいようにする、ある種の矜持として《自由》を貫いている、それは母親が子への愛を置き去りにして激怒するほどだ。

 

 

「けっ……人が休みでプラモデル組み立ててるだけだってのにキレやがってさ……日頃の行いって言えばそうだけどよぉ〜」

 

 

 そんなリョウマはいつものように二階の自室で窓を開けプラモデルを組み立てていた。

 

 4畳ほどの部屋の一角にプラモデルの空箱が押し入れからはみ出て積み重なっていて今にも崩れそうで崩れない絶妙なバランスで積み上げられていた。

 

 

「プラモはいい……特にロボットはな……」

 

 ポキリ。

 

「あっ……キズついちゃった……慣れないことはするもんじゃないな……いや、見栄え良くしたいから気合い入れてやんねーと」

 

 

 彼はプラモデルを積み上げるほど好きだが、いわばライトユーザーであるので、特段丁寧に組み上げたり装飾に手を入れたりすることはない、買って作っては飾り付けて楽しみ終わったら仕舞う、事を繰り返すだけに留まっていた。

 

 この日のリョウマは妙にやる気が有った、普段やらないことをやろうと、プラモデル専用のニッパーやヤスリ、インク、筆などなど道具を揃えて、本格的にプラモデルに手を入れようとした。

 

 

「ニッパーってこんな難しい道具だったか?」

 

 

 彼は不器用ではないが手先が器用な男でもないので、何度かプラモデルをバラすときに繋いでいたプラスチックが綺麗に切り取れなかったり、根元から切ろうとしてパーツを傷つけてしまったり、中々苦戦していた。

 

 

 ぱちん、ぱちん、しょりしょり……、カチッ。

 

 

「ふぅ……出来たぁ、いつもより仕上がりが良いぜ」

 

 

 朝から始めた作業は丁度昼に差し掛かる時間に出来上がった、彼のお気に入りである『禍月大機神(マガチノオオハタカミ)』。

 

 

「うーんいつみても惚れ惚れするなぁ……マガッチくん、ライバルキャラとの死闘を経て、ライバルの機体と合体した最強の機神……うーん最高」

 

 

 全体的なフォルムはスマートだが流線型のパーツが関節に配置され、四肢は長く尻尾があり、顔も面長で、耳や角に当たるパーツが細長く、悪者顔に仕立て上げているが、テーマが獣であるためか獣要素が各所に散りばめられ、獣のような手足の爪パーツは鋭い。

 

 そして、なんと言っても目立つのはその背中に背負った月をイメージした円型パネルだろう、パネルは六角形が繋がった円であり、それを背負っている機体からはみ出るほど大きい、そのパーツに付属するのがこれまた長大な砲身パーツ、全長30センチという大きさは機体本体の1.5倍の大きさを持つ。

 

 

「でかい武器は、ロマンだろ……」

 

 

 誰に聞かせるわけでもない、自分で自分を肯定するための言葉、彼はとても気分が良かった。

 理由は上手に仕上がっただけではない、『禍月大機神』はいわばマニアが買うような旧作アニメのプラモデル、ロボットアニメ自体が下火になっている昨今ではもう発売されることはないので、値段に上限がつかなくなっていた。

 

 

「くぅ〜OVAもっかい見直したくなってきた……テレビで毎週見れた父さんたちが羨ましいな〜……テレビ版サブスク無いもんな……ヤットフリックスで配信……ねぇよな……OVA版だけがやっと配信されてるようなもんだし……」

 

 

 いつもの愚痴をこぼしつつ、自室にあるテレビで今流行りのサブスクリプションのアプリを開き、いつもの流れで『禍月大機神』の登場するOVAを観ようとして、それを選択し開いた。

 

 

「ん? なんだ……画面が切り替わらないぞ……電波悪いのか……いや、スマフォの電波はMAXだ……なんでだ?」

 

 

 バシッバシッ。

 

 

 母親仕込みの家電修理法、つまり叩いた訳だが、それで直る薄型テレビではない、結局改善されず、暗い画面が続く。

 今日はもう見られないと諦めてテレビを地上波に切り替えると、今度はこれも映らなかった。

 

 

「え〜マジで萎える……嘘だろ……もう地上波で……うわ地上波も映らない……お、一局だけ映るじゃん!」

 

 

 その局の番組は、とにかく、おかしかった。

 

 

《……こ……い……》

 

「古い番組だなぁ、再放送かな、にしても音が途切れ途切れ……仕事しろテレビ局、放送事故だぞ」

 

《こ……い…………》

 

「こい……って言ってるのか、マジでなんの番組だろう、心霊系か? 無愛想な男が一人突っ立ってるだけじゃん“無表情”で気味が悪いし……」

 

《こ……い……》

 

「行けたら行くわ」

 

 

 彼が、そう言った瞬間。

 

 

《これで道は繋がった》

 

 

 リョウマはテレビの中へ引き摺り込まれた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。