恋愛要素ありの死にゲーに転生して鉈を振り回す転生者 作:エヴォルヴ
え?俺はロングソードとブロードソードとグレートクラブと大曲剣とノコギリ鉈ですが何か?
あとアンバサ。火付けと誓いと火力と吸血と蟲糸と雷と筋肉が全てを解決する。
恋愛要素ありの死にゲーに転生した気狂い
怪魔。それは人類を襲い、喰らう異形の怪物。国によっては魔物とも呼ばれている。
戦士。それは怪魔を滅ぼす兵たちを示す言葉。
導きに従い、戦士は戦い続ける。いつか魔を全て殺し尽くすまで。
集え、死せども蘇り、魔を殺す戦士よ。
うーむ、正気の沙汰とは思えない世界観。こんな世界観でしかも恋愛要素も存在するってマジ? 闘争心が性欲にコンバートされてお熱い夜の恋愛をする……てこと!? なんてことはなく、ちゃんとアオハルしてくれる。意地でもアオハルしてやるという強い意志を感じる。主人公は男性、女性どちらも選べる親切設計。R指定なやつもヤる時はヤる。伊達にエロゲーギャルゲーの皮を被った死にゲーと呼ばれていない。
まあ、そんなゲームの世界に転生したわけですよ、俺。ちなみにゲームのタイトルは『討魔』。シンプル! ちなみに神ゲーだ。エンディングは男性主人公、女性主人公共通で4つ。しかし誰を恋人に選んだか、誰を親友に選んだかなどによってもエンディングスチルなどが細かく変化する開発者の狂気を感じるゲームであった。開発者、さては変態だな? 褒めてるよ。
そんなゲーム、俺はトロコンまで駆け抜けた。一緒にプレイしていた友達とゲラゲラ笑いながら頭のおかしいビルドで遊んだりもした。弁慶スタイルと言って武器を大量に使うビルドとか、一撃必殺ペラペラ紙装甲レイピアビルドとか、セルフ状態異常による超強化ビルドとか、頭のおかしいビルドは一通りやったと思う。恋愛要素? 知らねぇよそんなもん────とまではいかないが、ビルドによって恋人とか親友とか変えていたせいで推しキャラがいねぇんだ。しいて言えば主人公が推し。もはや手塩に掛けて育てた息子娘、弟妹のような感じ。
恋愛要素をお太い針の注射器で動脈にぶち込んでいるからなのか、
なおチート能力はなし。ケッ、しけてんな、なんてことは思わなかった。だってこのゲーム、死にゲーだもの。ソウルライクなんだなも。努力した分、死にまくった分、得するようになっている。ビルドを組んで、努力して、死んで覚えて、ボスに打ち勝った時のカタルシスを感じるのが死にゲーの醍醐味である。チート能力なんて必要ねぇんだよ!! チート能力は努力によって生み出されるのだ。与えられるものではない。
そんな思いで小さい頃から外で死ぬ気で遊び回ることで体を鍛えた。やっぱり、下地は大事なのだ。前世インドア派の人間が原作知識で無双して怪魔に打ち勝つ、なんてことはできないのである……努力の先に俺の望む死にゲーライフが待っている。
ちなみにハクスラ要素もあるぞ。美男子美少女と戯れることよりも、正直ハクスラが本命である。人間同士で恋愛! オラッ! イチャコラしてラブラブチュッチュするんだよ!! している時間よりも、ハクスラ目的でダンジョンやダンジョンに現れるボスと熱い夜(風評被害)をしている時間の方が多かった人間を舐めるな。強い武器、強いアイテム、レアな素材……戦いに楽しみを見出すことで精神の摩耗を防ぐ狙いもある。異世界転生は楽しんだもん勝ちだって死んだ爺ちゃんと婆ちゃんが言ってた。
まぁ、そんなわけで。俺はこの世界を自分なりに全力で楽しんで天寿を全うすることを決めた。なお怪魔を倒さない限り平穏な天寿を全うすることはできない。地獄か? 地獄の片道切符握りしめて笑いながら地獄に突撃かますのが死にゲー大好き気狂いプレイヤーの嗜みよ。ハクスラやろうぜ、ハクスラ。
問題は主人公が男性なのか、女性なのか。主人公君なのか主人公ちゃんなのか……そこが問題であった。性別がどちらであっても甘酸っぱい青春群像劇を見ることができるならモーマンタイと言いたいところだが、シナリオ壊れて斜め右上若干北北東12時の方向に吹っ飛んでいく可能性がある。俺みたいな転生者というイレギュラーのせいで。これだからイレギュラーは……人類の可能性ってやつを感じるね。
あった、という過去形で物事を語っている時点でお察しだろうが────今回の主人公はというと。
「なぁ、君が良ければなんだけど一緒にダンジョンに行かないか?」
王子系女の子だったよ! やったね! あ~性癖がぶち壊される音ォ~! まぁ、本気でぶち壊されることはないんだけどね。だってそれ以上に俺は死にゲーとハクスラとメインヒロイン(ヒロインではない)と我が導きのメインウェポンに脳を焼かれているから。
ちなみにゲームではチュートリアルということもあって最初はソロプレイである。チュートリアルがチュートリアルしていない高難易度に震えろ。その辺にいるモブエネミーよりもボスの方がチュートリアルしてくれるってマジ? 大マジ。ゲームシステムの解説担当じゃないのかってレベルの良ボスであり、ごく稀に繰り出してくる厭らしくも卑しいディレイ攻撃を除けば神ボスが最初に戦うことになるボスである。
ところでチュートリアルがなぜソロプレイなんだろうって思ってたんだけど、あれなのね。匂わせはあったが、一般家庭出身主人公ちゃん、学園の連中────特にダンジョンに赴くような戦士の卵たる生徒達に嫌われてんのね。特に位の高い家出身の連中から。なんか凄い力に目覚めてるらしくて、学園が優遇してるらしいっすよ? あー! いけませんお客様! 妬みの原因を生み出すのはおやめくださいお客様ー!!
まぁ、正直周回し始めるとソロの方が楽になってくるからね……悲しいね。なんてゲームプレイ中は思っていたけど、学園! 本格的に何とかしろ! 役目だろ!? 役目じゃない? ノブレスオブリージュとこの学園の生徒達を信じている? 使えねぇな!! そんなんだから主人公に裏切られて学園崩壊からの人類滅亡ルートなんて地獄みたいな最高の経験値稼ぎエンディングが用意されるんだよ!! このエンディングを迎えることで大量の経験値を獲得して次の周に向かえるので、一周目にこのエンディングが推奨される辺りゲーマーに人の心はない。
俺は初見プレイで一周目に滅亡エンディングに突貫した。嫌がらせしまくってきやがったやつをロックオンできるのが悪い。劇毒!出血!ついでに部位破壊!!ビルドとかいう尊厳崩壊待った無しのビルドで突き抜けましたが何か。我らゲーマーはロックオンできるなら敵という認識で生活しているのだ。
そんな前世の楽しい記憶はさておき。女の子にお願いされたら、ある程度のことは受けてあげたくなるのが男の子というもの。誠意には誠意を、裏切りには報復を、煽りは撃滅、誉なんて微生物に食わせとけ。それとロックオンできるのが悪いがゲーマーである。
いいよ! という思いも込めてサムズアップすると、花のような笑みを浮かべる主人公ちゃんこと『
「ちなみにですが大耀さん。装備の方は?」
「えーと……剣、かな。まだ使いこなせてないけど」
「ですよね。重量のある
「うーん……それはちょっと」
知ってた。便利なんだけどな、鈍器。筋力育ててないと鉄パイプの方が強い悲しき装備だけど。