恋愛要素ありの死にゲーに転生して鉈を振り回す転生者   作:エヴォルヴ

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一番いいのを頼む。

リハビリが死ぬほどきつくて逆に楽しいまである。娯楽もあるからこそ楽しさも倍加している。脚ってあんなにも動かないものなんだなと。


そんな装備で大丈夫か?

 伊勢参りRTAはーじまーるよー。

 タイマースタートは学校の敷地を出てキャリーケースを霊子化した瞬間、タイマーストップは伊勢神宮に到着した瞬間です。神輿に担いでいた瑞騎先輩と大耀さんは女子寮から荷物を詰めたキャリーケースを霊子化させて集合している。ローズ先輩は駅で合流することになっているので、もう出るだけである。というわけで……はい、よーいスタート。

 

「このまま最寄り駅で寝台列車が出発する場所まで移動します。何かの妨害があるかもしれないので全力で走りましょう」

 

「はぁ……ごめんなさいね、二人共。こんな忙しない長期休暇の始まりになってしまって」

 

「いえいえ! 走るの嫌いじゃないので大丈夫です!」

 

「この全力疾走が寝台列車での食事と伊勢参りグルメへの投資となるんで問題ねぇっす」

 

 こういう時タクシーとかバスとか使えよって話だが、最寄り駅までなら走った方が早い。戦士達がダンジョンに移動したり、百鬼夜行のエリアに急行したりする際に利用する『霊道』を使えばビルを駆け上がったりもできるので結構早いのだ。しかも一般人にぶつかることがない。理由はチャンネルが違うとか、そういう感じだったと思う。こんなことに使うな? 気にすんな。

 

「霊脈に乗って────ほいっと」

 

「なんかこのフワァッてなるの、まだ慣れないな」

 

「慣れると楽しいものよ? ジェットコースターみたいで」

 

「そういや一昨年行きましたね日本一のジェットコースター。また行きましょ」

 

 ダンジョンとか戦士とか、婚約とか家のこととか全てを忘れて、頭空っぽのまま遊ぶと超楽しいのだ。もちろん節度は大事だが。

 

「ええ、もちろん。……でも今度は落ち着いたところに遊びに行きたいわね」

 

「それならお盆とかにうち来ます? 東北なのでちょいとばかし遠いですしド田舎ですけど」

 

「あら、いいわね。皆で行きましょう?」

 

「宇迦様」

 

『言ってはダメですよ明日夢』

 

 何か変な目で見られている気がするが、気にしてはならない。さてさて、前世今世どっちも合わせて人生初の伊勢参りだ。禍津日様のところに行く許可を貰いに行くための────まあ、戦士としての役目を果たすための一手と言ってもいいこの伊勢参りだが、普通に楽しみである。予定が前倒しになってしまったのはちょいとばかし痛手────でもないな? 寝台列車に乗るまでの待ち時間がちょっと伸びただけだし。寝台列車の中でもご飯は食べるが、駅弁は食べたいのが性分というものだ。

 

『ここで二人で、と言えないのがうちの翡翠なのよね』

 

『大変ですね、あなたも』

 

『他の四象の神獣よりかはマシだと思いますけれどね。人の子の青い春はいつの世も素晴らしいもので……踏み込んでくる下郎もいるのが少々気になるところだけれど』

 

『『うふふふふ……』』

 

 ゲームよりも感情豊かな神様と神獣にギャップを感じざるを得ないが、何を話しているのだろうか。もっとこちらにも聞こえる声で話してどうぞ。

 

「というか良かったんですか、瑞騎先輩。柔らか────ンンッ、三野先輩との会食ボイコットしちゃって」

 

「いいのよ。三野が悪い人ではないのは知ってるけど、三野家の狸共は何をしてくるか分からないし。14歳の女の子に薬盛ろうとするとか、普通やる?」

 

「「薬を盛ること自体やらないですね」」

 

「でしょ? それを平然とやってくるのよ」

 

 うーん、やはり滅ぼすべきでは? 前世の友人がこの場にいたらきっと、すぐさまメイケイオスしに行くぞ? その場合、便乗して俺も焼き討ちしに行く。一応、三野先輩のキャラストーリーでは最終的に人の心を尊重したい三野先輩と血筋と家の繁栄を第一に考える三野家の全面戦争みたいなことになったはずだ。もちろん三野先輩についてきてくれる三野家の善人たちもいるが、人の心とか無さそうなやつが多いのが悲しいとこ。あわや、というところで四象の神獣の加護を与えられている戦士や、その時点で主人公と最も友情レベルが高いキャラクターが救援に駆け付けてくれて大逆転という感じのシナリオだったと思う。

 

 なおやはりその全面戦争でも遠距離チクチクが最適解な三野先輩は泣いていい。だって敗北条件が三野先輩または主人公の敗走なのだ。この全面戦争をクリアすると手に入る専用武器の大剣に遠距離攻撃の与ダメとクリティカル威力にボーナスが乗っていたのはもはや運営の悪意だろう。SNSで『#大剣を投げろ三野先輩』って呟きとカタパルトタートルみたいな玄武に自分を乗せて射出させるイラストばっかで笑った記憶がある。

 

「こーいうとこ、古臭い倫理観持ってる家の悪い所よねぇ」

 

「あ、救世の翼ローズフェニックス先輩」

 

「カードゲームにいそうな名前にしないで?」

 

「ローズドラゴンならいるんすけどね?」

 

「あら♡ちょっと興味湧いちゃうわね」

 

 始めるなら俺の絶対に揃わない居合エクゾディアデッキでお相手しましょう。この世界、俺の前世でもあった娯楽の殆どが存在しているので、案外あれがないこれがないで混乱することがない。お菓子なんかも、カールがまだ関東でも売っているし、販売終了になったお菓子も結構見るので中々楽しいことになっている。ところでなんだあの滅茶苦茶硬い超巨大かりんとう。

 

 そんなどうでもいいことを考えている間に最寄り駅に到着。丁度来ていたガラガラの電車に急いで乗り込み、人心地つく。霊道を使ってショートカットしまくっているとはいえ、走っていることには変わらないので少し汗ばむくらいには疲れる。

 

「はー……クーラーの利いた車内でくつろいでいる瞬間が、一番生を実感する……」

 

「凄くどうでもいいところに生を実感するね……ちょっと分かるけど」

 

「まだ5月なのにちょっと暑いわね。今年は猛暑かしら……」

 

「皆には悪いけど、あたしは鳳凰の力で暑さ感じないのよね」

 

 それは羨ましいな。鳳凰の炎を上手いこと使って暑さをある程度シャットアウトできるのか……分霊によって鳳凰の力を使えるようになった大耀さんはそれができないのは、技量がそこまでに達していないから。熱の遮断や幻影────それだけの技を使えるようになるまでに、ローズ先輩はどれだけ血が滲むような努力をしてきたのだろう。

 

「このまま寝台列車が出発する駅まで行って、明日の正午には伊勢に到着。ホテルのチェックイン時間も考えると……ま、のんびりしても大丈夫そうね」

 

「ええ。伊勢神宮に行く理由が理由ではあるけど、ちょっとぐらいはゆっくりしたいわ」

 

「ですね。せっかくの伊勢参りですし」

 

 まぁ、伊勢参りして天照大御神様に許可貰えたら地獄のダンジョン祭なんですけどね。過去の英雄と戦うことになるぞー。わぁ、楽しみだなぁ……! はははははは、クソがよ。世界中の英雄呼び出してくるんじゃねぇよ。なんで土方歳三と戦った後に呂布と戦って、その後ローランと戦うことになるんだよ。対策して突撃したら今度は頼光四天王と戦うことになるしよ。どうなってんだあのダンジョン。でも新選組全員と戦えるのは神だと思いました。ミーハーに思われるかもしれないが、俺は前世も今世も新選組のファンなのだ。ファン、という言い方はちょっと違うか? ……過去の英雄と言えば。

 

「そういえば、瑞騎先輩とローズ先輩の家って、いつ頃からあるんです?」

 

「あ、確かに。代々続いている戦士の家って聞いてますし、私も気になります」

 

 この辺りはゲームでもあんまり掘り下げが無かったんだよなあ。昔からずっと怪魔と戦い続けている名家、とだけしか言われておらず、ずっと気になっていたんだよな。考察勢も色々話をしていたような気がするが、へー……ほーん……程度にしか聞いていなかったし……

 

「うーん、そうねぇ……残ってる記録に限定するなら……うちが武勲を立て始めたのは平安の……大規模な百鬼夜行が発生したくらいの頃。だから、頼光四天王が活躍してた頃かしらね」

 

「私の家は戦国時代くらいだったかしら? そこまで名のある家じゃなかったみたいだけどね」

 

「へー……そこんとこどうですか麒麟様と鳳凰様」

 

『うーん……難しいところだな。パッとしないやつもいれば、目が覚めるような活躍を見せたやつもいるからな』

 

『そうね。でも、今言えるのは当代の私と鳳凰の加護を与えられた戦士は指折りの実力者ね』

 

 おお、中々の高評価。

 

「具体的にはどこら辺がそういう評価に?」

 

『色々あるけれど……一番は伝統に囚われることなく、新しいものを取り入れていく。その姿勢がいいと感じるわ』

 

『悪いことではないが、代々加護を与えられている戦士の家は得物を伝統に則り云々言って変えようとしないからな……技が洗練されていくから間違いではないが……』

 

 ああ、だから四象の神獣の加護を貰っている戦士の皆さん全員、得意だと豪語している武器よりも別の武器使った方が強かったりするのね。ようするに、得手不得手というのがあるのに、それを押し付けて抑えつけてしまうから弱いと……やはりある程度の自由を与えてやるのが肝要なのではなかろうか。

 

「正直、前線で刀を振り回してバチバチするよりも、後ろから支援する方が性に合ってるのよねぇ」

 

「逆に私は後方よりも前線で戦う方が性に合ってるわ」

 

「雷の槍突き立てますもんね、瑞騎先輩」

 

 雷の槍は投げるものではなく突き刺すものだと言わんばかりに怪魔へ雷の槍を至近距離で叩き込む姿は、ワルキューレもにっこりな勇士の姿そのものである。最近は和弓ではなくメカメカしいコンパウンドボウを使っているし、メインで使っている武器は槍。高速戦闘で雑魚を蹴散らしていく姿もカッコいいが、やはり槍を避雷針のように突き刺し、麒麟の雷を拡散させつつ大型の怪魔と取り巻きの怪魔を焼き尽くすのを見た時は痺れたね。ローズ先輩の治療もあってもう無くなっているが、雷による火傷も気にすることなく堂々としていたのも胸に来るものがあった。

 

「私としては、君の家の方が気になるけれどね」

 

「東北にある、ただのパンと菓子の店です」

 

(絶対そういう意味じゃないと思うよ模歩君)

 

(ちょっと勇気出したのねスイちゃん。でももっとストレートにぶつけないと……)

 

 今日は変な目を向けられることが多いな? 俺はサトリではないので、ストレートに言葉にしてもらわないと分からない。なので言葉を尽くしていただけると助かるんですがね。遠回しの言葉とか投げかけられてもそのままの通り受け取るので、頼むからド直球にぶつけてどうぞ。




え?伊勢参りを邪魔しようとしないのかって?そんなことしたらどうなると思う?気狂いの鎖がBreak the Chainしますが。唐突に決闘受け始めて例のBGMと共にアマゾンフィルターかかりますがよろしいでしょうか。



それはそれとして、人魔一戴のここが凄い
1.怪魔の技が使える
2.怪魔の強靭性を得られる
3.ロマンがある
4.ずっと使っていると戻れなくなって死ぬ
5.過去の英雄の力が使える
6.過去の英雄と戦える
7.ずっと使い続けると戻れなくなって死ぬ
8.坩堝の諸相
9.力こそ戦士の故よ。
10.戦士よ(ウォーリアー)


三野先輩のSNSでの総評
『#大剣を投げろ三野先輩』
『ずっと悲しいまま先輩』
『#壺投げろパイセン』
『君は完璧で究極の柔らか戦車』
『必要な犠牲』
『割りを食い続ける善人』
『運営の楽しい玩具その1』
『ある意味運営の寵愛を受けている男』
『#射出しろ玄武』
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