恋愛要素ありの死にゲーに転生して鉈を振り回す転生者   作:エヴォルヴ

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やらかしたよね。間違えてこの話削除しちゃうガバ


ダンジョン攻略は少しずつ、コツコツと。気狂い?知らない子ですね。

 ダンジョン。迷宮。正直どっちも同じ意味を持っているから、名称はどっちでも良くねぇかって感じの場所。縦長で上に上がるタイプのものがあれば、下に降りていくものもあり、どうなってんだってレベルで広い洞窟だったり、迷路みたいな大迷宮だったりと多種多様な場所だ。

 

 入口は一部を除いて扉っぽいものがある。洞窟だったりすることもあるけど、入口は一目見て「あ、これ普通のものじゃないな」って分かる感じだ。そんなダンジョン、国が管理しているものと発見していないものがあるらしい。俺はトロコンするためにダンジョン全部踏破したから場所覚えてるけどな! 地獄みたいな日々だった……オープンワールドを混ぜ合わせているのもあって迷宮探しが一番の苦行だったなぁ……

 

「やって参りました数の暴力以外は良心的なダンジョン! 何度でも言おう! 数の暴力以外は良心的!」

 

「ダンジョンにも良心的とかあるんだ」

 

「そんなダンジョン『亜人の洞穴』! 亜人の洞穴と言いながら亜人はボス以外いない!! どういうこったよ」

 

「じゃあ何が出てくるんだい?」

 

「犬とカラスを足して2で割らずに2で掛けた後ぶちまけたようなやつ。参加者は俺、そして大耀明日夢さん! 経験者一名、初心者一名────問題ないな!」

 

「問題ないのかい?」

 

 うん、そういう反応になるよね。分かる分かる。

 

「数の暴力に対する手段はこちらも疑似数の暴力をぶつけることよ……」

 

「私、武器の扱いそこまで上達してないけど……」

 

「あー……となると、奥まで行かない方が良さげか……」

 

 まぁ、数日前まで武器なんて触ることなく生きていたのに、いきなりこんな魔境に放り込まれたともなれば、武器の扱いができていないのも当然だよな。ゲームだとプレイヤーが操作するから武器を扱えているだけで、現実は甘くないものだ。

 

 ダンジョンの手前に設置されたキャンプ────ゲームだとリスポーン地点にもなっていた場所で怪魔を遠ざけるための青い炎が燃える焚火を囲んでいる俺達は、今回の方針をまとめていく。

 

 今日は大耀さんの武器の扱いを馴らすことと、怪魔との戦いを少し体験してもらうことにした。死に戻る体験もしてもらおうとも、一瞬だけ考えたけど、そのうち否が応でも体験することになるだろうし、今回は見送り。

 

「ところでスキルって何か持ってたり?」

 

「えーと……空刃っていうのは持ってるよ」

 

「いいね! 中距離攻撃手段は腐りにくいし」

 

 マジで初期から持ってるスキルが優秀なんだよなぁ、主人公。精神力────MPみたいなもの────を使うことになるものの、初心者から上級者まで腐らせることがない中距離攻撃手段を初期から持ってるのが本当に偉い。

 

「模歩君は私よりスキルを持ってるんだよね? スキルを増やす方法ってあるの?」

 

「ある。自然に獲得することもあるけど、基本的には怪魔を倒すと手に入るアムリタってやつを使って獲得する」

 

「アムリタ……ゲームで言うところの経験値ってこと?」

 

「正解! ただ、アムリタはステータスの向上────レベルアップとか、武器、防具の購入、強化とか色々使うから考えて使わないといけない」

 

「ううん……分かった。お金と同じかぁ」

 

 言い得て妙。貯める時は貯めて、使う時はパーッと使う感じはお金と似ている。戦って努力した分アムリタをたくさん獲得できる、という観点からもお金みたいなものと認識すると分かりやすいかもしれない。

 

「模歩君、今日はありがとう。君が応じてくれなかったらソロ攻略をするところだった」

 

「ちなみにどんな攻略をしようとしてたか聞いても?」

 

「死に戻り前提で色々覚えようかなって」

 

 流石主人公。死に戻り前提ゾンビアタックでダンジョン攻略するつもりだったらしい。これには本家大元ゾンビ達もにっこり。そして俺達死にゲー大好き気狂いゲーマーもにっこり。仲良くなれそうだ。

 

「ところで模歩君の武器は?」

 

「鉈」

 

「鉈?」

 

 鉈とは、導きである。

 

「正直な話。俺は神様とか神獣とかそういったのに加護とかそんな便利なの貰ってないから、普通の武器だと使いにくいわけ」

 

 この世界には神様もいれば神獣と崇められているやつもいる。何だっけ……四象の獣とか、そういったやつらもいるし、麒麟とか黄龍とか伏牛とか。海外だとゴルゴーン三姉妹、バロール、ケルベロスとかもいる。あいつら神様神獣の類なのかって聞かれるとよく知らんが。

 

 とにかくそういったやつらから加護を貰ったりしている人たちが戦士の中にはいて、そういう連中を一括りにして加護持ちと呼んでいるのだ。

 

 まぁ、当たり前だけど一般家庭出身の俺に神様や神獣の接点があるわけもない。ごく稀に縁があって加護を貰った人がいたり────俺の目の前にいる彼女とか────するが、それはそれ。俺は加護なんて便利なものを持っているわけではない。そもそもこの学園には一般家庭出身の人間が少ないのだ!! いたとしても俺みたいに近接職じゃなくて遠距離職で話が合わねぇ!! 

 

「えっと……」

 

「あ、別に加護持ちとかに僻みとか妬みとかないから。万物大体膝壊してミンチにすれば解決するから。人はこれを膝治療と呼ぶ」

 

「絶対違うよ?」

 

「まぁ、とにかく。俺にとって加護はあったら便利かもねー、程度の存在だから」

 

 もちろんとある神様────メインヒロイン(ヒロインではない)である荒神の類の加護を貰えたのなら嬉しいなぁ、程度のことは考えているが、それはそれ。

 

「さて、そろそろ行こうか。大耀さんはあれだ。俺が引きつけた怪魔を空刃で倒す感じで」

 

「それ、私だけが得するような……?」

 

「そうでもない。ソロとパーティーじゃ立ち回りが全然違うから、俺の勉強にもなる。それに、当たったら当たったで耐性スキル獲得できるかもだし」

 

 耐性スキルは貴重だ。パッシブスキルはな、どんなゲームでも腐らないのだ。

 

「マゾヒストだったりする?」

 

「ノーマルだが?」

 

「だよね。……よし、頑張ろうか!」

 

 

 

 

 

 

 ───────────────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

『凄まじいものでしたね、彼』

 

「やっぱり宇迦様から見てもそうなんだ……」

 

 ダンジョンから学園敷地内に建設された寮、その自室に戻ってきた大耀明日夢は、自らに加護を与えてくれた神である宇迦御魂神(ウカノミタマ)と話をしていた。

 話題はもちろん、今日のダンジョン攻略と、それに付き合ってくれた男、我らが気狂い死にゲーマー模歩巡である。白磁の様に白い肌の女神は、白い蛇の鱗が生えた頬に手を当てつつ口を開く。

 

『力任せに見える鉈の使い方でしたが、そこには間違いなく積み重ねられた努力と技術がありました』

 

「怪魔の頭、思いきりかち割ってたよね」

 

『それに、立ち回りも見事なものでした。……何度か空刃を喰らってましたけど』

 

「あれは私が悪いよ……焦って何も考えずにスキル使ってたから」

 

 はぁ、と溜め息を零す明日夢。しかも巡の誤射に対するフォローも「死な安死な安。スキル獲得の確率も上がるからラッキーよ。誤射は気にせず撃ちまくれ」というもので、基本的にポジティブな明日夢であっても多少落ち込んでしまっていた。

 

 なお件の気狂いは運よく耐性スキルを獲得できたこともあって部屋で喜びの舞を踊っている。この差はきっと気狂いかそうでないかの差である。明日夢はまだ真面(そちらがわ)である。巡は向こう側(きぐるい)である。

 

「内心怒ってたらどうしようかな……」

 

『帰りの話が嘘でなければ、誘えばまた応じてくれるそうですし、怒ってはいないと思いますよ。私から見ても怒気や邪気といったものは出ていませんでしたし』

 

「それならいいんだけど……」

 

『ところで明日夢。スキルやステータスはどうしますか?』

 

「あ、そうだったね」

 

 宇迦御魂神に言われて思い出した明日夢は、学園から支給されたタブレットを起動して自身のスキルやステータスを確認する。スキル、ステータス、装備の確認などが行えるアプリがインストールされており、それを利用して自身を強化していくわけだ。ダークソウルで言うところの篝火、エルデンリングで言うところの祝福、仁王で言うところの社、ネトゲで言うところのスキルボードである。

 

 ちなみにこのアプリ、パーティーを組んだことがある人間と連絡先を交換していればその人物のステータスやスキル、装備なども確認できるため、自分との相性を鑑みてパーティーを考えたりすることもできる優れものだ。

 

「重厚な鉈っていうんだ、模歩君の鉈」

 

『よく手入れされている重い鉈、ですか。それ以外には何の変哲もないただの鉈……見事なものです』

 

「スキルもよく分からないものばっかりだけど、強そうってことは分かるね……って、危ない危ない」

 

 巡のステータスやスキルや装備構成を見るためにアプリを起動したわけではないと思い出し、明日夢は今日手に入れたアムリタをどのように使うか頭を悩ませる。スキル獲得か、ステータス向上か。それとも武器防具の購入に使うのか。

 

 考えに考えた末、明日夢が選んだのは────

 

「アコレード、強そうじゃない?」

 

 スキル使用後の一撃を強化するというスキルを獲得することにしたようだ。

 余談ではあるがこの『アコレード』というスキル、ゲームではパーティーメンバーの誰か一人の攻撃威力を一度だけ1.8倍するという序盤から終盤まで使えるぶっ壊れスキルである。スキル修得のためにアムリタを大量に使ってしまうことが難点だが、そんなもの火力の前にはコラテラルダメージにもならない。むしろお釣りがくるレベルのスキルだ。

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