恋愛要素ありの死にゲーに転生して鉈を振り回す転生者   作:エヴォルヴ

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皆すぐにクーラーの効いた部屋に閉じこもるんだ!!


夏が来たぞ!!

「あ、美味しい。めっちゃ美味しいこれ」

 

「やはり揚げ物……! 唐揚げをパンに挟めば人は幸せになれる……!!」

 

 地元にまた戻ってきてザクザクジューシーな唐揚げと、焼きたてのパンを朝食に食べる。あと申し訳程度に挟まっているサンチュ────見事なコンビネーションが俺達の食欲を刺激する。朝から揚げ物? 学生の胃袋を舐めるな。

 

「タルタルもいいな。塩もいいが」

 

「ソースかなぁ……塩もいいけど」

 

「タルタル美味いだろ」

 

「ソースの方が私は好きかな」

 

「なるほど、敵国……」

 

「こっちのセリフだよ模歩君……」

 

 まさかこんなところで雌雄を決する必要があるとは思ってもいなかったぜ大耀さん……! 

 

「どっちも美味いじゃダメなのか?」

 

「「敵国がもう一つ」」

 

「なぜ私が責められる側になっている!?」

 

 新たな『茶菓子同好会』のメンバーである虎成琥珀さんをいじりながらも、大耀さんの持っている唐揚げパンにタルタルをぶちかますが、クロスカウンターが如く、大耀さんが俺の唐揚げパンにソースをかけてきた。くっ、やりよるわ流石主人公! だが、タルタルにソースは合うのか……私、気になります! 

 

「「……合うな。終戦!」」

 

「朝から元気ねぇ」

 

「というかいつの間に茶菓子同好会に琥珀が加入したの?」

 

「決闘後すぐっすね」

 

 行動力の化身と言うべきか、虎成さんは目が覚めてすぐに休んでいた俺に決闘を受けてくれたことのお礼と、報酬の素材と部外者を入れてしまったことへの謝罪をしに来た。行動が早い。お礼と謝罪は早ければ早いほどよいと古事記にも書かれている。まぁ、あの二人がちょっと話をしただけでやって来たのは虎成さんも想定外だったようだし、なんか三野先輩と辰巻さんから褒められたし良しとした。それはそれとして玄武と青龍、「人間面白」みたいな目でこちらを見ていたのはどういう了見だ? 知ってんだぞ、てめぇらが性格悪いのはよぉ……

 

「んぐ……私の実力はまだ模歩巡に届かない。なら届かせるための研鑽を惜しむつもりはない」

 

「そのために『茶菓子同好会』に飛び込んでくる行動力よ」

 

 その行動力、俺は嫌いじゃないよ。俺に勝つために俺がいる場所に突っ込むって中々のタフネス。あと虎成さんのこと、決闘挑んでくること除けば前世含めて嫌いじゃないしな。むしろ好きな方だと思う。大耀さん、ローズ先輩、瑞騎先輩と並ぶくらいには。そもそもの話、決闘自体俺がずっと受けてなかったのが躍起になってた理由の一つだろうし……ゲリュオンとクリュサオルの記憶掘り返して俺が何やらかしたのか分かればいんだけどな……それは無理だった。

 

 まぁ、ともかく。お礼も報酬もくれたし、条件を違えてしまったことへの謝罪も貰った。これ以上穿り返してもいいことないだろ。決闘のことはあれでもう終わり。それでいいのだ。加護を貰ったことで俺も否が応でも学園の決闘祭に参加することになるし、そういうイベントで決闘欲を取り除けばよし。

 

『正直お嬢はもう決闘にこだわってねぇけどな』

 

「そうなの?」

 

『あー……まぁ、決闘は心の整理も兼ねてたところがあるからな』

 

 色々あるのさ、と言って消えた白虎。まぁ、ゲームでも戦いの中で気持ちの整理をしたりする人だって話はされていたしな。決闘受けずにモヤらせてた俺にも決闘決闘しつこかった理由はあるだろう。…………そういえば。

 

「虎成さん、そういえばなんで大耀さんのパーティー申請断ったんだ?」

 

「うん? ああ……そう、だな……その……」

 

「虎成さん、ずっとソロで活動してるせいで勝手が分からないからって翡翠先輩に相談してくれって言ってきたんだよ」

 

「ソロ活女子だったか……」

 

「あと、戦いたい人がいて、その人と戦えるまでは何たらって。模歩君のことだったんだね」

 

 おっと、ケジメ案件か? 大耀さんがパーティー組めなかった理由が俺ってケジメ案件ではないか? 下手すると人類滅亡ルート直行してた可能性あるのなんて美しいの。美しくねぇわケジメしろ。

 

「ふむ……両手の薬指だな」

 

「メグちゃん?」

 

「竜人族になるだけなんで問題ねぇでしょうよ」

 

「「「「問題がある!!」」」」

 

 なんてこった、茶菓子同好会のメンバー全員がケジメをさせてくれねぇ……! 

 

「まぁ、ケジメはそのうち詫び素材マラソンでやるとして……」

 

「詫び素材マラソン……?」

 

「仙骨と……あ、そろそろ妖幻魔宵蛾の鱗粉が無くなる……」

 

「妖幻魔宵蛾? 学園の資料にあったあの大きい蛾? 希少な怪魔だって聞くけど」

 

「出るまで周回するんだよ」

 

 そろそろ城攻めもどれくらい行けるか確かめたい時期だし、そろそろ行くかと思っていたところだ。百鬼夜行が終わったら行くかね。

 

「ところで海、いつ行くんだい? あれだったら車出すけど」

 

 朝食もそこそこに、禍津日様のダンジョンに行こうかと思ったところで父さんが声をかけてきた。海……海かぁ……行こうという約束はしていたが、いつ行くかは具体的に決めていなかった。予定立ては俺だというのに、詰めていない時点で恥ぞ。

 

「んー……虎成さんの歓迎会ついでに行くか。いつ行く?」

 

「明日ならドンピシャで定休日だよ」

 

「なるほど明日。……天気は────晴れ! よし、決定!!」

 

『なら、それ込みで色々こっちでも調整しとく。今日明日は休みな』

 

 禍津日様が調整しておくと言ってきたのがちょっと不安で仕方がないが、まぁ、いい。命の危機がない遠出で英気を養うことは大事である。頭空っぽにして楽しむのは大事であると古事記にも書かれている。オンオフがしっかりできるのが仕事できる人の特徴だと存じます。

 

「メグちゃん、水着はあるの?」

 

「もう泳がねぇなら私服でいいかなって」

 

「あら、泳がないの?」

 

「砂浜から海を眺める楽しさを知ってしまった……」

 

 パラソル設営して海を眺めつつ微睡むことの楽しさよ。なんか贅沢な時間を過ごしてる感じがするので好き。というわけでパラソルは霊子化させて用意しているのでもう俺の準備は終わったと言っても過言ではない。日焼け止め? 塗るタイプと吹きかけるタイプと両方完備だわ。やろうと思えば多分状態異常スキルで日焼けを弾ける。

 

「そう。でも……海で泳がなくても、女の子の水着、見たくないわけじゃないでしょ?」

 

「………………………………………………………………ノーコメントで」

 

「語るに落ちてるわよ」

 

 耳打ちしてきたローズ先輩の質問に女性陣がいることもあってノーコメントとしたが、許されなかった。

 

「知ってるわよぉ……最近まで鎮静の霊薬たくさん作ってたものね?」

 

「高品質が出てこねぇです」

 

「目が誤魔化せてないわよ。……ま、メグちゃんもちゃあんと男の子だったってことよね」

 

 声がでけぇよローズ先輩。いいのか? 自爆するぞ? いいんだな? ここでキメて……!! 

 

「ま、期待してもいいんじゃないかしら? ほら、現にあの子達水着がどうとか話してるみたいだし」

 

「………………」

 

「意外とむっつりさんよねぇ、あなた」

 

 うるせえやい。美少女に囲まれて過ごしてるんだ、人類滅亡ルートのことが頭の片隅になかったら浮かれてるところだよクソが。女三人寄れば姦しい、とは言うが、楽しそうにしてんなぁあの三人。

 

「さて……ちょっと準備してきますわ」

 

「準備?」

 

「買い物行くんでしょう? 海行くためのグッズ買いそろえようかなって」

 

「そうね。あたしもサンオイルとか買っておこうかしら」

 

「紫外線対策大事」

 

「あと海風とか浴びて髪がギシギシしたりするのよね」

 

「あれ水魔法で防げますよ。エンチャントで」

 

「よく考えるわねぇ、そういう小手先のこと」

 

 節約ができるならそれに越したことはないのだ。熟練度上げにもなるし、出力を最低にして皿洗いとか、洗濯物を乾かしたりとか、畑を耕したりとか。

 

 まぁ、それはともかく、日焼け止めはあるが……他のあれこれがないな。クーラーボックスはある、日光避けはパラソルで何とかなるかもだけど予備が欲しい。あとは……浮き輪と、海で浮かばせるボートに……結構買いたい物あるな。

 

「常備薬も買っとくか……あとは携帯トイレとか色々……リスト作らねば」

 

 何だかんだ言って海に遊びに行くというのは心躍るものなのだ。あ、虫除けも買わないと……

 

 

 

 

 

(浮かれてるわね)

 

(まぁ、いい傾向じゃないか? 決闘が済んだからなのか、軽く弄れる人間が加入したからなのか、若干だが、大人びた雰囲気が緩んだ)

 

(そうねぇ……メグちゃん、無意識なのかずっと張り詰めてるし。あたし達と話してる時も、ずっと)

 

(恐らく無意識だろうな。いつか倒れるぞ、あれは。昔のローズ、お前にそっくりだ)

 

(あらやだ、黒歴史掘り返すの止めてくれる? ……でもま、そういうとこをサポートするのが年長者ってものよね)




虎成さん加入!実は巡のメンタルを最も子供に近いメンタルにできる女である。
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