恋愛要素ありの死にゲーに転生して鉈を振り回す転生者   作:エヴォルヴ

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祭が来る。舞が来る。2

 我らが気狂いこと巡の地元である小さな町で毎年行われている夏祭りは、16時頃から行われる。商店街のある大通りを全て車両通行禁止にして、その大通りで屋台や大規模な舞が披露されるのだ。

 

 今年は百鬼夜行が例年よりも早く起こったため、予定よりも遅い開催となったが、それでも観光客で賑わっている。地元の人間はあくせくと屋台を回しつつ、やってきた地元の客や、観光客に笑顔を振りまいているし、客のほとんどが先程始まった大規模な伝統芸能の舞に心を躍らせている。

 

 力強い太鼓や鐘の音に混じって聞こえてくる笛の音、伝統芸能保存団体の大人達や伝統芸能クラブに属する少年少女、年季の入った年配の舞────まるでマーチングや団体行動を見ているかと錯覚するほどに一糸乱れることなく踊っている。

 

「凄いな……」

 

「話には聞いてたけど、圧巻ねぇ」

 

 その舞を路上で見ていた『茶菓子同好会』のメンバー達もまた、この大規模な舞に圧倒されていた。最初は角がない鬼の装束に身を包んだ人々の舞から始まり、次は鹿なのか獅子なのかよく分からない見た目の装束の舞、その次は虎を模した装束の舞────様々な装束に身を包んだ人々が、少しずつ場所を移動しながら順番に、力強く、繊細に、美しく舞い踊り、人々を魅了し続けている。

 

「五家も祭を開いたりはするが、このレベルの祭はないな」

 

「そうなんだ」

 

「ああ。まぁ、新年の祭事というだけで、地域の行事というわけでもないからな」

 

「へー……」

 

 アザミの刺繡が施された浴衣を着ている琥珀と、アサガオ柄の浴衣を着ている明日夢がそんな話をしていると、薔薇の刺繡が施された浴衣を着ているローズがそういえばと周囲を見回した。

 

「メグちゃん来てないわね」

 

「ああ、少し用事があるから遅れるって言ってたわね」

 

「あらそうなの? お祭り行こうって息巻いてたのに、残念ねぇ」

 

「あの子、嘴が短いというか、ちょっと運が悪いこと多々あるわよね」

 

 長い髪を銀のかんざしで纏め、菖蒲の花が刺繍された白い浴衣を着ている翡翠が苦笑しながらそう言う。茶菓子同好会ではないが、よく合流するメンバーは夏休みの課題やら、部活の集まりなどで学園に戻っている。動画だけでも送ってくれと言われているため、明日夢達はスマホで大規模な舞の映像を録画中だ。無論、許可は取っている。

 

「ま、心の準備ができるからいいんじゃないかしら?」

 

「……ローズ」

 

 ジト目を向けた翡翠に対し、ローズは全く動じることなく恋する乙女に目を向けた。その目は慈しむものというよりも、心配や警告の色が強く、翡翠もジト目を止めて表情を硬くする。

 

「少し前、実家から手紙が来たのだけれど……メグちゃんを取り込もうとする動きがあるみたいよ」

 

「…………あれだけ巡君のことを下に見るようなことを言ってた連中が今更?」

 

「ええ。前回の百鬼夜行でメグちゃんが禍津日様の加護を手に入れたことが判明した。それと……あの子の肩書が、精霊達などから伝わったみたいね」

 

 秘匿され、誰も知らなかった神、禍津日。その加護を得ただけではなく、堕ちた神を送り、その名を受け継いだ現人神となった巡。割合的には人間の割合が強いものの、神の末席に加わることが許された人間の血を、名家と呼ばれる者達が欲しがらないわけがない。

 なお、気狂いの地雷を踏み抜いた結果どうなるかを知らない名家は、その手口によっては逆鱗に触れ、虎の尾を踏み、デーモンコアのドライバーを引き抜くような自殺行為となる。何故背後に誰がいるかも分からず、キレたら何をするのか全く分からない、偶然人間の形をしているだけの怪物の地雷を踏み抜きに行くのか。

 

「元々、百鬼夜行のデータを取ってる家とかからは評価が高かったし……遅かれ早かれ、こうなってたでしょうね」

 

「…………」

 

「早いとこ攻め落とさないと、後悔するわよ」

 

 ローズの忠告に麒麟は無言で頷き、翡翠は赤くなったり青くなったり白くなったりと忙しい百面相を見せた。

 

 ローズに言われずとも、一部界隈で巡の評価が高いのは耳にしていた。特に代々百鬼夜行に出現した怪魔について研究している家や、怪魔やアムリタ、スキルなどの研究を行っている者達などからの評価は悪くない。だが、どれもこれも女性人気と結びつくようなものではなかったがゆえに、油断していた。天照からの依頼で何かあったらしい明日夢のこともあるし、自覚があるのか無いのか少々微妙なラインではあるものの、巡の精神性を少年らしいものに引きずり下ろす琥珀もいる。強敵も強敵。容姿も性格も、間違いなく上澄みである。

 

 強敵ばかりの恋愛戦争において、早過ぎるということはない。だが、踏み出せないのが翡翠という少女である。瑞騎家の女は基本的にそうである。だというのになぜ勝ち抜けているのか、麒麟はよく分からなかった。そして鳳凰は思う。ローズの姉が生きていれば瞬時に掻っ攫われて、巡の一番枠を得ることができずにいただろうと。だからこそ、ではないが────ローズは翡翠にお節介を焼いていた。

 

 陽キャスキン陰キャの明日夢も、決闘馬鹿から復帰した琥珀も発破をかけずとも攻めることができるタイプである。だからお節介を焼かずとも問題ない。だが翡翠はどうだろう。思いっきり抱きしめられただけで気絶するわ、昔のことを話すことはできないわ、クリスマスの夜に出かけて一歩踏み込めないわで見ている方が落ち着かない。全人類の心の片隅に潜んでいる気ぶりのノスタル爺さんが叫ぶレベルである。

 

 もう一押しすれば、さすがの翡翠も火が付くだろう────そう思った矢先。

 

「やっぱり師匠が踊るべきでは? ボブが訝しむどころか検挙するレベルですよ」

 

「呵々ッ、問題なかろう。着付けも、振り付けも全て問題なかったじゃろうに」

 

「だからって酒飲んでんじゃねぇよクソがよぉ」

 

 話の種となっていた張本人が、師匠である禅明と共に現れた。禅明の姿はいつも通りの着流しだが、巡の姿はというと、見たこともない装束に身を包んでいる。

 

「……巡君、よね?」

 

「あ、すいませんね瑞騎先輩。遅くなりました。…………浴衣、似合ってますね」

 

「あ、うん。ありがとう」

 

(あ、この子原液で精神安定霊薬飲んできたわね)

 

 浴衣を直視しても目がキョロキョロ動かない巡を見て、ローズは霊薬を飲んできたことを察した。

 

「模歩君、その服、何?」

 

「これ? 戦舞の衣装」

 

 明日夢の問いに答えた巡は、シャラシャラと鈴の音を鳴らす着物を揺らしながら苦い顔を浮かべている。不本意ですと心の底から思っている巡に対し、明日夢を含めた茶菓子同好会のメンバーは苦笑するしかなかった。

 

「うん? パンフレットでは逢魔が時に始まると書いてあるが……」

 

「ああ、それなんだけどな。踊りはその時間から。でも、この衣装を着て歩く必要があってさ……」

 

「? それはどういう────」

 

 戦の字が刻まれた蔵面を被った巡のため息交じりの言葉に疑問符が浮かんだ直後、パシャシャシャ、とシャッター音が聞えた。何事だと思った茶菓子同好会が周囲を見回すと、カメラを構えたカメラマンや、スマホのカメラを起動している観光客などが、巡の写真を撮っているではないか。

 

「こういうこと」

 

「どういうこと?」

 

「戦舞の踊り手の写真を撮れた人とか、踊り手が食べた物と同じものを食べたりするとご利益がある、なんて話があるんだよ」

 

 美しい藍色の衣装に身を包んだ巡は写真を撮られていることや、地元のテレビ局のカメラが向けられていることに何か不快になった素振りもなく、カメラに向けてヒラヒラと手を振ってみたり、カメラ目線(蔵面)で写真を撮らせたりと、サービスしている。

 

「まぁ、こういう────っと、はいそこ。止まれ。それはいただけねぇなあ?」

 

「は? 何言って────」

 

「おいおい、俺のご友人達のこと盗撮してSNSに上げようとしただろ? 止めようか」

 

 サービスだけではなく、盗撮を咎め、何をしようとしたのかを言い当てて犯罪を止めたりもする巡。男性のグループは図星を付かれたように顔を引き攣らせ、偶然近くを巡回していたお巡りさんに連れていかれた。どうやら何度かやらかしているグループだったようだ。

 

「こういうのがあるから踊り手をやりたくねぇんだ」

 

「友達と歩くって言うのが難しいものねぇ」

 

「そうなんすよ。……まぁ、踊り手を断っても師匠に話が回って、また俺に押し付けられるだけなんですが」

 

 今までは禅明が踊り手を務めていたが、今年は巡にお鉢が回ってきた。今年だけという話で現在は進んでいるが、禅明は来年もやらせるつもりである。それに気付いていないことこそ、夏の魔力で浮かれている証拠であった。

 

「というわけでそろそろ時間だ……あ゛ー……やりたくねぇ……やりたくねぇよ……」

 

「そ、そんなに……? パンフレット見る限り、交代制でしょ? そこまで長く踊るようなものじゃ……」

 

「ソロ」

 

「「「「えっ」」」」

 

「ソロ。一人。逢魔が時から丑三つ時までずっと一人でぶっ通し。演奏が交代制なだけで、一人で大通りを歩きながら踊るんだぞ」

 

「「「「えっ」」」」

 

 今明かされる衝撃の事実────!!

 何年も続いている祭、その花形である戦舞の踊り手は夕方から深夜までぶっ通しで踊り続けていた。そんなものを踊り切れるのは持久力にガン振りしている戦士か、バグの塊である禅明ぐらいだろう。

 

 だが、そんなことはない。戦舞は覚えれば誰でも踊れる戦舞初心者にも優しい舞であるのが、戦舞の特徴だ。ただし死ぬほど長い。死ぬほどキツイ。ちゃんと鍛えないと踊りながら気絶する。気絶しても踊れるので、初心者にも優しい舞と言えよう。戦舞は優しい舞だ。戦舞は初心者にも優しい舞だと言いなさい。誰にでも踊れる優しい舞だと言え。

 

 茶菓子同好会のメンバーだけではなく、初めてこの祭を見に来た観光客も、巡の言葉を聞いてドン引きを隠せずにいると、大規模な舞のパレードが終わりを告げて────何やら雅な笛の音と共に軽快な太鼓と鐘の音が響いてきた。

 

「げっ、もう始まるんかい。まだ時間じゃなくねぇっすか」

 

「呵々ッ、いつもより時間を早めてもらったわい」

 

「こんの鬼畜師匠がァッ!!!?」

 

「ほれ、行ってこい。正真正銘の戦士が舞う戦舞なんぞ、中々見れんぞ」

 

 ほろ酔いでいい気分なのか、楽し気に巡の背中をどついた禅明。それにキレる気狂い。確かに逢魔が時には突入しているが、本来は19時頃から始まる戦舞。現在の時刻は17時。巡が気狂いとはいえ、これはキレてもいい。

 

「クソがよぉ……やるしかねぇんだろうなぁ……やりたくねぇなぁ……!!」

 

「大変ねぇ。正直同情するわ」

 

「同情するなら変わってください」

 

「嫌よ♡」

 

「くっ、ローズ先輩の優しさに期待した俺が馬鹿だった!! ────────はぁ」

 

 ギャーギャー騒いだお蔭である程度覚悟ができたのか、静かに息を吐いた巡。それだけで、巡が纏っていた空気が変化する。ダンジョン攻略中、日常生活など、様々な顔を見せる巡の、新たな顔に茶菓子同好会のメンバーは息を呑んだ。極光で全てを焼き尽くすような鮮烈な顔、春の太陽のように穏やかな顔や、年相応の楽しそうな顔を見ることはあれど、ここまで凪いでいる夜の海のような空気を纏う巡を見たことはなかった。

 

 新たな一面に驚いていると、巡は霊子化させていた舞の道具を取り出して大通りへ足を向ける。一歩、一歩と踊り手が歩いて行けば、自然と大通りへの道が開かれていき、衣装の所々に取り付けられた鈴が周囲の空気を清めるように鳴り響く。

 

 大通りの中心に辿り着くと、巡は、奏でられる音楽に合わせて舞を始めた。真夜中の湖面に浮かぶ月のような雅さを感じさせる舞に、先程まで熱狂していた人々が一言も発さず、ただその舞と音楽に耳を傾けていた。

 

「────ッ」

 

 回る。回る。回る。何度も何度も回る。湖から流れていった水が岩にぶつかりながら流れていき、海にて渦潮を生み出すように、緩やかな流れの舞から、激しい流れの回転舞踏へ。回転の激しさが最高潮に達してから数秒後、少しずつ緩やかになっていく。先程は回れば回る程早くなっていったが、今回はその逆。回れば回る程遅くなっていく。

 

 優雅さの奥にどっしりと亀のように構えている舞をよく映えるものにしているものの一つが、巡が手にしている旗槍であった。絹で作られているような光沢を放つ旗槍が、巡の舞と共に振るわれることで舞に動きを増やし、美しさや優雅さを強めている。現代においても、マーチングなどでカラーガードというポジションが存在し、花形ともされているが、旗を振るいながら舞い踊る巡の姿は華がある。

 

「────わぁ……」

 

 不意に、音楽が変調すると同時に水を思わせる舞が変化する。旗を霊子化させたと思えば、次に取り出したのは木製の七支刀と呼ばれる儀式刀。風に揺られてざわめく草木を思わせる舞へと動きが変わった。音楽という風が吹き、踊り手という草木が舞う。春夏秋冬、様々な風が吹くたびに、草木はその姿を変えていく。

 

 雪解けを告げる春風が吹けば、待っていましたと言わんばかりに草木が芽吹き、暑い夏を告げる風が吹けば草木が青々と生い茂る。実りの秋を告げる風が吹けば、草木は新たな命を繋ぐための養分となるべく赤く染まり、眠りの冬を告げる風が吹けば、草木は眠ったように枯れていく。

 

 巡る。巡る。季節が巡っていく。また春が来た。また夏が、秋が、冬が、春が。何度も繰り返し、季節が巡っていく。巡り、巡って、何度も何度もやってくる。先程の水を思わせる舞とは違い、巻き戻ることはない。風は戻ることはなく、明日は明日の風が吹き、草木もまた、戻ることはない。ただ巡り、その季節を生き抜いていくのだ。まるで、気まぐれな竜のように。

 

「……む、また変わるのか」

 

 また、音楽が転調した。轟々と、激しい音楽だ。その音楽に合わせて、巡の舞も激しいものになっていく。道具も変わり、次に取り出したのは炎のように刃が波打つ二振りの曲刀だ。燃え盛る炎のように激しく、熱によって揺らぐ陽炎のように、激しく、揺らめくような舞。先程までの歩法ではなく、飛んで、跳ねて、激しく舞うその舞は、先程まで静かに見ていた人々の心を燃え上がらせ、熱狂させる。

 

「覇ァッ!!」

 

 ビリビリと空気を震わせる叫び声が、人々の鼓膜を震わせる。音楽に負けない、凄まじい声量で放たれる掛け声と共に魅せる猛々しい舞は、更なる熱狂を呼び起こしていく。

 

 炎が燃え、天を焼く。炎が揺らめき、幻を見せる。邪悪を焼き払い、暗闇を明るく照らす鳥のように、羽ばたくように舞う。熱く、熱く、何もかもを焼き尽くす灼熱を放つ日輪の如き、激しい舞が人々の心を強く動かす。

 

「……また、変わる」

 

 さらに音楽が変わった。まるで地鳴りのような低く、怪物の唸り声を思わせるほどおどろおどろしい、腹に響くような音楽に合わせて、舞も変わる。

 

 曲刀の代わりに取り出したのは、薙刀よりも刃が厚く、大きい偃月刀。偃月刀を縦横無尽に振り回しながら強く、地面が砕けるのではないかと思う勢いで地面を踏み鳴らす。何度も、何度も踏み鳴らし、都度偃月刀の石突きも地面に突き立てる。足踏みをされる度に、音楽が弱々しいものになっていく。まるで怪物が────怪魔が切り裂かれ、大地の怒りに踏み潰されていくように。怪魔が、獣の牙や爪によって喰い裂かれるように。

 

 次第に弱くなっていく音楽とは裏腹に、巡の舞は激しくなっていく。踏み鳴らし、振り回し、突き立て、天に吼えるように声を張り上げる。何度も繰り返して、怪魔を叩き潰していく。遂に音楽が全て消え、巡の動きもピタリと止まった。舞が終わった────そう思ったのか、初見の観光客がポツポツと拍手をし始めたその時である。

 

「……ッッ!!」

 

 どこからか放たれた鏑矢の音で、巡の舞が再び始まる。太鼓や笛の音色よりも強く響く鐘の音に合わせて、巡は己が最も使い慣れた得物────喰い裂き丸を取り出して激しく踊り始めた。

 

「喰い裂き丸?」

 

「舞の道具じゃないわね」

 

「おうよ。戦舞の見せ場はここからでな────己の得物を振るい、舞うのよ」

 

 禅明がそう言ってすぐに、巡が手にした喰い裂き丸に雷が宿る。バチッ、バチッ、と黄金の雷が夜の街を照らす。変形機構が起動すると共に伸びる刃が螺旋を描き、空へと昇っていく。昇り、降り、広がっていく。加えて踊り手も縦横無尽に駆け巡る。天地を駆け、人々の安寧を守る神獣のように、雷鳴が嘶きのように広がっていく。音楽が最高潮に達した時、巡の舞も最終局面へと到達する。

 

「……ぁ」

 

 今まで以上に激しく舞い踊る少年が着ける蔵面の下にある顔が、茶菓子同好会にだけ見えた。偶然か、意図してのことかは分からないが、仲間のことを見ながら、笑っていた。あれだけ嫌だ嫌だと言っていたのに、始まってしまえば、巡の口元や、目は物語っていた。

 

 楽しい。ずっと踊っていたい。そんな思いが伝わってくる笑みを見て、翡翠は息を呑み────頬を薄っすらと赤く染めた。気狂いだ、得体の知れない人間だ、加護が無いくせに前線に出ている変な奴だ────とあれこれ学園内外で言われている巡は、焦燥して心が擦り切れる寸前だった翡翠と出会った頃から全く変わっていない。喜怒哀楽があり、何かを隠しているのにそれをおくびにも出さず、掴んだ手を絶対に離そうとせず、むしろ頑丈な縄などを持ってきて縛り上げるくらいはしてくる、優しい男の子。全く変わっていない。神の加護を得ようが、神の末席に至ろうが変わっていない。彼は、私が好きになった模歩巡だ。

 

『全く……ローズにも色々お節介を焼かれて、ようやく火が付いたのかしら』

 

『ま、それはお嬢もだろうがなぁ。見ろよ、もうガッツリ気付いちまった』

 

『明日夢もそうですねぇ……人を好きになるって何? なんて言っていた子が、恋を知ったようですね』

 

『いっそ小僧は全員を娶るべきではないか、これは』

 

『『『それな』』』

 

 神や神獣達の会話は契約者には届かず、人々と同じように巡の舞に魅せられている。祭の花形に、人々は丑三つ時のその時まで魅了され続けた。




なんてことだ、もう助からないゾ☆

まぁ、ここから助かる保険に加入しているのがうちの気狂いなんですけどね、初見さん。保険の使いどころさんを誤らない限りは問題ないです。ペッ、甘ちゃんが。

ではこの先ずっと倍速で気狂いのマラソン風景をご覧ください。――――――――なんで等速にする必要があるんですか?
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