恋愛要素ありの死にゲーに転生して鉈を振り回す転生者 作:エヴォルヴ
大嶽丸が己に蓄えられたアムリタによって作り上げた逢魔百鬼城────つまり巡の貯め込んでいたアムリタとも言う────は、大阪城や二条城などがベースのモデルになっている。本来であればここで終わるはずなのだが……転生者の巡が死ぬほどやり込んだ死にゲーの記憶が混ざった。結果、アノロン梁渡りができそうな場所があったり、対人戦ができそうな裏庭があったり、足場が少なくて棘と回転ノコギリが右往左往する真っ白な空間があったり、触れたら引きずり込まれそうな絵画があったりと、死ぬほど忙しいマップと化していた。もはや戦犯ではなかろうか。
この現象について大嶽丸は「……そうか。幾多の死線を超えてきたのだな」と頷いて称賛している。ちょっと天然入っているように見えるが、気にしたら負けである。テンションが高い方が勝つ。最初から最後までクライマックスだったやつがこの戦場を制するのだ。原作よりも悪魔強化されている節はあるものの────
「アノロン梁渡りじゃねぇか!? 完成度高ぇなおい。せめて腐敗沼持ってこい」
パルクールの要領で梁渡りを突破できてしまう身体能力が、戦士にはある。島津の後押しと蜈蚣姫などの怪魔が作った常世の穢れが薄いルートを踏破してきた巡一行は、梁渡りを超えた先で金棒を二つ握って暴れ回る鬼の浮世絵が描かれた扉の前に立っていた。
「ねぇ、梁渡りはいいんだけど、この大きな扉は?」
「ボス部屋だろ」
「……連戦?」
「……お気付きになられましたか」
とはいえ、大嶽丸に従う強力な怪魔はそこまで無粋な真似をするやつではないと、巡は知っている。なお、だからといって真面目に戦ってやる義理もないので全力で誉れを遂行するつもり満々であった。
「えーと、この絵からして金鬼か? 筋鬼に改名した方が良さそうな
「とばっちりもいいところだな」
「まぁ、当てつけじゃなくても殺すんですけどね。素材欲しい」
島津の軍勢を呼び出したことで、人魔戴冠に使う仙妖ゲージをほとんど使い切っている巡。自然回復を待つでもいいが、そんなことをしていたら日が暮れてしまう。となれば消費アイテムで回復する方法を取る……こともなく。いつも通りのバフをガン積みした巡が取った行動は────
「これをこうして……こう」
切腹であった。
「何してるんですか!?」
「切腹」
「それは見て分かるわ!? 何してんだお前!?」
城への突撃で合流した京都校生、巡の行動に総ツッコミ。突然仲間が切腹し始めたのだから当然だ。こんなことをするやつは京都校に────いるかもしれないが、今のところはいない。
「出血エンチャと自傷によるバフを両立した誉れある行為だぞ」
「そう言いながらさらに切腹するな!? 臓器どうなってんだ!?」
「ズラした」
「「「ズラしたぁ!?」」」
「ま、傷付いてもリジェネで回復するんですけどね。あと服用してる霊薬で」
「頭がおかしくなる……!!」
気狂いを見るのは初めてか? 力抜けよ。
「琥珀ちゃんも何か言ってやれ!?」
「模歩巡、装備構成は?」
「バフ効果時間延長倍化ビルド*1で揃えているが」
「そうか。それならよし」
「琥珀ちゃんもそっち側かい!?」
気狂いの自傷行為に慣れている東京校の人間は、巡の自傷バフ中に自分にバフをかけている。ちなみに今回のメンバーにパリピイケメンボーイズと万莱は不在。彼らは外で溢れ返る怪魔を殲滅中である。具体的に表現すると、パリピイケメンボーイズはコスト度外視で用意したミニチュアアハトアハトで、万莱は疑似ニーヒルで血の雨を降り注いでいる。前線への被害? 爆撃地点にいるやつが悪い。そもそも爆撃地点は爆撃する前に示しているのだから、いるのが悪い。
「そもそもこの先にいる怪魔は真面目に戦うと馬鹿を見るタイプしかいねぇからな……金鬼、風鬼、水鬼、隠形鬼、火鬼……クソがよ」
「初見なのに何で知ってるんだ?」
「酒吞童子に聞いた。あいつ意外と聞けば何でも答えてくれんだよなぁ」
なぜ怪魔と会話を成立させているのかと京都校の人間は疑問に思うが、こいつについて真面目に考えるだけ無駄なので考えない方がいい。真面目に考えている間にキルスコアを稼がれてクラスター爆弾を投下されるので考えるより先に体を動かせ。
「よし、バフ全部発動したから────こんにちは、死ね!!」
扉を開けるなんて無粋な真似はしない。扉は蹴破るものである、と言わんばかりのダイナミックエントリーをかました巡。吹っ飛んでいった扉は大部屋の中央に鎮座していた鋼鉄の外殻に身を纏う筋骨隆々な鬼に激突する────寸前にその鬼によって粉砕された。
「よく来たな、人間!! 我が名は金鬼!! 大嶽丸様に仕える五鬼の一人────ぬぅ!?」
「口上垂れてないで死ね」
「名乗りを邪魔するとは無粋な……!!」
「戦争に無粋も卑怯もあるかよ」
先制攻撃は巡による油投擲。何が酷いって、この油にもしっかり劇毒が仕込まれている。しかも頑丈な怪魔にはじわじわと蓄積するせいで気付かれにくい、羽津との合作である。さらに、この油は火属性を効きやすくするための油ではない。
「お前らが人間社会を見てない間に色々科学は進化しててなぁ……!」
この油、ゼリーのような形状で燃えやすい。
「てめぇら用に色々調整したんだ、たっぷり味わってくれや!!」
「何を────がああああああああああああああああっ!!?」
ゼリー状の油が、羽津が放り投げた火炎瓶によって引火する。巡が投擲したのは対怪魔用ナパーム弾……酸素を急激に奪って大炎上を起こすこの爆弾の改造品だ。
本来であれば酸欠で動けなくなる可能性もあったが、金鬼に対面した瞬間から玻璃による風の結界が展開されているため、巡一行は酸欠や一酸化炭素中毒を起こすことなく健在である。金鬼の弱点はアムリタとはいえ構成物質が金属に近しいものということもあって火属性。それと出血も効く。金属と言えど切ってしまえば血が出る。なお、斬撃は効きにくいので打撃による攻撃が有効打となりやすい。というわけで。
「千磁ィ!!」
「あいよぉ!!」
「ぐぉっ……!?」
燃え盛る油を消そうとのたうち回る金鬼に強烈な蹴りを叩き込んだのは、一本だたらの加護によって火属性に対する耐性がほとんど無効レベルに強化されている男、千磁光銘。一応水属性の耐性は低いはずなのだが、この世界では一本だたらが使える炎の熱が凄まじ過ぎて下手な水属性は蒸発させてしまうので、属性弱点がほとんど存在しない男だ。なお、状態異常などの搦め手に弱い。主人公の親友枠がそれでいいのか。
「燃えてる相手に俺は滅法相性が良くてなぁ!! こっちはもうフルスロットルだぜ!!」
『鉄は熱いうちに打てって言うからねぇッ!!』
巡一行が逢魔百鬼城に突入する前から決めていたことの一つとして、相手に付き合わず一方的に痛めつけられる痛さと怖さを教えてやることがある。相手の出方を探っている間に増援が来る可能性もあれば、大嶽丸の気まぐれで次元斬が飛んできて全滅という可能性もある。城の外にいる怪魔もほとんど無限湧きで、しかもこの期に及んでまだ各地のダンジョンの怪魔が活性化し始めているのだ。
ダンジョンの鎮圧部隊もいるが、それでも万が一ということがある。この戦いに参加している戦士が消耗しきる前に勝負を付ける必要があった。
「ぬ、ぅ……! 貴様ら戦士としての誇りは無いのか!?」
「誇り云々持ち込むのは決闘だけで十分だっての!!」
光銘がようやく戦闘態勢になって金棒を振り回し始めた金鬼の金棒を真正面から蹴り上げる。バフ込みでも蹴った足が砕けかねない剛力であるはずの金鬼……その金棒をかち上げることができたのは光銘自身の研鑽と、彼に加護を与えている一本だたらの力が関係していた。
本来であれば加工が難しい素材を加工するための一本だたらの金槌や金床、鏨などを蹴りを放つ瞬間に顕現させることで自身の頑強さを強化すると共に身体の保護を可能としているのだ。
そんな鍛冶仕事で使うはずのものを戦闘に転用している光銘は、金鬼と真正面から戦いつつ、協力者らしい飄々としている老人や、鬼の面を着けていた戦士らしき連中から渡された紫色の彼岸花をチラリと確認する。
(一輪枯れてやがる。二本目も花弁が一枚落ちた……この城自体常世の穢れってやつと、瘴気が濃すぎるんだ)
渡された彼岸花は常世の穢れを弾く効果があるらしいが、少しずつ枯れてその花びらを散らしていた。ここで全員が金鬼と戦っていては、渡された彼岸花が枯れ落ちて常世の穢れの中で苦しい戦いを強いられてしまう。────となれば。
「こいつは俺が仕留める。お前ら先に進め!!」
「あいよー」
お前だけを置いていくなんてできるか、なんて無粋なことは言わないし言っている時間ももったいない。とにかく時間が惜しいのだ。渡された彼岸花が全部枯れたのならば、城に突入したメンバーで戦える人間はほとんどいない。それこそ結界術を戦闘に組み込めるレベルまで鍛え上げた暮奈や、豊穣の女神の加護を持っている明日夢などであれば話は別である。
……なお、巡は凱蟲百足城や双子の羅刹のところに毎度通っていることや、禍津日の加護を得ている影響で怪魔にとって最高の環境は巡にとっても最高の環境になっている。やっぱりこいつ、人間の姿をしているだけの怪魔なのではなかろうか。血を特殊な溶液に入れたら白かったり紫色だったりしないだろうか。
「メグちゃん、アタシも残るわね」
「んー、まぁ、それが正解ですね。火属性三人いるし。お願いします」
金鬼戦で残ることを決めたのは二人。光銘とローズだ。
現在の実力であれば、光銘とローズの二人が組めば────少々ギリギリにはなるかもしれないが、金鬼を撃破することはできる。大嶽丸が死んでから……正確には大嶽丸が鈴鹿御前の式神となって人間に戻ってしまってからは不貞腐れて寝ていた怪魔が、今まで研鑽をしてきた人間に勝てる道理もないのだ。
もちろん強いことには強いので、金鬼を撃破した後に他の戦闘に参加したいのなら死に戻りをして一度色々リセットしてからでないといけないだろう。彼岸花をまた協力者から貰えるかどうかはさておき。
「行かせるとでも思うてか!?」
「行かせるに決まってるでしょ?」
「ぬぅ!?」
金鬼が先へと進もうとする戦士を行かせまいと動く前に、ローズが炎の矢を放って牽制する。
「貴様、鳳凰の加護を持つ戦士か!! しかし鳳凰とは二対の神獣のはず……双子ではないのか!?」
『我が身は元より一つよ。鳳と凰に────二羽の朱雀に分かれることができるだけであってな』
炎の翼を持つ美しい紅蓮の猛禽がローズの周囲で羽を広げる。
『だが、そうか。我が身が一つの状態となって戦士と共にある時間は存外に少ないな』
「あら、そうなの?」
『ああ。あの馬鹿────初代の頃と、三代目と……お前の父親の頃だな。薔薇苑本家はポコジャカと子供を産むし、双子が生まれやすい』
「ふぅん。確かに家系図も双子三つ子が多かったわねぇ」
『姫艶が死んでいなければ、お前に弟や妹が五人はいただろうよ』
「……かもしれないわね。暮奈なんて8人姉弟の長女だもの」
戦闘には関係のない世間話をするくらい、ローズの心は落ち着いていた。そこに並び立つ光銘もまた、それくらいの心の余裕がある。具体的には、この戦いが終わったら何食べに行こうかとかをもう考えている。時間は限られているが、これだけの余裕があれば、心で負ける道理もないというもの。
とにかく、ここは俺に任せて先に行け系バトル、不貞腐れて寝ていたせいで弱体化している金鬼VSバチクソ硬い前線DPSタンク光銘&死ぬほどしぶとい後衛ヒーラーローズ戦が、巡一行が先に行ったところで始まった。
* * *
金鬼から始まった俺に任せて先に行け系バトル~五体の不貞腐れた怪魔達VS何かよく分からないけど強い習わしと武勇と誉れを持ったお侍様の戦い方じゃない戦士達VSダークライ~。そろそろダークライを解放した方がいいかもしれないが、まだまだダークライには働いてもらうことになっている。
金鬼には光銘とローズ、水鬼には琥珀と羽津、風鬼には暮奈と玻璃、火鬼には治水*2、隠形鬼には翡翠と明日夢が充てられた。恐らく一番最初に決着するのは治水である。何だかんだで力こそ王の故よ、みたいなステータス構成をしているのだ。遠距離からチクチクするしか脳のない火鬼などただの案山子よ。
まあそれはそれとして(デビルマン)。アノロン梁渡り、大いなるMの意志を受け継いでいる毒沼、無駄に足場が劣悪な氷地帯、熱気でスリップダメージを喰らいそうな炎と溶け落ちていく溶岩に包まれた溶岩水泳地帯、大嶽丸が見てきたであろう人の望み! 人の夢! 人の業! ~巡の記憶から丁寧に抽出されたボ〇村と赤い東京タワーを添えて~が再現された体験コーナーなど、討魔プレイヤーや他ゲームプレイヤー、RTA走者が見たら発狂間違いなしな地獄のアスレチックを踏破して、一人になった巡が辿り着いたのは、先程までとは打って変わって荘厳さも、派手さも、美しさもないただのシンプルで蹴り飛ばしたら簡単に砕け散ってしまうような────どこか牧歌的で穏やかさすら感じる漆塗りの扉だ。
「……ラスボス戦は大耀さんの役目じゃないのか……」
お前ほど現在の大嶽丸と因縁ある奴はいねぇよという話ではあるが、この男に常識は通用しない。バフもいい感じにフルスロットル状態になってきて、仙妖ゲージも完全に回復するところまで来ている。外を見ればほとんど無限生成されている状態の怪魔と戦う戦士と、明らかに人間じゃないけど人間のふりをして戦っている怪魔が見える。
彼らの助力を無駄にしないためにも、巡は死に戻りは自爆で確殺する時だけと決めて、全ての手札を使い切ってでも大嶽丸を殺す覚悟をもう一度腹に括ってから、牧歌的な扉を開けた。
「……来たか」
扉を開けて、大嶽丸がいる大広間に入った巡。美しい花々が咲き誇る大広間の中心、座して待っていたのは竜のような鱗や、明らかに人間からかけ離れた異形の肉体を持つ怪魔────大嶽丸。手に持つのは大嶽丸の禍々しい外見に似合わないほど神聖な輝きを放つ諸刃の刀、三明之剣。
「各大部屋に五鬼がいるはずだが……そうか、お前の仲間が戦っているのだな」
「お陰様でてめえをエルデンリンチできないんだよなぁ……」
「……そのえるでんりんちというのが何なのかはともかく……お前に問いたい。なぜ、戦う?」
「あ? 素材が欲しいからだが。あと老後の資金」
「物欲か……それもまた人間だろう。……だが、私が聞いているのはそうではない」
それは分かっているだろう、と巡を見る大嶽丸の目はどこまでも澄んでいる。巡を見て、別の誰かを見ているかのようにも、何もかもどうでも良さそうな目にも見えるその竜のような瞳に映っている巡は少し考えた後、言葉を発した。
「とりあえず一つ目。復讐。てめぇ、義理だ何だと言って俺の両親だけじゃなく、町の人達殺しただろ」
「ああ、殺した。私が斬った。だが……果心居士の策略とはいえ、お前を虐げた者達だ。お前が復讐する必要があるのか?」
「まぁ、それはそう。だけど、そうなる前は皆俺のことをちゃんと見てくれてた。記憶が消えた? 封じ込められた? 後もちゃんと俺の呪いの言葉の通り接してくれた」
「その程度で、お前は許すと?」
「どれだけ酷いことを言われてたとしても、酷いことをされていたとしても、やっぱり俺は憎めねぇんだよなぁ……ぶっ壊れちまった頃の俺も多分、そうじゃねぇかな。恨んで憎んで……ってなったらもうなりふり構わず殺ってんだろ」
まぁ、忘れてるから本当のことは分からねぇけど、と鉄花荒轟を妖蜂連花のウェポンラックにセットしている巡は頭を掻く。
「ま、とりあえず一つ目は復讐するためな。んで二つ目が素材と老後資金。んでもって三つ目だが……」
また考え事。悠長なものだが、巡が付与したバフが全て最大値に到達するまでにまだ時間がかかる。時間稼ぎも兼ねた会話だが、大嶽丸はそれを許していた。
「んー……まぁ、なんだかなぁ……言っていいのかね、こういうのってさ」
「……何を思う」
「お前、俺の中にいたんなら知ってるだろうけどな、俺は色々中途半端でよ。ん? 中途半端っつうか優柔不断? まぁ、どっちでもいいか」
「……」
「とにかく、俺はあれこれ考えるタイプなんだわ。戦闘中は何か冴えるんだけどな、日常生活では色々考えてんの。闇落ちとかバッドエンドとかデッドエンドとか闇落ちとか色々な」
「全て同じではないのか」
「これだから素人は。全然違うに決まってんだろ」
こんな時でも、こんな時だからこそ煽ることを大事にしていきたい……そんな心持ちな巡は溜め息を吐きながら続ける。
「その中でも、関わった人達の闇落ちとかバッドエンドは常に考えていてな? ほんっとうにどこからともなくやってくるのよ、バッドエンドルート」
「……災害のようなものか」
「災害ってのは防げはしないが対策はできる。お前を殺せばこの戦いが終わって一旦落ち着く。バッドエンドルート一時回避ってところだな」
第二、第三の刺客と言わんばかりにバッドエンドルートの波がアイサツせずにアンブッシュ気味に押し寄せてくることに関しては何も言うまい。アイサツ前のアンブッシュはスゴクシツレイに当たるので、ニンジャが怒る。
「んで、一時回避すれば余裕が生まれるんだ。色々考える余裕がよ」
「考えることが多いのだな」
「まぁな。こう、倫理的なところとか、色々考えないといかんことがあってな。バレンタインまでに考えを纏めんと」
とある事柄によって、巡のバレンタインデー感謝の素材マラソンとホワイトデー感謝の素材マラソンの予定が崩れてしまったが、健全民に一歩近づいたとも言える。本当ならばクリスマスイヴ感謝の素材マラソンも開催予定であった。
「というわけで、その考える余裕を得るためにもてめぇが邪魔なんだよ」
「そうか。……ならば、始めようか」
大嶽丸が己の得物を構え、巡と向き合う。今の巡はラスボス相手にどこまで食らい付けるか、などはもう考えていない。初見じゃないが、初見のこの一回目で確実に殺すケツイがみなぎっている。
「────?」
ゆえに、大嶽丸が知らない手札を切った。
「準備は色々してきてんだわこっちもよ……」
霊子化を解いて、取り出したのは鬼の角を加工したような装飾品。だが、首飾りにしては大きいし、髪飾りにしては簡素で、そもそも髪留めや飾るものにも見えない。よく見ると鬼の角が何かの骨とアムリタ結晶を使って作ったのだろう竜の頭……のようなものに繋がっている。
「ただこれ、一回使ったら壊れるらしくて使えなかったけど、使いどころは今だろ」
竜の口のような部分に巡が捻じ込んだのは、首に下げていた黒曜石のナイフ。何かの役には立つだろうと、南米の神が渡していたそれを喰らった竜の頭が妖しく輝く。
『Main system activating』
(日本語じゃねぇのかよプロトタイプ)
装飾品が砕け散り、巡の装備を書き換えるようにしながら、彼の体を覆い尽くしていく。首のあるデュラハンみたいな外見だった巡の黒騎士装備が、メカメカしい外見へと変貌していく。
『Destroy……』
『Break……! 』
『Annihilate……!! 』
目に映るものを全て消し去る勢いの殺意マシマシなシステム音が響き渡り、装甲の書き換えが完了する。
鬼や竜────怪魔とはまた違った恐怖を煽る、何もかもを破壊して焼き尽くさんとする黒い獣のような装甲に全身を包んだ巡は自分の体の調子を確認しつつ、攻撃に全てガン振りしているような刺々しい装甲越しに大嶽丸を睨んだ。
「じゃあ、やろうか。首寄越せ」
「……来い、人間!!」
傍から見たらラスボスVSラスボスみたいな戦闘が今始まった。
戦いが始まってばっかりだなおい
プロトタイプ
加護を得る前の遥か昔の人類なら使っていたと言われる装甲。ロストテクノロジーだが、討魔3で復活する。時代を先取りしている気狂い
ミニチュアアハトアハト
深夜テンションで色々やっていたら何かが憑りついたような様子でパリピイケメンボーイズが開発したアハトアハトのミニチュアサイズ。威力は据え置き、サイズは戦国時代とかで使われてそうな大砲サイズ。そもそもこのパリピイケメンボーイズ、どちらかと言えばガンスミスである。その才能が変な方向に行くせいで不思議なものが生まれる。