恋愛要素ありの死にゲーに転生して鉈を振り回す転生者   作:エヴォルヴ

97 / 101
君達はまだ真の暴力というものを知らない

 うーむ、メイケイオス遥斗とインテリ蛮族麗良の力を持ってしても、八束爬戯の幹部クラスに食らい付くくらいが限界か……やはり二人にはステータスをさらに強化してもらわねばならない。八束爬戯への報酬で現代の菓子を大量に持っていったから、見逃してもらえたが、今度行ったら喰われる気配がする。奈落星からの超新星で逃げよう。ちなみに奈落星は麗良が使った方が火力が出る。んでもって、俺はズレを解消する必要あり……あとスキルの連結なんかも試してみよう。色々再現したりしているせいもあってスキルの項目が結構圧迫してるし、さっさと連結してしまうのが吉。

 

「ところで先輩、酒吞童子の金棒持ってませんか」

 

「まだ倒せてねぇんだなこれが」

 

 そもそも俺が酒吞童子のアムリタ結晶とか素材を手に入れたら、真っ先に作るのは酒吞童子の金棒ではなく、鬼神の瓢箪とかいうローリスクハイリターンの装備だし。……でも酒吞童子の金棒って特大武器カテゴリーじゃなくて斧カテゴリーの武器だから、刹那無心流の流派技とも相性がいいんだよな……斧、試してみるかねぇ。

 

 でも鉈が一番なんだ。喰い裂き丸の使い心地が懐かしい……鉄華荒轟も悪くないどころか最&高の使い心地なんだが、如何せん対人性能が無いのがな……先代アラハバキ様からいただいた金属の箱……ブロック? を使っているせいなのだろうが……対人用の武器が今のところ妖蜂連花とフックバスター六式しかないのはいただけない。毒物もあるが、消耗品だけではなく、武器も欲しい所だ。

 

「そうですか。やはりと言うべきか原作とは違いますね」

 

「そらそうよ。俺というイレギュラーがいるし、お前や遥斗もいるんだし」

 

 お陰様で俺のナイーブな心も清らかだよ。マラソン大会も捗る捗る。茶菓子同好会のグループチャットで通話して機嫌がいいことに気付かれて、何かちょっとネチネチされたことも許容範囲。二人の結婚式も見れなかった俺は本当に嬉しいよ。

 

「それもそうだよなぁ……ところで巡、聞いてもいいか?」

 

「なんだ?」

 

テスカトリポカ様(みんなのトラウマ)の呪いはルールで禁止ッスよね」

 

討魔(ここ)じゃルール無用だろ」

 

「「やっぱり怖いっすね、戦いってのは……」」

 

「怖いなら逃げてもいいんだぞ? 第一の掟に従って戦いから身を引いても」

 

「「できませぬ……」」

 

「そか」

 

 掟は絶対だが、自分の為すべきことと自分が従う掟は自分で決めないといけないからね。お前らが逃げないと決めたんなら、俺は全力でお兄ちゃんを遂行するだけだぁ……

 

「……ん?」

 

「お?」

 

「あれ……暮奈先輩ですね?」

 

 俺達が堂々と校門を潜って寮に戻ろうとする中、画面端に追いやられて偽物の壁ドンを喰らっている師匠を除いた状態で、俺の知る中で最も強い居合使いである少女の薔薇苑暮奈さんがいた。真の壁ドンとは、インパクトによって壁に叩き付けられた状態のことを示す。可哀そうに……壁ドンをしている人はインパクトの仕方を知らないんだな……

 

「見ろ、遥斗、麗良。インパクトの出し方を知らない初心者がおられるぞ」

 

「えっ、インパクトの出し方を知らないのは相手を舐めていると言っても過言ではないのでは? 狩りに行くべきでは?」

 

「落ち着くんだ麗良。インパクトの出し方はチュートリアルで学ぶ。彼は今チュートリアルの真っ最中なんだぜ」

 

「戦士として成長するのを温かく見守れということですね。高みで待っていましょう」

 

 そんなくだらない話をしつつ、暮奈さんに絡んでいる輩を観察する。うーん、同じ三年生なのだろうが、鍛え方が足りん。その程度でどうして三年生になるまで生き残ってきたのか分からないくらいには、鍛え方が足りねぇ。戦闘職志望ではなく、後方支援志望かね? いやしかし、パリピイケメンボーイズとか、プロダンサー夫婦の戦士である舞鍋氏はしっかり鍛えていたはず……あ、舞鍋夫妻からはサインいただきました。家宝だ家宝。

 

「レベルは?」

 

「高いけど格下。ステータスを上げて満足してる感じの」

 

「うむ……ただの案山子なのん」

 

「怒らないでくださいね。ステータス上げただけで満足するとか馬鹿みたいじゃないですか」

 

 結構多いけどね、ステータス上げただけで満足してるやつ。ステータスによる技量ではなく、仮にステータスが封印された時にも染み付いている技量が、プロとアマチュアのラインなのだろう。そういうのをステータスに振り回される、とプロは表現するのかもしれない。

 

 まぁ、それはそれとして。暮奈さんが嫌がっているのが見えないのだろうか、あのインパクトチュートリアル中の御仁は。まぁ、分かるよ。チュートリアル中はそれ以外に意識を回すってことが難しいからな……インパクトチュートリアル中にジャスパされる可能性もあるからどこでインパクト挟むか……なんて考えられないよね。初心者が対空出ないのも分かる。マジで難しいのよね、試合中見るところ多くて。

 

「どうしようか」

 

「助けるでしょ」

 

「どう助けるかですね」

 

 周囲の反応を見る限り、まぁまぁ面倒くさいやつなのだろう、あの御仁は。見てくれは悪くないが……心がダメだ。菰成さんを見習え? …………あれ? よく見たらあれ高等部の制服じゃないな。確か大学の制服だったはず……え? なんで知ってるのかって? ローズ先輩とか翡翠先輩とかに見せてもらったからだよ。大学でも制服ってあるんだなぁって思いました。ということは、あの御仁はわざわざ高等部に来て、暮奈さんにインパクトチュートリアルをお願いしているってことになるわけだが……やっぱり格下では?? その御仁の近くでニヤついてる連中もきっと格下。悲しいなぁ……

 

「とりあえず、オレニツヅケ!!」

 

「ハイ!!」

 

「ワカリマシタ!!」

 

 喇叭が無いのが悔やまれるが、心の中で喇叭を吹き鳴らしながら向かっていく。いやぁ、懐かしいな……三野先輩との初エンカもそんな感じだったっけ。あれは翡翠先輩のインターセプトがあったせいで丸太みたいな回収をしたが。

 

「ようやっと見つけたぞ暮奈さん」

 

 そんな白々しいことを言いながら、ちょっと通りますよと言わんばかりに御仁と暮奈さんの間に三人で割り込んでいく。御仁が何か言ったような気がしたが、知らん。俺の目には遥斗と麗良と暮奈さんしか見えないんだが?

 

「え、あ、模歩君。それに、遥斗君と麗良さんも」

 

「遥斗と麗良が部活のメンバー紹介してくれるって言ってくれてたのに、誰もいないからびっくりしたぜ」

 

「部活……?」

 

「誉れある戦部」

 

「待って、いつ僕はそんな物騒な部活に入ったことに?」

 

「「去年」」

 

「去年!?」

 

 馬鹿め、遥斗と麗良に関わった時点で貴様はこちら側に連れていかれることが確定しておるのだ。そして貴様の視線から遥斗と麗良への好感度がわりかし高めなのは分かっておる。見れば解る、お前のコープ。友達以上親友未満恋人以下だな? その好感度練り上げられている……ルート解放が近い……ちなみに暮奈さんは遥斗と麗良の推しキャラよ。助けるしかない……なくない……?

 

「ま、本当は茶菓子同好会なんですけどね。和菓子好きかい?」

 

「まぁ、好きだけど……」

 

「それは良かった。正直者な君にはこの伝説のドンパッチソードレプリカを進呈しよう」

 

「羊羹だよね? というかドンパッチソードって何?」

 

 そうか、暮奈さんはローズ先輩や翡翠先輩達のようにサブカルチャーに触れたことが無いんだね……よしよし、遥斗と麗良と俺とでしっかり立派な格ゲーマーにしてやるからね……とりあえず待ちガイルから始めてみようか。居合が基本スタイルならハマると思うよ。

 

「というわけで先行ってていいぞー」

 

「あ? 何勝手に決めてんだてめぇ」

 

「あ、それと焚福茶釜様のお供えもついでにしといて」

 

「おい、俺のことを無視するとはいい度胸じゃねぇか、ああ?」

 

「? ………………あ、俺に話しかけてます?」

 

「他に誰がいるってんだ!?」

 

 うーむ、琥珀さんを揶揄う時とは打って変わって、ただひたすらにうるさくて鬱陶しいとしか思えないのはどうしてだろう? 品性ってやつ? 琥珀さんも菰成さんも、良家らしい品性ある人だからな。それと、あれかな? 教育に悪そうな輩だからってこともあるのかしら。

 

「暮奈はこれから俺達と用事があんだよ。いきなりしゃしゃり出てきたやつが勝手に────」

 

「その割には嫌がってましたけどねぇ」

 

「あ? てめぇの見間違いだろ。第一、俺が誰だか分かってんのか?」

 

「知らないですね。討魔決戦の前線にもいませんでしたし。生産職の方ですか? 霊薬いつもありがとうございます」

 

 神経を逆撫でする会話は心得ておりますよ。ええ、もちろん。苛立ちとはガバに繋がる最も危険なデバフ。挑発で顔真っ赤状態で判断力を失ってくれたら御の字。刹那無心流では挑発もれっきとした戦術となっております。

 

「本多家次期当主本多(ほんだ)堅悟(けんご)を知らねえとは、さてはあれか? 簡単なダンジョン攻略して俺スゲーって思ってる甘ちゃんか?」

 

「俺達はてめぇみたいなガキよりも高みにいんだよ。巨猛の大迷宮3階層を軽々突破できるくらいにはな!」

 

 なんか厭味ったらしくニヤついてるところ悪いんだけど、全然笑っちゃうんすよね。俺みたいなやつでも巨猛の大迷宮3階層まではソロ攻略できるし、巨猛の大迷宮から横に逸れて酒吞童子共と戦うくらいは東京校の実力者ならできる。多分ステータスが育っていない遥斗と麗良も立ち回りを気を付けるだけでソロれる。中盤ダンジョンとはいえ、何を誇るようなことが……?

 

「分かったか?」

 

「ああ、はい」

 

「はっ、物分かりがいいじゃねぇか。最初からそうしとけば────」

 

「普通に格下ですね。本当にありがとうございました」

 

「……………………あ゛?」

 

 わぁ、キレてるキレてる。キレるように仕向けたの俺だけどね? でもこの程度でキレるとかマジの格下じゃないですか。治水先輩ならどれくらいで倒せるかなぁ。10秒? いやそこまでかからないか? 5秒もあればノックアウトいけんべ。

 

「加護至上主義じゃないですけど、次期当主名乗るなら、本多家に加護与えてる鹿王蜻蛉(ろくおうとんぼ)がいねぇのはどうなんです?」

 

 本多家現当主がマジもんの化物ってのがあるんだろうけどね。師匠の知り合いの本多勝巳お爺様です。ちなみに討魔決戦に来てくれてました。終わった後の宴会で色んなこと話してくれました。師匠の見舞いにも来て、師匠のこと本気でぶん殴ってました。本調子ではないとはいえ、師匠を壁に叩き付けるとかなんだあのバケモン。現代の本多忠勝って異名は伊達じゃないって思いましたね、ええ。禍津日様の神域で戦える忠勝さんとほとんど同じなんだもん。ジェネリック忠勝。

 

「それと暮奈さんだけじゃなくうちの妹分にまで色目向けるとか節操無しっすね。とりあえず彫刻で解脱してどうぞ」

 

「喧嘩売ってんのか?」

 

「気付くの遅いっすね。判断が遅いってビンタした方がよかったです?」

 

 なんでこうも俺がイライラしてるんだろうって思ったが、友達と妹分に色目使ってたのでワンアウト、翡翠先輩がナンパしてきたって言ってたやつの特徴がこの人達とそっくりだってことでツーアウトってとこか。あと前世で遥斗と麗良イジメてた連中にそっくりってことでスリーアウト。イジメてたやつら? ちゃんと法の裁きを下してもらいました。……にしても俺ってこんなに喧嘩っ早かったっけ? ………………喧嘩っ早い人間だったわ。刹那無心流ってそういうところあるわ。

 

「いいぜ、お望み通りボコボコにしてやるよ!!」

 

 格ゲー初心者の本多がタブレットを操作して、何か送信してきた。……へぇ、こんな決闘系のシステムあったのか。最新バージョンで実装されたんだろうか? 琥珀さんがこのシステム使って決闘申請してきてたらちょっと面倒だったな。

 

 えーと何々……? これに応じると、簡易的な結界が張られて決闘が始まる? ……ほほう、便利なシステムもあったもんだなぁ。技術の進歩ってやつ? 討魔2からの要素で確かにこういう簡易結界展開システムの応用でどこでも決闘ってあったな……お、学園内での使用に限っては制限付き死に戻りもできるんだ? いいね、間違えて殺しちゃったってことになってもほとんどノーリスクじゃんか。ならば受けようじゃないの。

 

 決闘に応じる、という項目をタップした瞬間、本当に簡易的な結界が展開されて、俺と本多のみが結界内部に。他の人達は結界の外へ。部外者の介入はできないって感じね。まぁいいや。なんか口上を述べる感じでもなさそうなので、さっさと終わらせよう。アイサツは大事だが、アイサツ前のアンブッシュは一度までなら良いとされているので、この一撃を以って決別の儀と致します。

 

「刹那無心流拳術────赤熊撃(せきゆうげき)ッ!!」

 

「がぎゃっ!!?」

 

 油断している本多の開いた口に手を突っ込み、そのままアンコウの皮を剥ぐような勢いで一気に地面に叩き付ける。

 うーむ、叩き付けた瞬間に鳴っちゃいけない、何かが引きちぎられて砕ける音が聞えたが気にしたら負け。刹那無心流の技は基本的に絶対に人間に使ってはいけないであろう攻撃だが、戦士の決闘に禁じられた技は存在しないと思え。

 

「お、死んでない。タフだね。じゃ、アイサツをば。ドーモ。ホンダ=サン。モフメグルです」

 

「ぁ、ぁっへ────」

 

「アイサツを返さないとは、スゴイ・シツレイ!!」

 

 喉仏を狙ったかかと落としにより、本多絶命。死に戻りを確認したことで結界が消える。勝者は俺。何か聞えた気がしたが、気のせいだろう。……あれ? アイサツを返されている時に攻撃するのはダメなんだっけ? レギュレーション確認しなきゃ……

 

「そこの気絶して失禁してるやつ誰か処理しといて」

 

「ヒッ……」

 

「この程度でビビるとかマジで三下じゃんね。ほんとに巨猛の大迷宮攻略してんのかよ」

 

 あんな死に戻りの仕方なんて、巨猛の大迷宮じゃやらかした瞬間やってくるもんじゃんね。なんだ、見栄張っただけかー? うちの遥斗と麗良を見てみろ、もう今の攻撃に対してあれこれ講評を練ってるし、暮奈さんなんかどう攻略するかブツブツ呟きながら考えてんぞ。やっぱり暮奈さんには素養がある。誇ってどうぞ。




暮奈
遥斗と麗良の友達。ドンパッチソードレプリカを進呈された。格ゲーに触れて、色々試した結果、キンバリーに目覚めた。そのうち巡のザンギにキレる。遥斗のダルシムにもキレるし、麗良のキャミィにもキレる。まだまだ伸びしろ。

イドゥン
遥斗と麗良が楽しそうなので自分も楽しい

本多堅悟
生け贄。錬金室で罰当たりなことしてたグループの筆頭。大学で翡翠に手を出そうとして治水に手首を握り潰される一歩手前まで手首を掴まれ、ローズに死ぬほど痛い治療法で回復されて逃げたサンシタ。そして鬱憤晴らしに手を付けられなかった暮奈に手を出そうとして巡一行の妨害を受けてヨンシタと化した。まだ出番がある。そのうち破門される予定。
なお、その出番が来た時人間であるとは言ってない。可哀そうに…可哀そうにねぇ…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。