吟遊詩人の詩 作:ホメロス
けれど執筆をするモチベーションは底辺です。
書きますけど。
さて、このようにして生まれ、老いない体を得たワタクシは、母カリオペの下で育てられました。
母たち姉妹はムーサと呼ばれる芸術の神々でしたので当然ワタクシはその英才教育を受けました。
16の頃には歌や物語、天文に関していえばギリシャで一番になりましたね……天文については星座がよく変わるので常に勉強の日々でしたが。
そして概ねのことを学び終えたワタクシは、母たちから教えられた物語を自分で紡ぎたくなり……
「母上、ワタクシは外の世界を見て回りたいです」
外の世界を渇望するようになりました。
母たち姉妹を含め計16柱ムーサがいるとはいえ、全員技芸の女神たちです。
ワタクシの好奇心は技芸を学ぶことのみに抑えられないほどに強くなっていました。
しかし……
「許すわけがないでしょう?」
返ってきたのは笑顔による圧でした。
後にも先にも母上が一番怖かったのはこの時でしたね……
「し、しかし……」
「その体で一体どう生きるというの?」
「それは……」
そう、ワタクシの体は幼児体形!9歳から成長していないのです!
ただ外で暮らすだけならば、歌を歌い、楽器を鳴らし、詩を語れば何処かの街で生活できるでしょう。
しかしワタクシのしたいのは旅。
魔獣が居て、あちらこちらが異空間に繋がっている神代ギリシャはワタクシのような軟弱者が旅をできるほど甘くはありません。
「ではせめて!こことは違う地で別のことを学びたく存じます!」
旅が許されぬとしても、ワタクシは外を見てみたかったのです。
「そうね……それくらいなら……」
ワタクシは外に出る権利を勝ち取りました。
生まれてこのかたムーサたちと父上とゼウス様しか会ったことがなく、ずっと同じ場所で過ごしていたワタクシの転機です。
「ではアポロンに頼んでみましょう!」
そうして母上がアポロン様の下へ相談に行き、ワタクシはアポロン様とアルテミス様のところへ預けられることになりました。
今でこそ太陽神として有名で、カルデアでは羊になっているアポロン様ですが、芸術系の権能もお持ちなのでその御縁だったのでしょう……二柱のところへ行く当日、アルテミス様が迎えに来てくださいました。
「貴女がホメロスで合ってる?」
「はい、ワタクシがホメロスです、アルテミス様」
当時のアルテミス様は落ち着いた雰囲気を纏っていて、理知的な方でした。
え?信じられない?オリオン様と出逢い、恋をする前の話ですし、恋は人を変えますから。
「じゃあ私たちの住む場所に行きましょうか」
「はい!」
そうしてアルテミス様の戦車に乗せられ、ワタクシはギリシャの何処かにある山へと行きました。
そこでワタクシは親友と出会ったのですよ。
「おかえり、アルテミス」
「おかえりなさいませ」
「ただいまー。アポロン、ケイローン、この子が今日から預かるホメロスよ!」
「よろしくお願いいたします」
ワタクシの親友、ギリシャ神話において多くの英雄の育てた賢者、ケイローンとの付き合いはここから始まったのです。
本日19時に本作における地中海周辺地域の時系列を投稿しましたので詳しいことを知りたい方は合わせてご覧ください。
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