「景色がきれいだよ」 作:人に戻った少女
朝の淡い光が窓から差し込む。その光で、私は時間の流れを知った。
自室で眠ることを久々に試した感想は、そんなおかしな事だった。
5年前から何も変わっていない私の部屋には、少女趣味とも言うべき幼さがありありと残っている。好きな色で埋め尽くされた部屋は、今の私には似合わない気がする。
そんな中で思い浮かぶ考えが、朝日の眩しさとそれへの感動だ。これをおかしく思わずして、何をおかしく思えばいいのだろう?
きっと私は、昼も夜もただ光度の違いしか分からなかった。そこにあるものを見ない故に、そこにある美しさすら忘れてしまったのだ。
私は、過去に永遠を望んだ。母と私が永遠に続くことを。それはいつしか捻れ、贖罪のためにその永遠を注ぎ込もうとした。私から母以外の全てを弾き出す、終わりなき悪夢へと永遠は変化した。
その永遠に時など存在しなかった。妹たちはいつまでも幼い子供でしかなかったし、死は永久を切り裂く不幸でしかなかった。私は朝日の柔らかさを知らず、夜空に浮かぶ星々の煌めきもまた、見ることなく生きていた。
永遠は決して、美しさを残すものではなかった。
過ぎ去ったものを追い求めれば、見るものは残骸だけ。その残骸をどれだけ積み上げようと、それは紛い物でしかない。
私は、それを知るまでに、時間がかかりすぎた。
それでも私は拾い上げられた。
恥ずかしいことだ。だが、それと同じくらい、誇らしいことだ。
ようやく、色眼鏡無しに世界を見ることができるのだから。
妹たちとは、ぎこちないけど交流が生まれてきている。
アナベルは昔みたいに甘えん坊になっている。彼女が遠慮なく振る舞えるのは私だけだから。加減を考えなくて良いのはかなり楽なのだろう。アネモネと同じくらいくっ付いてくるんだから、相当寂しかったのだろう。私も、自身が寂しかったとようやく気付いた。
リリィはその様子を見ていたずらな笑いをしている。揶揄うように言葉を投げられるそれが、気恥ずかしいながらも心地良い。そういえば、彼女はいたずらが好きだった。それに引っかかった私やアナベルを見て、満足気に笑っていたんだった。その笑顔が、リリィによく合っていた。
アネモネは私を見かけると手を繋ぐようになった。強く、そして優しく、私の手を引くように。無邪気さでは隠しきれない心の強さで、私を外に連れ出して行く。全てを受け止めた笑顔で、世界の美しさを示す。この世界が好きだと、その生き様をもって主張する。そんな彼女の在り方が美しくて、私は惹きつけられるように彼女へと歩み出すのだ。
そうして、私は空っぽの時間を埋めるように、妹たちと共に過ごすようになった。
ようやく、私は永遠から抜け出せた。彼女たちが、私を引き上げたのだ。
私がずっと恐れた安寧。私がずっと逃げていた幸福。私がずっと目を背けた家族。
永遠の中にはないそれを、妹たちと分かち合えることがどれほど素晴らしいか。
私は、ついにそれを知ることができたのだ。
柔らかな光が差し込む窓から外を見る。
そこから見えるものは、小さな花畑。
初めて咲かせた花が、今も華やかに咲いている。
穏やかな風に揺れながら、母の墓を囲んでいる。
それは、母を守っているようでもあり母を祝福しているようでもある。
きっと、永遠から出られなければ、この景色はただの恥だったはずだ。私が母を助けららなかったという、恥。
今は違う。私は、死後の母にまで、花を贈る事ができたと思う。
母の決断を、祝福する事ができたのだと、受け止められる。
だから、今の私にとってこの景色は、綺麗で美しいものなのだ。
きっと、私はこれから多くの景色を見ることになる。
その中で、最も初めに魅入る景色が、この景色だ。
この綺麗さを失わぬために、この綺麗さを伝えられるように、私は日々を生きる。
だから、見ていて、お母さん。
いつか、景色がきれいだよって、言い出せるまで。
こういう話を誰か代わりに書いてくださいお願いします。
私は妄想する事が限界でそれを読める形にするのが苦手なので、誰か他の人に作って欲しいです……。
本編はこれで終了ですが、ちょっと物語として成立させる事を重視して書けていないものも大量にあります。拙いながらもifや過去編、番外編という形でまだ創作できたら良いなと思ってます。
誤字や脱字、散文乱文で読みにくかっただろう中、ここまでお読みくださりありがとうございます。この作品が誰かの暇つぶしや創作意欲に繋がってくれたなら幸いです。
なんでもできる子が倫理観と罪悪感と良心でぐちゃぐちゃになって救世主の道を選ぼうとしているのを、周囲の愛によって止められて人間の道を選ぶのは最高だぞ! 私の作品では安易な終わり方になってしまったけど、ここらの悩みと救いがもっと上手く書けているものが読めると私はとても嬉しい! だからみんな、書こう! 見たいものを書いてみよう! プロットも設定もなく場当たりで作っても大丈夫! この作品がそうだから!
みんなも創作、しよう! 妄想も立派な創作! 好きを詰め込んだ妄想を書こう!