ミリタリー✖️東方Project   作:ポーラン

127 / 145
【灰は灰に】

 

【回想:マクファーソン准将の告白】

深夜、野戦指揮所。

簡易ベッドに腰掛けるマクファーソン准将は、静かにウイスキーグラスを傾けていた。

 

部下のアレン少佐が沈黙の中で問いかける。

 

「准将、FOGLフォグ部隊の作戦、あれは……本当に敵を誘き出すためだけのものだったんですか?」

 

マクファーソンは、かつての記憶に目を細めた。

 

「コルバー大佐──あの時、私の副官だった。

 冷静で、忠実で、何よりも“仲間思い”だった。

 だが……一度、組織に裏切られた者は、“義”を信じられなくなる」

 

「彼は裏切ったんですね……」

 

「いや、“裏切らされた”んだ。

 そして、今回のFOGLの任務は──その亡霊のような男と、奴が繋がった“本当の裏切り者”を、暴き出すことだった」

 

【FOGL部隊の作戦:影の包囲網】

その“影”は動いていた。

 

レーダーサイト【ゴッドアイ】。幻想郷周辺の空域を監視するNATOと自衛隊共同のレーダー施設。

そこに、ある「誤情報」が意図的に流された。

 

「ゴッドアイに、高度機密通信端末を設置した要員が存在する」

「ロシア連邦軍の一部、自由ロシア軍と連携している可能性あり」

この情報を受け取った者がいた。

その名は──コルバフ大尉。元ロシア空挺軍出身、現在は亡命者を装い自由ロシア軍に潜伏していたが、

裏ではロシア正規軍・対外情報庁SVRの二重スパイとして動いていた。

 

霊夢の手に渡ったデータ端末は、**FOGL部隊が彼を誘導するために作成した“疑似リークデータ”**だった。

 

そして――彼は動いた。

 

【ゴッドアイ レーダーサイト】

「対象が接近中!」

「衛星監視、カメラ13番に切り替え!」

 

暗視スコープ越しに映る一人の男。

腕に刺青。ベレー帽。スラブ系の軍服を改造した装備。

 

「コルバフ大尉……お前が裏切り者か」

 

FOGL隊員は無言でレーザーポインターを照射。

次の瞬間、周囲にステルス展開していたNATO憲兵と自衛隊特殊警備隊が一斉に突入した。

 

「手を挙げろ!ロシア対外情報庁の関与が確認されている!」

 

「くっここまでか……!!」

 

拘束されたコルバフはなおも暴れたが、すでに脱出ルートも支援者も、用意されていなかった。

 

「これが、お前の選んだ“二重の裏切り”の末路だ」

MPに拘束され

FOGL部隊の隊長が、無線に向かって呟いた。

 

【公安調査庁・情報保全隊の報告】

東京都内・政府合同庁舎、極秘会議室。

 

公安調査庁の特別担当官が、スクリーンに資料を映し出した。

 

「今回のコルバフ大尉の背後には、ベラルーシ財閥【ペトロヴィッチ・グループ】と親ロ派議員団の金の流れが確認されています。

 資金は、中東経由で武器商人──イラン・コルドファー支部に流れていた可能性があります」

 

自衛隊情報保全隊・幹部が続ける。

 

「また、幻想郷内部で不審な活動を行っていた“観光客風の男”が、北朝鮮・偵察総局の関係者と確認されました。

 連中は“革マル派の日本人活動家”とも接触していた記録がある」

 

「つまり……幻想郷は、“誰にでも利用され得る地政学的空白地帯”と見られている」

 

誰かが呟いたその言葉に、室内は重苦しい沈黙に包まれた。

 

【博麗神社】

「つまり……この端末を私に持たせたのは、“彼”を誘き出すためだったのね」

 

霊夢は、夜の神社で一人呟いた。

 

「でも……それにしてもおかしい。“彼”が私たちに近づいてきた時、迷いがあった。

 本当に“敵”として来たのか、それとも――」

 

「――それは私たちも、まだ判断がつかない」

 

声がした。FOG隊の影が再び鳥居に現れる。

 

「霊夢。幻想郷が誰の手に落ちるのか、それを決めるのは君たちだ。

 だが、我々は“秩序”の側に立っているつもりだ。少なくとも今は、な」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。