悪魔と呼ばれ慣れて 2nd   作:ボルメテウスさん

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HEROES:RISING Ⅴ

デルタの意識は暗闇の中にあった。

あの時、最期の咆哮の後、自分が何が起きたのか。

まるで分からなかった。

それでも、自分が今、いる暗闇がどこなのか、なんとなく理解した。

 

「・・・あぁあの時の」

 

それは過去の記憶。

デルタにとっては、もう記憶の遙か彼方。

忘れてしまっても可笑しくなかった、獣人の村での想い出。

その時、デルタがまだサラだった時の彼女は迫害されていた。

自分の母を生かす為に、狩りをして、全てを母に渡していた。

けれど、母は元気にならなかった。

 

『弱かったから』

 

それでも、母が好きだったデルタは彼女の為に頑張った。

けれど、死んでしまった。

それはなぜか。

 

『弱かったから』

 

そして、自分を虐めていた兄に対して、デルタは殺した。

これまで自分を気に入らず、虐めていた兄達を。

なぜ、兄達は死んだのか。

 

『弱かったから』

 

やがて、その力で、群れの中でも強くなっていった。

強くなっていった。

けれど。

 

『弱かったから』

 

身体を蝕む苦しさが襲った。

けれど、誰も助けなかった。

むしろ、自分を排除しようとした。

理由なんて、明らかだった。

 

『弱かったから』

 

だから、強い自分を排除しようとした。

 

「あぁ、本当に、簡単ですね」

 

何度も繰り返し、『弱かったから』という言葉が頭の中で繰り返される。

子供でも分かる理屈に、今のデルタには何度も繰り返される。

 

『そうです、だから、弱い奴は悪い。だから、殺す』

 

デルタの中で、その声は大きくなる。

同時に、その髪は徐々に白くなっていく。

瞳は赤く、燃え上がるように。

 

「『あぁ、そうです。なんで弱い奴を守る必要があるですか。強い奴が正しいから』」

 

幻聴が重なる。

それと共に、デルタは。

 

「知っているか」

「えっ」

 

そんな迷いの中で、デルタの中で聞こえた声。

その声が誰か、朦朧としていた。

 

「これまで、多くの人と会ったけどな、俺が一番に凄いと思えた人が1人いる」

「凄い?強いじゃなくて?」

 

デルタは、思わず見つめる。

もう、霧にかかっており、見えないはずだった。

けれど、デルタは、それに眼を向ける。

 

「あぁ、強いけれど、弱い」

「強いのに、弱い?全然分からないです」

「確かに肉体の強さは誰よりも弱かった。けれどな、その心は誰よりも強かった。だからこそ、彼はとんでもない事を成し遂げたんだ」

「何を?」

「時間の崩壊を企む奴らから時間を守ったんだ」

 

それを聞いたデルタは徐々にそちらの方に引き寄せられる。

 

『弱いままで良いのか』『弱かったら、何も出来ない』『強いのが正義だ!』

 

先程まで、静かな呟きはどこかに。

デルタを再び白く染めようとした声が聞こえる。

けれど。

 

「弱かったり、運が悪かったり、何も知らないとしても、それは何もやらない事の言い訳にはならない」

「あっ」

 

彼の、その言葉を聞くとデルタは眼を見開く。

同時に、あの時、母を救おうとした。

弱かったけれど、それでも大好きな母と一緒にいたかった。

兄に虐められた時も弱かったけれど、それでも母を馬鹿にした奴らを許せなかった。

群れに殺されそうになっても、運が悪かったとしても、生きたかった。

 

「ボス」

「だから、デルタ、頼んだぞ」

 

そう、自分を撫でてくれたボスの、ツカサの言葉が。

 

 

「守ってくれ、お前なら出来る」

「っ!」

 

デルタの意識を取り戻させた。

 

「ここは?さっきまで、デルタは」

「あぁ、起きたですねぇ、デルタさん」

「げっ」

 

起き上がった時に、目の前にいたのは、デルタのストーカーといえるトガだった。

 

「なっなんでここに」

「デルタさんの事は常に確認していましたからねぇ、なんとかこの島まで来れました」

「うぅ」

 

それを知ると、少し嫌な気分になった。

 

「それにしても、ここは?」

「さぁ、壊れた建物の一部を借りました。デルタさんを助けた時には街、かなり壊れていましたから」

「・・・デルタが壊したから」

 

そう言った。

 

「けれど、おかげでどうやらヒーロー達が島民を連れて、逃げられたようですよ」

「・・・それは、良かったです」

 

そうして見ると、デルタはある程度、包帯が巻かれて治療されていた。

 

「これはお前が?」

「えぇ、だって大好きな人がボロボロになるのは好きですけど、死んで欲しくないので」

「・・・そうですか、そのっ、ありがとうなのです」

 

それを聞くと、トガは満面な笑みを浮かべる。

 

「それは良かったです」

「・・・それじゃ、デルタはそろそろ、奴らをぶっ潰しに行くです」

「行くって、その身体で?無茶だと思いますが?」

 

トガの一言を聞きながらも、デルタは。

 

「怪我してようと、無茶だろうと、それがヒーローとして戦わない理由にはならないです!」

3rd舞台となる世界は?

  • 魔法少女リリカルなのは
  • 魔法少女まどか☆マギカ
  • アカメが斬る!
  • ブルーアーカイブ
  • 戦隊レッド異世界で冒険者になる
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