デルタの意識は暗闇の中にあった。
あの時、最期の咆哮の後、自分が何が起きたのか。
まるで分からなかった。
それでも、自分が今、いる暗闇がどこなのか、なんとなく理解した。
「・・・あぁあの時の」
それは過去の記憶。
デルタにとっては、もう記憶の遙か彼方。
忘れてしまっても可笑しくなかった、獣人の村での想い出。
その時、デルタがまだサラだった時の彼女は迫害されていた。
自分の母を生かす為に、狩りをして、全てを母に渡していた。
けれど、母は元気にならなかった。
『弱かったから』
それでも、母が好きだったデルタは彼女の為に頑張った。
けれど、死んでしまった。
それはなぜか。
『弱かったから』
そして、自分を虐めていた兄に対して、デルタは殺した。
これまで自分を気に入らず、虐めていた兄達を。
なぜ、兄達は死んだのか。
『弱かったから』
やがて、その力で、群れの中でも強くなっていった。
強くなっていった。
けれど。
『弱かったから』
身体を蝕む苦しさが襲った。
けれど、誰も助けなかった。
むしろ、自分を排除しようとした。
理由なんて、明らかだった。
『弱かったから』
だから、強い自分を排除しようとした。
「あぁ、本当に、簡単ですね」
何度も繰り返し、『弱かったから』という言葉が頭の中で繰り返される。
子供でも分かる理屈に、今のデルタには何度も繰り返される。
『そうです、だから、弱い奴は悪い。だから、殺す』
デルタの中で、その声は大きくなる。
同時に、その髪は徐々に白くなっていく。
瞳は赤く、燃え上がるように。
「『あぁ、そうです。なんで弱い奴を守る必要があるですか。強い奴が正しいから』」
幻聴が重なる。
それと共に、デルタは。
「知っているか」
「えっ」
そんな迷いの中で、デルタの中で聞こえた声。
その声が誰か、朦朧としていた。
「これまで、多くの人と会ったけどな、俺が一番に凄いと思えた人が1人いる」
「凄い?強いじゃなくて?」
デルタは、思わず見つめる。
もう、霧にかかっており、見えないはずだった。
けれど、デルタは、それに眼を向ける。
「あぁ、強いけれど、弱い」
「強いのに、弱い?全然分からないです」
「確かに肉体の強さは誰よりも弱かった。けれどな、その心は誰よりも強かった。だからこそ、彼はとんでもない事を成し遂げたんだ」
「何を?」
「時間の崩壊を企む奴らから時間を守ったんだ」
それを聞いたデルタは徐々にそちらの方に引き寄せられる。
『弱いままで良いのか』『弱かったら、何も出来ない』『強いのが正義だ!』
先程まで、静かな呟きはどこかに。
デルタを再び白く染めようとした声が聞こえる。
けれど。
「弱かったり、運が悪かったり、何も知らないとしても、それは何もやらない事の言い訳にはならない」
「あっ」
彼の、その言葉を聞くとデルタは眼を見開く。
同時に、あの時、母を救おうとした。
弱かったけれど、それでも大好きな母と一緒にいたかった。
兄に虐められた時も弱かったけれど、それでも母を馬鹿にした奴らを許せなかった。
群れに殺されそうになっても、運が悪かったとしても、生きたかった。
「ボス」
「だから、デルタ、頼んだぞ」
そう、自分を撫でてくれたボスの、ツカサの言葉が。
「守ってくれ、お前なら出来る」
「っ!」
デルタの意識を取り戻させた。
「ここは?さっきまで、デルタは」
「あぁ、起きたですねぇ、デルタさん」
「げっ」
起き上がった時に、目の前にいたのは、デルタのストーカーといえるトガだった。
「なっなんでここに」
「デルタさんの事は常に確認していましたからねぇ、なんとかこの島まで来れました」
「うぅ」
それを知ると、少し嫌な気分になった。
「それにしても、ここは?」
「さぁ、壊れた建物の一部を借りました。デルタさんを助けた時には街、かなり壊れていましたから」
「・・・デルタが壊したから」
そう言った。
「けれど、おかげでどうやらヒーロー達が島民を連れて、逃げられたようですよ」
「・・・それは、良かったです」
そうして見ると、デルタはある程度、包帯が巻かれて治療されていた。
「これはお前が?」
「えぇ、だって大好きな人がボロボロになるのは好きですけど、死んで欲しくないので」
「・・・そうですか、そのっ、ありがとうなのです」
それを聞くと、トガは満面な笑みを浮かべる。
「それは良かったです」
「・・・それじゃ、デルタはそろそろ、奴らをぶっ潰しに行くです」
「行くって、その身体で?無茶だと思いますが?」
トガの一言を聞きながらも、デルタは。
「怪我してようと、無茶だろうと、それがヒーローとして戦わない理由にはならないです!」
3rd舞台となる世界は?
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