雨上がりの裏路地は鉄錆と泥水の混じった匂いが立ち込めていた。路地の奥で立ち止まったデルタが妙に緊張している。
「誰だ?」
声をかけると、影から大きな男がぬっと現れた、見覚えのある顔だ。
「……乱波?」
デルタが低い声で呟く。懐かしげだが警戒心を隠さない。
「よう、デルタ。久しぶりだな」
乱波肩動――それは、デルタにとっては喧嘩仲間だった。
「それで、あの情報をなんで流したんですか?」
そう、死穢八斎會での情報を渡したのは他でもない。
「あぁ、あそこで結構不都合な事が起きたんでねぇ。俺的には潰すつもりなんだよ」
「潰す?自分が所属している組織なのに?」
疑問に対して、乱波にデルタは尋ねる。
「俺は戦うのが一番好きなだけであってよぉ。ただまぁ」
「納得がいかないって奴です?けど」
「あぁ、あぁ、あいつはあぁいうのは気に入らないんだよ」
そうして乱波はその手に握り潰したのは。
「怪人スタンプ」
「こんなのを頼るような弱さを求めてなんかないんだよ」
その目が映していたのは明らかに怒りだった。だが。
「そう簡単にそんな事できるわけがないでしょ」
デルタの反論は正しい。今の死穢八斎會は以前より狡猾だ。
「だからお前達に声をかけたんだよ」
乱波は不敵に笑う。戦闘狂が獲物を見つけた顔だ。
「ふぅん、けど、それは群れを裏切るって事ですよね」
「俺は別に仲間になったつもりはない。ただ、喧嘩が出来るから仲間がいると思っただけだ」
乱波の瞳は真っ直ぐデルタを見据えていた。かつて無数の敵を屠ってきた拳闘家らしい眼光。
「今のお前はどうだ? 相変わらず暴れ足りねぇのか」
挑発にも似た問いに、デルタは鼻を鳴らす。
「それが嫌だから自分はここにいるんですよぉ。ところで」
デルタがちらりと俺に視線を送る。
「そいつが今のボスですか」
乱波の目が細くなった。品定めするような視線。
「……ふぅん。こいつが、ねぇ」
低い声に含まれた殺気が肌を刺す。俺は内心で苦笑した。やはりこの男、油断ならない。
「ツカサだ。デルタを拾った者として挨拶しておく」
名乗ると同時に右手を差し出す。握手を求めるジェスチャーだ。
「なるほどな。こいつが従う男か、良いねぇ!殺し合いしようじゃないか!」
乱波の拳が僅かに震える。だが――デルタの手が遮った。
「ダメですぅ。ボスと戦うんだったらデルタを倒してからです!」
鋭い声が制止する。その顔には珍しく真剣な表情が浮かんでいた。
「ほう?」
乱波の目に好奇の色が灯る。拳の動きが止まった。
「確かに今は忙しい時期だ。だが……」
俺はあえて淡々と言葉を選んだ。この男の本能的な反応を利用する。
「いずれ殺し合うこともある。お互いのためにも」
乱波の唇が歪んだ笑みを作る。まるで獲物を見つけた獣のように。
「…色々ととんでもないな」
3rd舞台となる世界は?
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