深夜の冷たい空気が肌を刺す。高層ビルの屋上で、俺はオーロラカーテンの歪みを調整しながら深く息を吸い込んだ。
眼下には死穢八斎會の拠点が、まるで巨大な蟻塚のように鎮座している。表向きは寂れた倉庫街だが、その地下深くでは忌まわしい実験が日夜行われている──壊理という少女の悲劇を糧にして。
「……もうすぐだ」
声に出して確認することで、高ぶる神経を抑え込む。脳裏に焼き付いたあの銃弾の断面──新鮮な血肉、歪められた個性因子の痕跡がフラッシュバックする。腸が煮えくり返るような怒りが込み上げてくる。奴らがやっていることは、ヒーローが断じて許してはならない蛮行だ。
『ボス、準備完了しました』
イヤホンから聞こえるゼータの冷静な声。
「了解。こちらもいつでも行ける」
短く答えながらも、思考はフル稼働していた。
奴らの防衛システムはおそらく万全だろう。仁が作り出した複製体の報告によれば、地下にはトラップが多重に張り巡らされ、主要メンバーは常に分散して行動しているという。そして何より──壊理のいる最深部には、治崎本人が守護者として控えている。あの個性『オーバーホール』が相手では、普通の手段では突破困難だ。
(ならばこっちも特別な手段を使うしかない)
そうして、俺達が構えている。
だが、今回の一件、特に気を付けなければいけないのは、情報で聞いた程度だが、緑谷君とミリオ君の二人。
彼らは、今回の一件の少女壊理ちゃんを保護できていた。
けれど、目の前にいた治崎に渡してしまった。
状況が分からない状態で引きはがすのは困難だ。
それでも、助けられたのに助けられなかった。
それが彼らの心に大きな傷を負った。
その気持ちは、俺もよく知っている。
だからこそ。
「彼らを守るのも、大人の役割だよな」
そんな呟きを口にしていると、ゼータからの連絡が入る。
「作戦開始まで残り5分です。準備は宜しいでしょうか」
「あぁ、問題無い」
そうして俺は仮面の下で目を閉じた。
脳内に広がる無数の可能性──キバの怪力で壁を破壊するルート、ダブルの推理力を活かして罠を回避するルート、オーズの多彩なフォームで多方向から攻めるルート──全てを考慮して最適解を導き出す。だが結局最後に頼るのは己の決断と腕だけだ。
(焦るな。冷静になれ)
手袋の中で指先がかすかに震える。恐怖ではない。興奮だ。
長きに渡る準備期間。数多の犠牲。そして積もり積もった怒り。その全てを解放する瞬間が訪れる。
それらは、その場にいた全員も同じだった。
「それでは、突入!」
3rd舞台となる世界は?
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