「……終わったか」
変身を解いた俺は軽く首を鳴らし、硝煙立ち込める跡を見渡す。
ファントムビルドが吹き飛んだ地点では未だ小規模な爆発が続いていた。
そして、気絶したオーバーホールを、掴んで、オーロラカーテンで向かったのは警察署。
そのまま刑事と話をしていると、今回の事件に関与した人物である死穢八斎會の主要メンツも連れてきていたのであった。
「ディケイドさん!無事だったんですか!」
「・・・まぁ、なんとか、結構無茶したけど」
そうしながらも、俺はオーバーホールを完全に拘束する。
メタルビルドでなくても、その個性は脅威なのは変わらない。
だからこそ、その拘束はかなり厳重にされていた。
そうして、オーバーホールは、そのまま護送車に押し込められ、護送車はそのまま警察署ではなく留置所の方へと連れて行った。
血と瓦礫が混ざり合った異様な臭いが鼻をつく。死穢八斎會のアジト跡地には、警官と救助隊の怒号が飛び交っていた。
「被害状況確認……」
俺は、変身解除後の軽い眩暈を感じながらも、周囲を見渡す。
「重症者多数……か」
救急隊員が担架で運んでいく負傷者たち。民間人だけでなく、参戦したヒーローたちの姿も多い。スーツの損傷具合を見れば、どれだけ苛烈な戦いだったかがわかる。
「ツカサさん!」
声の方を見ると、駆け寄ってくる緑谷くんがいた。顔には擦り傷があるものの、大きな怪我はないようで少しだけ安心する。
「壊理ちゃんは?」
「無事です。ルミリオンがずっと傍にいてくれて……」
緑谷くんが指差す方向には、保護された小さな女の子を優しく抱きしめるミリオさんが見えた。良かった……本当に。
しかし安堵も束の間、緑谷くんの表情が曇る。
「サー・ナイトアイが……」
「……どこだ?」
急ぎ足で案内された簡易医療テントでは、真っ白な布が一面に敷かれていた。その中央に、全身に包帯を巻かれたサー・ナイトアイが横たわっている。
「どうなってる?」
付き添っていた救急隊員が険しい顔で答える。
「腹部刺創および肋骨骨折。大量出血です。一刻も早く専門治療が必要ですが……」
つまり、命の危機にあるということだ。
サー・ナイトアイの呼吸は浅く荒い。青白い顔からは生気が感じられない。未来視の個性で多くの者を導いてきたであろう瞳は、虚ろに天井を見つめていた。
「……っ」
胸の奥が痛む。ヒーローというのはいつだって命を賭けている。だけど今日の戦いは、明らかに消耗戦だった。
周囲では他の救助隊員たちが慌ただしく出入りしている。
「・・・」
その最中、俺は気づかなかった。
イータが何かを考えているのか。
3rd舞台となる世界は?
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