悪魔と呼ばれ慣れて 2nd   作:ボルメテウスさん

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師匠と弟子(ツカサ)

緑谷君がオールマイトの弟子になってから数ヶ月が経過した。

 

俺は相変わらず、変わらないヒーロー活動を行っていた。街を巡りながら、異変があれば対処する。それはいつものことだった。

 

「今日も平和だな」

 

そんな事を考えていると、突然、周囲の空気が変わった。

 

「なんだ?」

 

俺はすぐに周りを見渡す。

 

「おい!あそこだ!」

 

誰かの叫び声が聞こえてきた。

 

俺は声の方角を見る。そこには蜻蛉のような姿をしたヴィランがいた。

 

「あいつは蜻蛉を操るヴィランだ。周りを混乱させている!」

 

プロヒーローの一人がそう叫んだ。

 

確かに周囲には混乱が広がっていた。蜻蛉の群れが飛び回り、人々を襲っている。

 

「まずは被害を最小限に抑える必要があるな」

 

俺はそう判断すると、すぐに行動を起こす。まずは周囲の安全を確保するため、ヴィランの位置を探る事にした。

 

そして、周囲を観察しているうちに、ある事に気づいた。

 

「あれは……」

 

俺が見た方向には、大きな氷の塊があった。

 

「まさか」

 

俺はすぐにオーロラカーテンを使い、その場所へと向かう。

 

そこには巨大な氷が形成されていた。

 

氷を自在に操る少年。その姿は明らかにプロヒーローではない。

 

学校の制服を着ており、年齢的には中学三年生ほどだろう。

 

そして、彼は蜻蛉型のヴィランと対峙している。

 

「危険すぎる……」

 

俺は小声で呟いた。

 

ヴィランの様子を見れば明らかだった。通常の蜻蛉とは似ても似つかない姿形。全身が異様に硬質化し、羽は刃物のように尖っている。そして何より——

 

「やはり怪人スタンプか」

 

俺の仮説は的中した。蜻蛉型ヴィランの体から微かに漏れる異質なエネルギー波動。それは間違いなく怪人スタンプのものだ。

 

「お前のような強い個性持ちは良いよなぁ!」

 

「ぐっ」

 

少年は、すぐに氷の壁を張って攻撃を防いでいた。

 

「あんたのような弱い個性持ちなんて社会のゴミだ! 強い個性を持つ奴が全てを得ていく世界にしたくて仕方ないんだよ!」

 

その言葉に込められた憎悪に、俺は胸が痛む。

 

「ザコ個性」という言葉の重み。

 

ヒーローを目指す者は多くがこの問題に直面する。強い個性を持つ者への羨望と、自身の能力への不満。

 

その感情が捻じ曲がれば——ヴィランへと堕ちる。

 

「お前みたいな氷使いなんか、すぐに溶かしてやる!」

 

蜻蛉ヴィランは尻尾を振り回し、鋭い毒針を少年に向けた。

 

「危ない!」

 

俺は咄嗟にオーロラカーテンを展開し、少年をその中に引き込んだ。

 

「えっ?」

 

突然の出来事に少年は目を丸くする。

 

「ディケイド? なんでここに……」

 

「ヒーローだからな。まぁ、ここからは、ヒーローらしくない行動をするけどな」

 

そうして、俺は立ち上がる。

 

「よくやった、あとは、俺に任せろ」

 

そうして、俺は見つめる。

 

「俺が相手をしてやる」

 

蜻蛉ヴィランは俺を見据え、警戒する様子を見せた。

 

「なんだよお前……ヒーローか?」

 

「ヒーローとは言えないな。ただの通りすがりさ」

 

俺は軽く肩をすくめてみせた。

 

「ふざけやがって!お前みたいな強い個性持ちは簡単に他人を見下せるんだろうな!」

 

蜻蛉ヴィランの怒りが爆発した。その言葉には聞き覚えがあった。かつての自分自身と重なる部分もある。

 

「強い個性を持つ者が全てを得る?それは違う。どんな力も使い方次第だ」

 

俺は冷静に告げた。

 

「黙れ!お前に何がわかる!お前みたいに恵まれた奴に!」

 

「分かるさ。俺もまた、お前と同じ悩みを抱えてきた。いや、お前以上にな」

 

その言葉に蜻蛉ヴィランは一瞬戸惑いを見せた。

 

「俺が今まで見てきた中で、強い個性を持ちながら何も成し遂げられなかった人間を何人も知っている。逆に、小さな力から始めて大きな影響を与えた人間もたくさん見てきた」

 

俺は一歩前に出る。

 

「オールマイトを知っているか?彼の個性は圧倒的だが、最初は誰も注目しなかった。だが彼は諦めなかった。努力し続けた結果、現代最強のヒーローになった」

 

蜻蛉ヴィランは黙って聞いている。

 

「弱い個性を言い訳にして何ができる?何もできないまま終わるのか?それとも、自分の持っているもので最高の結果を出そうと努力するのか?選択するのはお前自身だ」

 

「うるさい!お前みたいな偽善者に説教される筋合いはない!」

 

蜻蛉ヴィランは猛り狂って突進してきた。俺は冷静に構える。

 

「自分の力不足を認めたくないなら、それでもいい。だがな」

 

俺は目を見据えて言った。

 

「世の中に文句を言う前に、まず自分ができることをすべてやってみろ。それでも駄目なら……その時にまた考えればいい」

 

蜻蛉ヴィランの動きが一瞬止まった。だが次の瞬間、怒りで再び突進してくる。

 

「お前は、何様のつもりだ!!」

 

その問いかけに、俺は待っていた答えを告げた。

 

「通りすがりの仮面ライダーだ!変身!」

 

『KAMEN RIDE DECADE!』

 

変身したディケイドの姿を見た蜻蛉ヴィランの表情がさらに歪む。

 

蜻蛉ヴィランは高速で羽ばたき、一気に距離を詰めてきた。両前肢の鋏が空気を切り裂く音が響く。

 

「その鋏は強力だな。だが……」

 

ディケイドは冷静にライドブッカーをソードモードに変形させ、その攻撃を受け流す。

 

鋏が刀身に触れた瞬間、金属同士がぶつかる鋭い音が鳴り響いた。

 

「この程度では斬れない」

 

蜻蛉ヴィランは激怒し、さらに攻撃の速度を上げてくる。右から左、上から下へと次々に鋏を振るう。

 

「なぜだ!なぜ当たらない!?」

 

その問いに、ディケイドは静かに答えた。

 

「お前の動きは単調だ。蜻蛉の特性を活かせていない」

 

確かに蜻蛉ヴィランの動きは速い。だが、その速さに依存しすぎて、攻撃パターンが単純化していた。ディケイドはその隙を冷静に見極めていた。

 

「動きは速いが、呼吸のリズムが読める。それに……」

 

蜻蛉ヴィランの動きが一瞬止まった瞬間、ディケイドの刀が閃いた。

 

「怒りに任せすぎている。本来のお前ならもっと冷静に戦えたはずだ」

 

蜻蛉ヴィランの左腕の鋏が宙を舞った。

 

「ぐぁぁぁぁ!」

 

痛みに悶えながらも、蜻蛉ヴィランは再び立ち上がる。今度は尻尾の毒針を構え、不規則な軌道で突進してきた。

 

「面白い」

 

ディケイドはその動きを完璧に読み切っていた。毒針の軌道を見切って紙一重で避けながら、逆に蜻蛉ヴィランの急所を狙って攻撃を加えていく。

 

「お前は強い個性を持っている。だがそれを使いこなせていない」

 

蜻蛉ヴィランの動きが再び鈍くなる。傷ついた体と揺らいだ心が、その力を十分に発揮させていなかった。

 

「今のお前は、ただ暴れているだけの獣だ」

 

「うるさぁぁぁい!!」

 

蜻蛉ヴィランは、そのまま周囲に蜻蛉を次々と集結させる。

 

その数は、膨大であり、すぐに片付ける事は出来ない。

 

「・・・少年、少しだけ耐えろよ」

 

「えっ」

 

「何をする気だ?」

 

少年の問いかけを無視し、俺は新たなカードを取り出した。

 

『KAMEN RIDE OOO !プトティラコンボ プットッティラ~ノザウル~ス♪』

 

カードを装填すると同時に、俺は瞬時にプトティラコンボへと変身を完了する。

 

本来ならば、この姿にはリスクがあるが、早々に終わらせるしかない。

 

「これは、冷気?」

 

少年は、周囲の気温が急激に低下したことに気づく。

 

両肩から伸びる翼が羽ばたく度に、周囲には凍てつく風が吹き荒れる。その冷気は蜻蛉の群れを次々と凍りつかせていく。

 

蜻蛉ヴィランは一瞬驚いた表情を見せるも、すぐに怒号をあげる。

 

「なっ、何だこの力は!?」

 

「説明する暇はないな。これがお前を打ち砕く力だ!」

 

俺そのまま、蜻蛉ヴィランに向かって突進する。

 

『FINAL ATTACK RIDE O O O OOO!』

 

カードを装填した瞬間、トリケラアームから伸びた角で蜻蛉ヴィランを突き刺した。

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

 

蜻蛉ヴィランは防御しようとするが、一瞬にしてヴィランの身体は氷に覆われる。

 

同時に投げ上げたあとにティラノレッグで回旋蹴りを叩き込む技。内部から何かが分離するのを感じる。

 

怪人スタンプがヴィランの身体から飛び出し、地面に落ちた瞬間、ヴィランは意識を失い倒れた。スタンプは粉々に砕け散り、その効果を失う。

 

「終わったか、とりあえず、事後処理を、あぁ、少年、さっきのは「なぁ」んっ」

 

すると、少年は、俺の方を見る。

 

「あんた、こんなに強かったのか、氷も使えて」

 

「・・・まぁ、氷も使えるけど、一体どうしたんだ」

 

俺はそう問いかける。

 

すると、少年は。

 

「俺を弟子にしてくれ」

 

「はぁ?」

 

「・・・ちょっと待て、何で俺に弟子入りしたいんだ?」

 

俺は困惑した表情を隠せなかった。

 

「理由?簡単だ。あんたの力だよ」

 

少年は真っ直ぐに俺を見つめる。

 

「さっきの力を見て確信した。俺よりも強い氷の使い方。俺には必要な力だ」

 

「・・・その為に俺に弟子入りするのか?」

 

「ああ」

 

少年の目には迷いがない。

 

「悪いが、俺は弟子を取る気はない」

 

俺は即答した。正直なところ、弟子を取る余裕なんてない。それに彼の目にはどこか危うさがあった。

 

「頼む!どうしても強くなりたいんだ!」

 

少年は頭を下げた。

 

「なんでそこまで強くなりたいんだ?」

 

「・・・越えたい奴がいる」

 

少年の声が低くなる。

 

「誰かを越える為に力を求めるか」

 

「・・・ああ」

 

「その為に他者を利用するか。お前はヒーローを目指しているのか?」

 

「・・・あぁ、俺はそれでも越えなきゃいけないんだっ、母さんの為にもっあいつを否定する為に!」

 

少年の言葉に込められた憎悪と決意。

 

「お前が越えたいのはヒーローなのか?それともその越えたい奴という存在か?」

 

「両方だ」

 

少年の目には揺るぎない信念があった。

 

その瞳の奥に宿る闇を見逃すわけにはいかない。

 

(このまま放っておけば、いずれ彼は道を踏み外すだろう)

 

俺の脳裏に過ぎるのは、かつて同じような目をした者たちの末路だ。

 

「名前は」

 

「轟焦凍」

 

俺は溜息をつく。

 

「良いだろう、ただし、俺はこれまで弟子なんて取った事がない。強くなるのか、ならないのかはお前次第だ」

 

「ああ、それでいい」

 

本当に、こっちに来てから厄介な事になりそうだ。

3rd舞台となる世界は?

  • 魔法少女リリカルなのは
  • 魔法少女まどか☆マギカ
  • アカメが斬る!
  • ブルーアーカイブ
  • 戦隊レッド異世界で冒険者になる
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