エンジンの低いうなりが夜の街に溶け込んでいく。街灯が流れるように背後へ消えていき、窓ガラスに映る自分の顔はいつも以上に硬い。
「緑谷が本当にここにいるなら」
カーナビに表示された座標はオセオン市郊外の旧工業地区。かつて石油精製所として栄えた区域は今や廃墟と化し、犯罪者やホームレスの巣窟となっている。
「やっぱりここにいるんだ」
アクセルを踏み込みながら頭の中で状況を整理する。
緑谷は現在、オセオンでは連続殺人犯として、指名手配をされている。
彼のこれまでの行動と、実際に事件が起きたと思われる場所での情報。
それらを調べたが、彼が行ったという証拠はまるでなかった。
そこから、このニュースがフェイクであり、ヒューマライズは警察の上層部までいる事をゼータは簡単にだが推察する事が出来た。
「そういう意味では、情報を手に入れられるチャンスと思うけど」
そう考えながらゼータが慣れない車を運転している時だった。
鋭い聴覚で捕らえたのは空を飛び、どこかへと向かっているヘリコプター。
ヘリコプターのローター音が夜空を切り裂く。窓から身を乗り出し望遠鏡で覗くと、街外れの広場に人影が見える。緑谷が複数の敵に取り囲まれている。その中に見覚えのある緑衣が―あのロビンフッドを模した女刺客だ。
「やっぱり……」
私は躊躇うことなく車のハンドルを切った。タイヤがアスファルトを削り火花を散らしながら減速。
運転席から飛び出すと同時にアクセルを踏み抜く音が背後で爆発した。
「急いで―間に合えっ!」
狭い路地をすり抜けながらスマホを操作。ツカサに短い報告文を送信する。返信は期待できない。今は私の判断がすべてだ。
工業エリアの廃墟群が視界いっぱいに広がる
この区域は今や無法地帯。錆びたパイプや倒壊したコンクリートの塊が迷路のように立ち並んでいる。
ゼータの足音だけが規則正しく響く。
「ここだ」
廃れた鉄柵の向こう、広場で緑谷が追いつめられている。
中央にはロビンフッド風の女暗殺者。
彼女の腕が光り、複数の矢が分裂して飛び出した。緑谷が咄嗟に避けるも肩をかすめ血が迸る。
「チッ!」
私は躊躇することなく鉄柵を蹴り破った。そのまま流れるように落下の勢いを利用し―
「!」
死角から女の背中に強烈な飛び蹴りを叩き込んだ。体重差を考慮し腰ではなく太腿に。
彼女がバランスを崩してよろめく。緑谷が呆然とした顔で私を見上げる。
「ゼータ……!?」
「話はあとだ。下がってろ」
女が体勢を立て直す。腕の形状が弓をこちらを構えている。
だが、それよりも早く、その手にあるナイフで女の矢を瞬時に潰す。
「っ」
「さて、逃げさせて貰うよ」
それと共にゼータが、その手に煙玉を地面に叩く。
「ちっ」
そう、煙が晴れた後。
そこには、ゼータ達の姿はなかった。
3rd舞台となる世界は?
-
魔法少女リリカルなのは
-
魔法少女まどか☆マギカ
-
アカメが斬る!
-
ブルーアーカイブ
-
戦隊レッド異世界で冒険者になる