「さて、実験を始めようか」
そう、イータは両腕の、スタッグスマッシュを思わせるハサミを展開する。
2体の怪人は、それを感じ取ってか、すぐに攻撃を開始した。
左右から挟み込むように放たれた攻撃は、先程まで3体のスマッシュを圧倒する程の威力と速度で飛んでくる。
だが。
「データ通り」
右肩のキャッスルスマッシュ由来の重厚な装甲が咆哮のような金属音を立てながら自動展開。複雑な幾何学模様が刻まれた複合素材の障壁が出現する。
「ガンッ!」
獣人型怪人の蛇尾と機械型怪人の拳がほぼ同時に衝突。轟音と共に火花が散るが、キャッスルの装甲は微動だにしない。接触点からは赤熱した粒子がわずかに漏れる程度だ。
「防御力は合格ライン」
イータが呟くと同時、背面のオウルスマッシュ製可変翼が大きく展開。内部フレームから無数の小型ファンが起動し、背面から猛烈な推力を発生させた。
「フワッ!」
一瞬で高度十メートルに達する急上昇。眼下では唖然とした二体の怪人が硬直している。
「面白い……次はこの姿勢から攻撃パターンを」
左腕のスタッグスマッシュ由来のハサミが鋭く変形。通常のハサミ状態から鎌状へ。さらに接合部から高周波振動が伝播し始める。
「ギギギ……」
奇怪な電子音と共に空気が震える。遠隔操作でスタッグのハサミを分離させる。
「飛翔誘導型テストユニットA及びB、自律稼働開始」
コマンド入力と同時に二つの鎌は意思を持つかのように弧を描いて急降下。下方では獣人型怪人が猫のような反射神経で回避しようとするが―
「ジャキンッ!」
片方が左肩を掠め、もう片方が蛇尾の再生部位を切り裂いた。
「ギャアッ!」
断末魔を上げる怪人の頭上でイータは静止する。高度維持のためにオウルの翼から放出される安定剤粒子が淡い虹色に輝いている。
「再生能力低下確認。傷口の接着箇所に特異反応……やはり断面修復プロセスに干渉可能な成分を検出」
この隙に機械型怪人が地上から超音速ダッシュで接近。タイヤから摩擦火花を撒き散らしながら真下に到達する寸前―
「おっと」
キャッスルの装甲が瞬時に展開。円盤状バリアが足元で花開き、機械型怪人の突進を食い止める。
「ガキンッ!」
衝突の衝撃で路面が砕け散るが、装甲は無傷だ。ただし内部温度が0.8℃上昇。許容範囲内。
「衝撃吸収率75%……もう少し強度調整が必要ね」
オウルの翼から大量の微小炸薬を散布。煙幕代わりに利用しながら別のテストを行うため高度を下げていく。
眼下では二体の怪人が苛立ち紛れに攻撃を続けている。その挙動すべてが私にとっては貴重なサンプルだ。
「さて次は――」
そう、イータは静かに胸ポケットから取り出した端末に数値を入力しながら呟いた。
「ハンドオペレーションの効率化と消費エネルギー最適化を兼ねた連続攻撃パターンFを試してみましょう」
二体の怪人はイータのその言葉を理解できなかっただろう。しかし彼らの本能は警鐘を鳴らしていた。
この女は―我々を解剖するかのように戦っている。
「準備完了」
イータは胸部アーマーに手を当てて静かに宣言した。内部フレームが唸りを上げて高出力モードへ移行。体表を流れるエネルギーラインが青から紫へと変色していく。
「統合テストシーケンス発動」
足元のキャッスルの装甲が溶解のように地面へ拡散。瞬時に金属ネットワークを形成し怪人たちの足を拘束する。
「グギッ!?」
獣人型怪人が蛇尾で絡みつく網を切断しようとするが―
「フンッ!」
その首筋へオウルの羽毛弾丸が直撃。中枢神経系に影響を与える特定周波数を帯びた攻撃により一時的に麻痺状態に陥る。
「第一標的無力化成功。続いて第二標的」
機械型怪人が怒号と共に肩部の雷放電器官を開放。青白い閃光が奔流となって襲いかかる―
「待っていました」
イータはニヤリと嗤うと同時にオウルの翼を前方に畳み込んでシールド代わりに展開。その裏側ではスタッグのハサミが超高密度電磁フィールドを生成している。
「さて、終わらせる」『レッツフィニッシュ』
その言葉と共にイータの背後から三つの影が浮かび上がる。
最初に現れたのは赤き巨躯――キャッスルハードスマッシュの幻影。要塞のような装甲が燦然と輝きながら凝縮する。次いで蒼穹を貫く疾風のごとく現れたのはオウルハードスマッシュ。旋風を纏う両翼が螺旋を描いて回転を始める。最後に黄金の輝きと共に地を這うが如く押し寄せるのはスタッグハードスマッシュ。刃のような腕が高速で交差し研磨音を奏でる。
「実験観察対象……分解」
イータの呟きに呼応するように三体の幻影が溶け合い一体化。赤・青・黄のオーラが渦巻きながら螺旋状のトンネルを作り出す。
「これが―」
足元のオウルの翼が爆発的に展開し推力変換。その反動を利用し跳躍。空中でキャッスルの装甲が支点となり重心補正。そしてスタッグのハサミが先端へと集中しドリル刃に変化する。
一瞬の静寂。
三体の幻影が完全に同期し臨界点へ―
ズギュンッ!!
刹那、光線となった回転キックが直線上の空間を切り裂いた。螺旋回廊を通じて送り込まれたエネルギーが獣人型と機械型双方の中心核へ同時に到達する。
「バシュウウッ!!」
再生途中だった蛇尾と歯車器官が同時に膨張し断裂。内部の黒い液体と金属片が混濁して吹き出す。両者の肉体は皮膜内部から圧力過負荷により膨張して―
「パァンッ!!」
炸裂音と共に星屑のように霧散した。後に残るのはアスファルトに穿たれた直径5メートルのクレーターのみ。
3rd舞台となる世界は?
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魔法少女リリカルなのは
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戦隊レッド異世界で冒険者になる