フィロスセレーネの姿となったゼータの周囲に水晶の欠片が煌めいた。王冠のようなヘッドギアが陽光を反射し、青いクリスタルが胸部装甲で脈動する。
「以前にはない姿っだけど、その程度で」
ヴァルゴ・ゾディアーツが呟く間も無く、ゼータの姿がかき消えた。
「!?」
次の瞬間、背後から鋭い衝撃波が彼女を襲う。
それと共に、ゼータのその手には既に武器で切り裂いていた。
「斧か、ちょっと使いにくいけど、まぁなんとかなるかな」
それと共にゼータのその手に持つ武器は機械的な斧、オーソライズバスターを振り、ヴァルゴを斬りつけた。
「ぐっ!?」
ヴァルゴ・ゾディアーツは後方に吹き飛ばされると同時に、武器が変形して斧から銃へと切り替わる。
ゼータの口元に不敵な笑みが浮かぶ。
「さてと……次はどう来る?」
銃口を向けたまま問いかけるゼータに答えるように、ヴァルゴ・ゾディアーツの姿が虚空へと溶けた。
「ちぃ……面倒な……」
ゼータがつぶやく。かつての戦いで見せられた転移能力だ。
周囲を見渡す間もなく背後から殺気が迫る。
「もらったぁっ!」
ヴァルゴ・ゾディアーツの剣が振り下ろされる。だがその刃は空を切った。
ゼータは瞬時に跳躍し、空中で体を捻って回転蹴りを放つ。
「がっ!」
ヴァルゴ・ゾディアーツは防御の暇もなく吹き飛ばされる。しかし即座に再出現し追撃を仕掛けようとする——が、それより早くゼータの指が素早く動いていた。
同時に、二つのプログライズキーを取り出し、そのままオーソライズバスターに装填する。
『トパーズエラポス』『オパールラビット』
そうオーソライズバスターに装填された2本のプログライズキーの能力が読み込まれると共に、既に動き出した。
ヴァルゴ・ゾディアーツの姿がかき消える瞬間、オーソライズバスターから眩い光が迸った。
その瞬間、ゼータの周囲に黄金と薄紫色のオーラが渦巻いた。
「さて、狩り尽くそうか」
ゼータのつぶやきと共に、彼女の体が爆発的な加速を見せた。次の瞬間、ヴァルゴ・ゾディアーツがワープした地点にゼータの姿があり、回し蹴りが炸裂する。
「なっ……!?」
ヴァルゴの驚愕の声は虚空に消え、衝撃を受けた体は壁へと激突する。
「ワープ速度自体が遅すぎるんだよ」
ゼータの言葉通りだった。トパーズエラポスの瞬間最大加速能力とオパールラビットの空中跳躍制御が融合したことで、ゼータはワープ中のヴァルゴですら捕捉可能な速度域へ達していた。
壁にめり込んだヴァルゴ・ゾディアーツが這い出そうとするが、その前にゼータの姿が再び消失する。
「どこへ……!?」
その問いかけが空中で途切れた。オパールラビットの跳躍力で垂直方向に移動したゼータが、上空から急降下。空中で姿勢を変えながら銃口を向けた。
「これで終わりかな?」
引き金を引く。無数の光弾が螺旋を描きながら放たれ、ヴァルゴ・ゾディアーツを四方八方から捉える。
「ぐあああっ!!」
悲鳴と共に爆煙が広がる。しかし、煙幕の中から再びヴァルゴの声が響いた。
「甘いっ! 私の支配領域内でっ——」
「もう遅い」
ゼータの冷ややかな声にヴァルゴ・ゾディアーツが振り向いた瞬間、彼女の背後で軋む音がした。いつの間にかゼータのオーソライズバスターが斧形態に戻り、横一文字に振られていた。
「なぜ……私の背後に……!?」
「君のワープは直線的な空間転移だ。私が君の移動予測を上書きしてしまえば意味はない」
言葉と共に、既にドライバーの前に翳す。
『セレーネバスターボンバー!』
ゼータが唱えると共に、オーソライズバスターの全体に紫色のエネルギーが充填され、斧の刃が眩いほどの光を放つ。
ヴァルゴ・ゾディアーツが慌てて背後へワープしようとする。しかし。
「逃がさんよ」
ゼータの指先がわずかに動いただけで、オパールラビットの跳躍能力により一瞬でヴァルゴの転移先へ先回りしていた。同時にトパーズエラポスの加速力が追加され、目にも留まらぬ速度で繰り出される斬撃。
「そんな……ッ!!」
ヴァルゴ・ゾディアーツのワープと分身生成は完全に追い越されていた。斧の一振りが空間を引き裂く。
声にならない断末魔が空気を震わせた。紫の極光をまとった刃が次々と転移先のヴァルゴ本体へ直撃し、その姿は爆発とともに粉塵へと還っていく。
戦いの余韻として漂う硝煙の中に、ゼータが静かに佇む。オーソライズバスターを軽く払うと、武器が独りでに形状変化し、元の拳銃形態へ収束した。
「さて……」
つぶやきと共にフィロスセレーネのアーマーが粒子状に分解され、私服姿のゼータへ戻る。
周囲を見渡すと、ビルの窓ガラス越しに瓦礫の山が見えた。
「もうちょい周囲に配慮すべきだったかな」
苦笑を漏らしながらも歩き出す足取りは軽い。
3rd舞台となる世界は?
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