「ゴリーニファミリーか……」
俺はため息をつきながら瓦礫の破片を蹴飛ばした。夜明け前の冷たい空気が肌を刺す。ホークスが投げて寄越したスマートフォンの画面には、ヨーロッパ各地で暗躍する犯罪組織に関する報告書が映し出されている。
「構成員は約二万人。うち幹部クラスは三十人弱だと言われている。どうやら、最近になってボスが替わっているようでね」
ホークスは淡々と言った。羽根が風に揺れ、彼の表情が僅かに曇る。
「そいつらが怪人スタンプを流布させているのか?」
「ほぼ間違いなく。ヒューマライズとのつながりも裏付けが取れた。日本の拠点はほとんど壊滅させたが、本丸は健在ってわけだ」
俺はスマホをポケットにしまい込み、ホークスに向き直った。
「それで? 公安としてはどう動くつもりだ?」
ホークスは小さく肩をすくめる。
「表向きは国際捜査協力を通じて情報共有を進めているところさ。でも内部ではすでに潜入要員を派遣済みだよ」
「お前が行くんじゃないのか?」
「さすがに有名過ぎるからね」
冗談めかして言うホークスだが、その瞳の奥には確かな意志が宿っている。この男は必要とあれば躊躇なく危険区域に飛び込むタイプだ。
「まあいい。俺の方針は変わらない」
俺は瓦礫の山から降り立ち、伸びをする。
「次に出てくれば潰す。それだけだ」
「相変わらず単純明快だなぁ」
ホークスが笑う。俺も口角を上げて応じた。
「ところでツカサさん」
「なんだ?」
「この後、一杯、どうですか?」
「一杯?」
俺は少し首を傾げた。ホークスの誘いは珍しい。普段なら即座に断るところだが——今日は少し違う理由があった。
「悪いな」
俺はスマホを取り出し、時計を見た。午前五時過ぎ。街はまだ眠っている。
「これから行くところがある」
「ほう?」
ホークスが目を細める。明らかに探りを入れる気だ。
「まさか——女ですか?」
「…………」
俺は何も答えずに歩き出した。瓦礫の山を越え、崩れかけた道路へ。背後でホークスが羽根を震わせる音がする。
「待ってくれよツカサさん。どこに行くんです?」
「知らせる義務があるか?」
振り返らずに返す。この男にだけは余計な情報を与えたくない。
羽根が風を切る音が近づく。ホークスが追いついてきた。その笑顔はいつも通り作り物めいている。
「——デルタちゃん達のことですか?」
「…………」
俺は足を止めた。
「まぁ、そういう所だ」
素直に認めるのも癪だが、ホークスには嘘をつく意味がない。むしろ中途半端な誤魔化しの方が危険だ。
「へぇ~」
ホークスの声が若干嬉しそうだ。こういう勘の良さが彼の武器でもあり、厄介なところでもある。
「今日の働きに対する報酬さ。あいつらもかなり役に立ったからな」
「なるほどねぇ」
ホークスは頭上で指を組みながらつぶやく。
「でもツカサさんにしては珍しい判断ですね。あの三人に何か個人的な想い入れでもできたのかな?」
「勝手に解釈しろ」
俺は再び歩き出した。ホークスは当然のように後ろをついてくる。
「で、具体的にどんな報酬なんですか?」
「あいつらの好きなものを与える」
簡潔に答える。詳細を話す義理はない。
「なるほど……」
ホークスがニヤリと笑う。
「女の子三人を喜ばせるって結構難易度高いですよ?」
「……お前に言われたくない」
思わず呆れた声が出てしまった。この男がどれだけの女性を手玉に取ってきたことか。
「いやいや、僕のは業務上の必要があってのことですから」
ホークスは悪びれもせず言う。
「それに比べてツカサさんの場合は——」
「お喋りは終わりだ」
俺は手を軽く挙げて遮った。
「お前と違って暇じゃない」
「つれないなぁ」
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