夜明け前の屋根裏部屋に静寂が落ちた。俺は大翔の目に浮かぶ怒りの炎を見据えながら続けた。
「怪人スタンプは『怪人の細胞』が詰まった道具だ。人間の皮膚に押印することで細胞が活性化し、宿主を怪物へと変貌させる」
指先でテーブルを叩く。埃が舞った。
「これの恐ろしい所は、どんな人間でも簡単に怪人になれる事だ。それこそ、どんなに強い怪人でもな」
「そんなのが、この世界に」
「だから、それをぶっ潰す。その後に元の世界に帰すから」
大翔の握りしめた拳が震えていた。
「そんなものが……流通してるなんて!」
「ああ。しかも大量にだ」
俺は壁に寄りかかる。窓辺の雨粒が跳ねた。
「だからこそ、まずはこれを」
「ダメだ」
大翔の声が鋭く割った。
「怪人スタンプは放置できない。放っておいたら一般人だって誰でも怪人になってしまう。それに俺自身も狙われてる」
「……だろうな」
俺は眉を上げた。この少年の執念深い目つき――ディケイドに似ている。
「つまり?」
「俺も同行させてくれ。ヒーローとして、仮面ライダーとして見て見ぬふりはできない」
屋根裏部屋に冷たい風が吹き込んだ。埃混じりの光が床に斑模様を作る。
「その勇気は買う。だが」
俺は腕を組み、意図的に低い声を落とした。
「まず俺の任務は極秘扱いだ。お前を守れる保証もない」
「覚悟の上だ!」
「……はあ」
俺は深いため息をつきながら指で額を掻いた。埃っぽい屋根裏部屋の窓枠が軋む。
「しょうがねえな……」
ゆっくりと立ち上がり、右手を上げる。指先が霧の中へ溶けていく。
「その覚悟、買ってやる」
指が空を切る。刹那、部屋全体が虹色の光に包まれた。
オーロラカーテンが現れる。
紫色の光が渦巻き、次第にバイクのシルエットが浮かび上がる。マシンディケイダーを呼び出す。
「乗れ」
後部座席を顎でしゃくりながらヘルメットを二つ取り出す。一つを放り投げると大翔が慌てて受け止めた。
「本物の、マシンディケイダーか」
高校生は目を輝かせている。まるで憧れのアイドルを初めて目にしたファンみたいだ。
「いいか。街に出たら騒ぐなよ」
エンジンを始動させながら警告する。金属的な鼓動音が床板を震わせた。
「しっかり掴まってろよ」
マシンディケイダーが吼える。排気音と共に部屋から飛び出す一瞬前―大翔の笑顔が見えた。
まるで明日を信じてるガキの顔だ。
――悪くない。
俺は小さく笑った。
それと共に、霧の海を切り裂くマシンディケイダーの排気音が朝靄に吸い込まれていく。
3rd舞台となる世界は?
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戦隊レッド異世界で冒険者になる