風が止んだ瞬間――暗闇に高笑いが響いた。
「ハハハハハ! 新時代だ! この私がこの世界の王となるのだ!!」
ダークマイトの口角が歪む。金メッキのような笑顔の裏で瞳孔が針のように細まり、指先が震えていた。
「見ろよ、この素晴らしいアイテムを!」
掲げた怪人スタンプが血のように脈打つ。赤黒い紋章が蠢いている。
「これはなァ……単なる『道具』じゃない。進化の鍵だ。私自身が進化するための――」
唾を飛ばしながら叫ぶ男の唇の端から泡が垂れる。アンナが怯えた視線を送るが、ダークマイトは全く気にしない。
「我が愛しいアンナよ。お前の“花”は私のために咲くんだ。花と血で飾られた玉座こそ……この私の定位置なのだ!!」
――ポチッ。
肉と骨が軋む嫌な音。彼の手の平に怪人スタンプが押し込まれた途端――
黒紫の稲妻が走った。
「グォアァァアアアッ!!!」
オールマイトの筋肉質な体躯が歪に伸び縮みする。顔面から皮膚が剥げ、金属音のような呻きと共に蒼白い装甲が絡みつく。胸元に亀裂が入り、DECADEという文字が刻まれていく。
「ハ……ハハ……ハハハハハ!! 私は神になったぞォォ!!」
アナザーディケイド――歪んだ鏡像のディケイドは四肢を痙攣させながら哄笑を上げた。眼球の位置が通常と逆になり、口元が裂けて血が滴る。
「私こそが真の象徴! お前たち全ての上位存在だ!! !」
その咆哮と同時に爆風が舞い上がる。石畳が吹き飛び、空中で錐揉み回転しながら巨大な拳が迫る。
突如出現したアナザーディケイド──その禍々しい装甲から迸る暴力を、俺は寸前でディケイドの片腕装甲のみを顕現して受け止めた。
衝撃が石畳を裂き、粉塵が舞い上がる。
だが俺は微動だにせず、冷笑を浮かべ、アナザーディケイドを真正面から睨みつけた。
「“ヒーロー”という言葉を汚すな、偽物以下の道化が」
「いいか? ヒーローとは――力だけじゃない。
誰かの涙を見て動ける勇気、無償で手を差し伸べられる慈しみ……そういう『人間らしさ』を持った奴のことだ」
アナザーディケイドの裂けた口元がさらに歪む。
歪曲した英雄像を掲げる男に、俺は断固たる態度で語りかけた。
「お前は他人を踏み台にして悦に入る屑だ。
そんな輩に世界が委ねられたら、どれほど醜い未来が待つか――」
その言葉を遮るようにアナザーディケイドが無数の映画フィルム状の刃を召喚し突進する。
だが俺は既にカードケースを開き、一枚を指先に挟んでいた。
「ディケイドは自分のためだけに戦うんじゃない」
ライドブッカーをソードモードに展開し、迫る凶器群を一閃。
砕け散る破片の中で俺はさらなる一歩を踏み込んだ。
「『ヒーロー』は職業だけじゃない。“在り方”だ。
たとえ力がなくても、誰かのために祈る心があれば――」
振り上げた刃先が虚空に銀色の軌跡を描く。
「いつだって“ヒーロー”になれる」
同時にレジェンドのレジェンドライドマグナムを携えた大翔がアナザーディケイドの死角へ回り込み、チャージした弾丸を放つ。
二重の閃光が交錯し、暗澹たる鎧の表面に亀裂が走った。
「――今だ」
俺は全身に闘気を漲らせながら叫ぶ。
二人の足が同時に宙を蹴り、重なり合う蹴撃となってアナザーディケイドの胸部装甲へ直撃した。
そして。
「「変身」」『DECADE!』『LE-LE-LE-LEGEND』
3rd舞台となる世界は?
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戦隊レッド異世界で冒険者になる