「脱走……だと?」
雄英高校の演習場に響くオールマイトの声は低く震えていた。
報告を受け取ったスマホの手が微かに震えている。額から溢れる汗が顎を伝い、黒いスーツに染みを作る。で、本能が警鐘を鳴らしていた。彼は知っている。AFOがどれほど狡猾で執念深い存在か。
息苦しさが喉元まで這い上がってくる。ベンチに腰掛けた背筋が自然と伸びる。目の前で風に揺れるアタッシュケース。
それは、まさしく、今回のような出来事が起きた時に想定していた。
(まただ)
あの地下施設での決戦。全てを懸けた最後の一撃。それでも止め切れなかった恐怖が甦る。胸の奥で古傷が疼く。
ワン・フォー・オールがなくなっている今。
(もしAFOが完全復活しているなら……)
想像するだけで寒気が走った。
(もう一度立ち塞がれる自信があるのか?)
オールマイトは瞼を閉じた。蘇る記憶—若き日の挫折、教え子達との出会い。緑谷出久の純粋な眼差し。
そして現在の自分。限界を超えてなお生き続ける理由。
(怖い……当たり前だ!)
彼は己の弱さを肯定した。震える指でアタッシュケースの蓋を押さえた手を見つめながら。
深呼吸と共に目を開ける。汗で霞む視界の先で、思考が巡るたび鼓動が早くなる。
戦いの勘は鈍っていないはずだ。しかし万全でない身体。絶大な力を取り戻したであろうAFOの底知れなさ。
もし負けたら?
最悪のシナリオが頭を過ぎる。生徒たちの悲鳴。町を覆う炎。絶望に染まる空。
だが、彼は静かにアタッシュケースへと眼を向ける。
オールマイトがアタッシュケースの蓋に手をかける。指先がかすかに震えながらも、鋼のような意志でそれを押し開いた。
オールマイトが息を飲む。彼は直感で悟った。これらは単なる装備ではない。過去への別れを告げるものでもあり、未来への架け橋でもあるのだ。
「・・・正義のためなら人間はどこまでも残酷になれる。だからこそ私は……」
彼の声が途切れた。遠くで雷鳴が轟いた気がした。まるで天空すらこの邂逅を見届けようとしているかのようだ。
オールマイトがケースの内側を凝視する中、突然スマホが鳴った。
画面に表示された名前が全てを変えた。
オールマイトの呼吸が一拍止まった。指先が氷のように冷たくなる。AFOとの因縁に絡みつく新たな因縁—彼はその名を決して忘れてはならない。
しかし今は、それ以上に重大な選択肢が提示されていた。通話をとるべきか。いや、彼は知っている。あの仮面ライダーが自ら連絡してきたという事実自体が重要なのだ。
指が震えながら画面に触れる。そしてオールマイトは耳元で囁かれるだろう言葉へと意識を集中させた。そこには何があるのか—あるいは
「……来るべき戦いが来たようだな」
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