俺は地下の監視カメラ映像を確認した瞬間、背筋を鋭い電流が走った。
感じる"質量の塊"――その存在が動いた時点で空気が歪む。人工灯の青白い光が揺れるほど、濃密な生命密度が一箇所に凝縮されている。
〈──あれは?〉
薄闇の中に聳える灰白色の巨体。歪に隆起した胴体と異形の四肢。そのサイズ感は巨人という域を超えていた。
肩口には折れ曲がった脊椎のような骨梁が露出し、そこから伸びる管状器官が幾筋も天井へ接続されている。その末端は機器群と直結し、不規則に点滅するLEDが脈拍のように鼓動を刻んでいた。
脚部が床を踏みしめるたび、金属プレートが悲鳴を上げる。一歩毎に粉塵が舞い上がり、粒子が照明に当たって虹色に煌めく。まるで大気そのものが畏怖を抱いているようだった。
「ただそこに“いる”だけで……吐きそう」
確かにその通りだ。視線を向けただけで平衡感覚が狂いそうになる。視覚だけでなく、嗅覚や触覚といったすべての感覚が“異質なもの”を拒否している。
「こいつは創世王か」
頭の中で記憶の扉を開く。
「……」
巨体の胸郭が不規則に膨張する。肋骨の隙間から漏れる微かな唸り。喉奥で何かが燃焼している音――燃料タンクが破裂したような音とともに紫煙が噴き出した。
俺は眉をひそめた。思考がまとまらない。ただ一点、確信だけがあった。
「こいつを放置すれば世界が書き換えられる」
思考が断片化するなかで閃く違和感。この施設の異常な安定性と過剰な防災設備。それがすべて、“これ”を保護するために設計されていたと悟る。
(誰がこんなものを?)
問いは即座に答えに変わる。
オール・フォー・ワンだ。
首筋に冷たい針を刺されたような感触。彼の背中越しに感じる執念深い愉悦。狂気と希望が綯交ぜになった視線。彼はこちらを見ていなかった。ただ目の前にそびえる創世王を神のごとく崇めていた。
「……許されない」
自然と口をついて出た言葉。感情の奔流が理性を押し流す。抑えきれぬ怒りが喉奥で震えた。
(誰一人救われていないのに……)
無自覚な祈りの響きを持った言葉が頭蓋に反響する。
それこそが彼を“創世王”たらしめている根本。
俺の視界がわずかに滲む。何かが溢れ出しそうな感覚に歯を食いしばった。
彼女は今なお苦しんでいる。皮膚の下で蠢く怨恨と怨嗟。自己への呪詛と他者への希求――相反する激情が循環し続ける牢獄。
それを理解した途端、拳を握る力が増した。
「・・・お前は何を考えているんだ、オール・フォー・ワンっ」
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