悪魔と呼ばれ慣れて 2nd   作:ボルメテウスさん

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創世の崩壊

創世王が地に触れただけで──世界はひっくり返る。

 

巨大な掌が地面を押し潰す。瓦礫どころか、校舎の基盤ごと抉り取られる。重機が暴れ狂うような轟音。粉塵が竜巻のように渦巻く。

 

(なんてスケールだ……!)

 

ツカサは目を見開いた。あの黒い指が触れた地点から半径二十メートルが「消滅」した。土砂も鉄骨もガラス片もすべてが宙に浮かび上がり──巨大な瓦礫の群れとなってこちらへ殺到する。

 

「ッ……!?」

 

弾丸のように鋭利な破片が音速で襲いかかる。まるで流星群だ。

 

それらは、狙いを定めたわけではない。創世王が「触れただけ」で起きてしまった現象なのだ。

 

だが結果として──その範囲内のすべてが我々に牙を剥いた。

 

「来るぞっ!」

 

ツカサは叫んだがもう遅い。瓦礫の大津波が目前に迫っている。

 

ツカサが警告を発した刹那──

 

「邪魔だああっ!!」

 

緑谷出久が吼えた。黒緑に燃える拳が虚空を貫く。漆黒の炎が渦を巻きながら射出され、降り注ぐ瓦礫の先陣を呑み込んだ。金属製の支柱が飴のように溶け、砕石が霧散する。

 

「続くぜ!」

 

オールマイト──ゼインの姿で飛び出した彼は、黄金に煌めく手刀で斜め上方から迫る残骸群を薙ぎ払う。コンクリートの塊がジュエルのように切り分けられて地に堕ちる。

 

「ぬぅおおっ!」

 

ゼインはそのまま背面跳びの要領で巨岩を蹴り破る。稲妻のような膝打ちが砕石の塔を二分し、黒曜石のような断片がバラバラと降り注いだ。だが創世王の攻撃は止まらない。

 

「おいおい……冗談じゃねェぞ!」

 

ツカサが呻く。崩壊した校舎本館が創世王の念動力によって浮揚し始めたのだ。重さ数百トンはあるはずの建築物が宙に吊るされ、ゆったりと回転を始める。

 

「潰れろォオオッ!!」

 

創世王の咆哮と共に校舎が落下を始める。轟音が耳を劈き、粉塵が視界を塗り潰す。その中心に飛び込んだのは──

 

「させるかァッ!!」

 

緑谷出久だった。全身を黒緑の燐光が包み、瓦礫の雨をかいくぐって本館内部へと突入する。

 

「ッ──!!」

 

緑谷が咆哮する。彼の拳に凝縮された黒緑の炎が空間を歪ませるほどの熱量を放っていた。

 

一方、ゼインと化したオールマイトは静かにカードを取り出し、ゼインドライバーのレバーを操作する。

 

『BLACK!執行!ジャスティスオーダー!』

 

荘厳な電子音が戦場を切り裂く。

 

金色の光輪がオールマイトの右腕を包み込み、漆黒の焔が絡みつく──ブラックサンとRXの力を凝縮した正義の一撃だ。

 

「いくぞ……緑谷少年!!」

 

「はいッ!!」

 

同時刻、創世王の巨体が瓦礫の海から起き上がる。その指先が無造作に地に触れただけで新たな崩壊が生まれた。だが──

 

二人の拳が銀色の光芒となって炸裂した。

 

緑谷の拳はBLACKの漆黒の光をまとい、オールマイトの拳は金色の聖光に彩られている。

 

「「ライダーパンチ!!」」

 

轟然と迫る両者の拳が創世王の胸部装甲に接触した瞬間──

 

ドギャアアアアアン!!

 

大地が沸騰した。衝撃波が同心円状に広がり、砕けた校舎の残骸が紙切れのように吹き飛ぶ。

 

創世王の巨体が軋みながら浮き上がり、黒紫の瘴気が血飛沫のように噴き出す。

 

「ぬゥオオッ!?」

 

悲鳴とも雄叫びともつかぬ声を上げて弔が天井を突き破り、高度二百メートルまで吹き飛ばされる。

 

空中に投げ出された創世王の巨体は制御不能に回転し続けていた。黒紫の鱗が剥がれ落ち、傷口からは蒸気のような瘴気が溢れている。

 

「まだだ……まだ終わらせん……!」

 

弔の怨嗟の声が歪んだ音波となって響く。創世王の両手が天を掴むように突き上がり、無数の瓦礫が空中でピタリと停止した。それらは即座に鋭い槍へと変貌し、流星群のように地上へ降り注ぐ──

 

「来たか!」

 

ツカサが歯を食いしばる。だがその傍らで緑谷出久が静かに拳を握りしめていた。

 

「……死柄木弔。聞こえていますか?」

 

その問いかけは虚空に向かって投げかけられた。

 

「あなたがどんな力を得ても……どんな闇に囚われても……君が望んでいるのは──本当は何なんですか?」

 

風が逆巻く。緑谷の周りに漂っていた黒緑の粒子が一点に集束し、二人の足が同時に地面を蹴った──いや、「跳んだ」。

 

「「ライダーキック!!」」

 

轟音と共に二人の体が一筋の稲妻となって天へ昇る。緑谷の右足には漆黒の十字架が宿り、オールマイトの左足には黄金の龍が蜷局を巻いていた。

 

空中で絡み合う光と闇の軌跡。二人の回転蹴りが創世王の腹部へ正確に叩き込まれる──

 

 

 

創世王の巨体が衝撃に押されて更に高く吹き上がる。その中核部で何かが解錠されるような小さな音が響いた。

 

「……ッ!?」

 

弔の指が微かに痙攣する。「恐怖」ではなく「驚愕」の表情を一瞬だけ浮かべて。

 

「今だ!」

 

オールマイトと緑谷が出し抜けに創世王の胸郭へ突っ込んでいった。灼けた肉片と瘴気を突き破り──

 

「捕まえた……!」

 

二人の手が弔本体の腕を掴む。冷たい汗に濡れた肌に確かな温もりを感じながら。

 

「死柄木弔。生きるのです」

 

「まだ間に合う……間に合うんだ!」

 

オールマイトと緑谷は渾身の力で引っ張り上げた。創世王の内側から溢れ出した黒い液体が三人を包み込み、地上へ一直線に墜落する。

 

ズシャァア──ンッ!

 

校舎跡地に巨大なクレーターが穿たれる。煙と土埃が嵐のように舞い踊り、その中心で──

 

オールマイトと緑谷は仰向けに倒れていた。腕にしっかりと抱えられた弔が目を見開いている。

 

「……なんで……助けて……」

 

絞り出すような呟きに、オールマイトは微笑んだ。

 

「ヒーローというのは……そういうものなんだよ」

 

弔の頬を涙が伝う。それは解放か悔悟か判別できない透明な雫だった。

3rd舞台となる世界は?

  • 魔法少女リリカルなのは
  • 魔法少女まどか☆マギカ
  • アカメが斬る!
  • ブルーアーカイブ
  • 戦隊レッド異世界で冒険者になる
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