その日は特別に暖かく感じた。焦凍が雄英の入学試験を明日に控えた前日。空気はほんの少しだけ春の訪れを感じさせていた。
「今日は特別な日だな」
俺はそう言いながら焦凍を見つめた。一年間の特訓を経て、彼は見違えるほど強くなっていた。氷の扱い方も格段に洗練され、技のバリエーションも増えた。
何より、自分の力を制御する術を学んだ。
だが、未だに、その瞳の奥には復讐へと眼を向けていた。
「特別って?」
焦凍は首を傾げた。
「お前がここまで成長したことを祝うためさ」
焦凍は照れくさそうに頬を掻いた。
「まだだ。俺にはやらなきゃいけないことがある」
その言葉に込められた決意を感じながら、俺は静かに頷いた。
彼の中の復讐心は確かに残っていた。
しかし一年の修行を通じて、それは単なる怒りではなく、もっと深いところからの決意へと変わっていた。
「焦凍」
俺はゆっくりと言った。
「俺たちが出会ってもう一年になる。お前は強くなった。それは認める」
焦凍はじっと俺の目を見つめていた。
「でもな、お前はまだ過去の呪縛から解放されていない」
彼は眉をひそめた。
「呪縛?」
「そうだ。お前の中にある『復讐』という感情だ」
焦凍の表情が暗くなる。
「俺は……」
「わかってる。簡単に忘れられるものじゃない」
俺は彼の肩に手を置いた。
「けどな、焦凍。俺が知りたいのは、お前が復讐を果たした後にどうするかだ」
その言葉に焦凍はハッとした表情を見せた。
「復讐は目標じゃない。通過点だ」
俺は続けた。
「お前の人生はその後も続くんだ。お前が本当に求めているものは何だ? エンデヴァーへの復讐の先に何を見ている?」
焦凍はしばらく黙っていた。
沈黙が重苦しい空気を作り出したが、俺は彼の答えを静かに待った。
やがて彼は口を開いた。
「・・・そんなの、分からねぇよ」
そう、答えた焦凍は呟く。
「俺はずっと、あの糞親父に復讐する為にやっていた。師匠との時間は、俺にとっては大切な時間だったし、今では良かったと思う。けれど、その先なん
焦凍の言葉には迷いがあった。復讐という目的は、彼の中で生きる理由そのものだったのだろう。それを失ったら何が残るのか、不安で仕方ないのかもしれない。
「焦凍」
俺は彼の肩に置いた手に少し力を込めた。
「お前は雄英に行くんだろ? そこにはきっと、お前と同じように夢を持ってる奴らが多くいる」
焦凍は少し驚いた表情で俺を見た。
「お前自身の道を見つけろ。そして、それを一緒に歩んでくれる仲間を見つけるんだ」
「仲間……?」
「ああ。友達と言ってもいい」
「友達……?」
その言葉に焦凍は困惑した様子を見せた。彼にとって友達という概念は、あまり馴染みのないものなのだろう。
「何言ってんだ、師匠。友達なんて……」
焦凍は口ごもった。彼の育った環境を考えれば無理もない。エンデヴァーの息子として厳格に育てられ、同年代の子供たちと遊ぶ機会も少なかっただろう。
「焦凍」
俺は彼の目をじっと見つめた。
「それがお前の課題だ。雄英に行って、自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分の心で感じてみろ」
焦凍は少し考えてから言った。
「でも……俺にはそんなの無理だ」
「無理じゃない」
俺は断言した。
「お前はこれまで、誰かのために戦ったことはあるか?」
焦凍は首を横に振った。
「復讐は自分のためだけのものだ。でもな、ヒーローってのは誰かのために戦うんだ」
「誰かのため……」
「そう。友達や仲間ができれば、自然とそれがわかるようになる。自分がどうしたいのか、何のために強くなりたいのかが見えてくる」
焦凍は黙って聞いていた。少しずつ何かを考えているようだった。
「でも……」
「もちろん、すぐにできるとは言わない。でも、お前は変わり始めている。俺と一緒に修行してるときだって、最初よりずっと笑うようになったじゃないか」
焦凍は少し照れたような表情を見せた。
「それに……」
俺は少し間を置いて続けた。
「まぁ、それがお前に雄英への最初の課題だな」
焦凍は驚いたように目を丸くした。
「課題?」
「ああ。復讐のことだけを考えるんじゃなく、将来の自分のこと、そして誰かのために戦うこと。それを考えろ」
焦凍はしばらく黙っていたが、やがて小さく頷いた。
「わかりました、師匠」
その言葉には決意が込められていた。彼の瞳に宿る復讐心は消えていない。でも同時に、新しい可能性に対する好奇心も見え始めていた。
「それじゃ、行ってこい」
それと共に、俺はオーロラカーテンを召喚して、向かわせた。
3rd舞台となる世界は?
-
魔法少女リリカルなのは
-
魔法少女まどか☆マギカ
-
アカメが斬る!
-
ブルーアーカイブ
-
戦隊レッド異世界で冒険者になる