悪魔と呼ばれ慣れて 2nd   作:ボルメテウスさん

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喧嘩仲間(デルタ)

 夜の街灯が薄暗く照らす路地裏で、デルタはため息をついた。

 

 ここ数週間のヒーロー活動は退屈そのものだった。出現するヴィランはどれも雑魚ばかりで、真の強敵と呼べる相手との戦いは皆無。体内に溜まるエネルギーを持て余し、鬱憤が爆発しそうになっていた。

 

「はぁ……本当に退屈です」

 

 その時、風を切る音と共に一人の男がデルタの前に降り立った。

 

 顔をマスクで隠し獰猛な笑みが特徴的な男——乱波肩動。

 

 乱波が現れた事に対して、デルタは睨み付ける。

 

「デルタに一体、何の用ですか」

 

 その睨みは、普通のヴィランはすぐに逃げ出す程の迫力。

 

 蛇が蛙を睨み付けるのと同じぐらいの圧倒的な力の差を見せるように。

 

 ただし、彼、乱波は。

 

「良いねぇ、こういうのを求めて来たんだ」

 

「あぁ?」

 

 その一言に、デルタは首を傾げる。

 

「あんた、ヒーローだけど、退屈しているんだろ。だったら、どちらかが死ぬまで戦おうぜ」

 

 そう、乱波は自身の拳をぶつけながら提案する。

 

 その提案に、デルタは目を光らせながら、乱波を見つめる。

 

「いいですよ。でも……」

 

 乱波が拳を構えながら、デルタの話に耳を貸す。

 

「ここだと壊れてしまいますから、場所を移すです」

 

 乱波は首を傾げる。

 

「なんでだ?」

 

「ボスが言っていた! 喧嘩をするならばタイマンで! 何よりも周りの奴らを巻き込むのは弱い奴のやる事だって!!」

 

 デルタは、そう自慢げに言う。

 

 それを聞いた乱波は獰猛な笑みを浮かべる。

 

「良いねぇ! そのボスの言葉! 気に入った! だったら、さっさと喧嘩出来る所に移動しようぜ!」

 

「えぇ、でも、この辺で喧嘩出来る所って、どこですか? 最近、この辺で暴れたら、すぐに集まって、デルタはあんまり自由に暴れられないのです」

 

「あぁ、確かに。そういうの面倒だからな。俺がヴィランっていう事にしても良いけど、それじゃあんたは殺し合い出来ないんだろ」

 

 そう、互いに殺し合いがしたい。

 

 しかし、周りの迷惑を考えると出来ない。

 

 そう悩む二人。

 

 すると。

 

「おい、乱波! てめぇに用があるんだよ!」

 

 突如として路地裏に響き渡る怒号。

 

 二人の視線が一斉に声の主へと向かった。

 

 そこに立っていたのは獅子のような鬣を思わせる髪型の男——獅子童だった。彼の眼差しは鋭く燃え盛り、乱波を睨みつけるその姿は復讐心に燃えているようだった。

 

「お前が『地下格闘』を抜けたと聞いてな。今日こそ決着をつけるぞ! あの時、俺はお前に『弱い』と言われた。その屈辱、忘れたことはない!」

 

 獅子童は拳をギリッと握りしめ、体から漏れ出す闘気を隠そうともしない。その気配は確かに強いが——。

 

「……誰だこいつ?」

 

 デルタの冷めた一言が路地裏に響く。

 

 獅子童の怒りが一瞬で鎮火したように見えた。

 

「ふざけるな! 俺はお前の仲間だっただろ!? 忘れたとは言わせねぇぞ乱波!」

 

 獅子童が一歩踏み出す。

 

 しかし——

 

「……誰だ、お前?」

 

 乱波は首を傾げた。

 

「俺が忘れるってのは、よっぽど弱い奴だったんじゃないか?」

 

「なっ……!?」

 

 獅子童の顔が怒りで歪む。

 

「てめぇ……! 『獅子童だ』って何度も言っただろうが! 『お前より強い』って証明してやるって約束したじゃねぇか!」

 

「知らねぇよ、それよりも今は、俺はこのデルタとの戦いにワクワクしているんだよ」

 

「てめぇ! いい加減に!」

 

 それと共に、獅子童は殴りかかろうとした時。

 

「「邪魔」」

 

 デルタと乱波が同時に口を開いた。

 

 次の瞬間——

 

 ドゴォッ!!

 

 獅子童の腹部に拳が炸裂。衝撃が骨まで響き渡り、獅子童は壁に叩きつけられた。土煙が舞い上がる。

 

「ぐ……はっ……」

 

 地面に崩れ落ちた獅子童。その口元から血が滴る。

 

「……な……に……が……起きた……」

 

 目を虚ろにさせて立ち上がろうとするも——

 

「邪魔だって言ってるんだよ。お前の怨念も戦いの熱も——」

 

 乱波がニヤリと笑う。

 

「——デルタと俺の間には入り込めない」

 

 獅子童の意識がプツンと途切れた。

 

「てめぇぇぇぇ!!!」

 

 それと共に獅子童が懐から取り出したのは、怪人スタンプ。

 

 それを自分自身に押す。

 

「怪人スタンプだと……?」

 

 乱波の目が細くなる。獅子童が取り出した黒いスタンプ。それは異形の力を持つ証だった。

 

「どうした? 驚いたか? これが俺の『本当の力』だ……!」

 

 スタンプを胸に押し当てる。獅子童の体が黒いオーラに包まれ、次第にその姿が変貌していく——

 

「ぐおおおおおおお!!」

 

 鋭い牙と金色の鬣を持つライオンの怪人——ライオンファンガイアへと変身した獅子童。

 

 その巨体から放たれる威圧感に、路地裏全体が揺れるかのようだった。

 

「なるほど……そういう手があったか」

 

 乱波は感心したように呟く。しかし——

 

「——だが」

 

 乱波の視線は既にライオンファンガイアを通り越し、デルタへと向かっていた。

 

「今この瞬間を邪魔されるのは気に入らねぇ」

 

 デルタの瞳が青く輝く。

 

「同感です!」

 

 その一言と共に、彼女の体が紫の光に包まれた。

 

「俺達は戦いの熱に飢えているんだ——」

 

 乱波の拳が軋む。

 

「——邪魔者は消えてもらうぜ」

 

 ライオンファンガイアが吠える。

 

「消えるのはお前らだ! この俺が——最強だと証明してやる!!」

 

 ライオンファンガイアが飛びかかる。

 

 その巨体と鋭い爪が乱波へと迫る——

 

 その瞬間だった。

 

「変身!!」

 

 デルタは、既にデルタバルカンに変身し、そのままライオンファンガイアを蹴り飛ばす。

 

「お前との喧嘩は後です。仕事を終わらせてから、やるです」

3rd舞台となる世界は?

  • 魔法少女リリカルなのは
  • 魔法少女まどか☆マギカ
  • アカメが斬る!
  • ブルーアーカイブ
  • 戦隊レッド異世界で冒険者になる
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