悪魔と呼ばれ慣れて 2nd   作:ボルメテウスさん

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暗闇の獲物(ゼータ)

ゼータたちが爆散した場所へ歩み寄ると、煙の中から一人の少女の姿が現れた。

 

「……え?」

 

ラブラバが震える声でつぶやく。ジェントルも目を疑った。

 

煙が晴れると、そこに横たわっていたのは高校生くらいの少女だったセーラー服に身を包み、顔立ちは整っているが血に濡れている。

 

だが異常なのはその身体だ。

 

左腕と右足が別人のものだった。腹部には縫合の跡が残り、胸部の皮膚は不自然に色が違う。

 

「な……何よこれ……?」

 

ラブラバが口元を押さえて後退った。ジェントルも顔面蒼白で立ち尽くしている。

 

ナックルダスターは拳を握りしめ、奥歯を噛みしめた。

 

「……クソッタレが……」

 

ゼータは無表情でその場にしゃがみ込む。死体の腕を掴み、肘の部分を指先でなぞった。

 

「継ぎ接ぎだね」

 

淡々とした声で言う。

 

「この少女、複数の人間のパーツを組み合わせて作られている」

 

「まさか……」

 

ジェントルが喉を詰まらせながら言った。

 

「改造人間ってことですか……?」

 

「そう見えるね」

 

ゼータは立ち上がると、ナックルダスターを見た。

 

「これは君が言っていた『オール・フォー・ワン』の仕業?」

 

ナックルダスターが拳を握りしめ、低く唸るように答えた。

 

「……ああ」

 

「オール・フォー・ワン……?」

 

ラブラバが不安そうに尋ねる。

 

「裏社会を牛耳る連中の親玉だ」

 

ナックルダスターは怒りを滲ませながら説明した。

 

「あいつらは人間を実験台にしてる。個性を持った奴らを改造して兵器にするんだ」

 

ジェントルが青ざめた顔で呟く。

 

「じゃあこの子も……?」

 

「ああ」

 

ナックルダスターの拳が震える。

 

「俺の娘を模した事に関しても、悪意が見えるぜ」

 

怒りに身体を震わせる彼を見ながら、ジェントルは、今は命なき彼女を見る。

 

「・・・本当に、こんな事をする人間がいるとは」

 

そして、そんなジェントルの心情を察したようにラブラバもまた寄り添う。

 

「ジェントル」

 

それとは別にゼータは。

 

「本当に、嫌になるね。どの世界にも、こういう奴らがいるんだから」

 

ゼータは血に染まった少女の横顔を見つめながら、遠い記憶を辿った。

 

脳裏に浮かぶのは雪原。自身の家族を奪われるだけの光景。

 

その光景で現れた、彼女を救ったのはたった一人の男だった。

 

『ツカサ』

 

彼は血まみれの自分と弟を彼は救ってくれた。

 

そんなツカサと同じように、今のゼータは多くの人間を救う力を手にした。

 

しかし、その力を持ってしても救えない命がある。

 

彼女は静かに少女の額に触れた。既に冷たくなった肌は生命の温もりを失っていた。

 

「ツカサならきっと……こんな子供をこんな風にはさせない」

 

ゼータの目に宿る光が強まった。

 

拳を強く握りしめ、唇を噛みしめる。

 

「オール・フォー・ワン……」

 

名前を呟くだけで胸の奥から怒りが沸き上がる。

 

自分自身が経験したあの地獄のような光景と、目の前の少女の姿が重なった。

 

「許せない」

 

その言葉と共に、ゼータの顔から人間らしさが消えた。

 

瞳孔が獣のように細くなり、口元が歪む。獰猛な笑みが浮かび上がる。

 

「こんな下らないものを造り出す奴は……」

 

一歩踏み出す。床板が軋む音が響く。

 

「私が狩る」

 

その声は低く、地を這うように響いた。まるで獲物を狙う野獣の咆哮のようだ。

3rd舞台となる世界は?

  • 魔法少女リリカルなのは
  • 魔法少女まどか☆マギカ
  • アカメが斬る!
  • ブルーアーカイブ
  • 戦隊レッド異世界で冒険者になる
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