「デルタァ……」
俺の呼びかけに彼女はビクリと肩を震わせた。目が泳ぎまくっている。
「言い訳があるなら聞こうか?」
「え、えっと……その……つい本気出しちゃって……でもほら!こいつも結構良くなってて!」
必死に弁解するデルタの横で、轟が疲労困憊といった様子で壁に寄りかかっていた。制服は所々焼け焦げ、呼吸は荒い。だが大きな外傷はない。ギリギリで致命打は避けたようだ。
「師匠……すみません、心配かけて」
轟が息を整えながら頭を下げる。その顔には疲労と……なぜか微かな満足感が浮かんでいた。
「無茶させたな。今日はもう休みだ。明日以降のカリキュラムを考え直す必要がある」
俺は轟の肩に手を置いた。熱を帯びた筋肉が硬直している。相当無理をさせたようだ。
シャワールームで汗を流した轟がリビングに戻ってきた。冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出して渡すと、一気に半分飲み干した。
「で?デルタの報告だと『意外に根性あった』って言ってたが」
「はい……正直最初は怖かったです」
轟が苦笑いしながら答える。椅子に腰掛けると脚を投げ出した。
「デルタさんの爪が迫ってくるだけで冷や汗出ました。でも……あそこで逃げたら終わりだって思いました」
その目には確かな覚悟が宿っていた。前までの彼にはなかった光だ。
「炎の扱い方はどうだった?特に近距離で使う感触とか」
「師匠が言っていた通りでした。氷を操る感覚と同じ……というか」
轟が手を握りしめる。掌から青白い炎が揺らめく。
「纏う場合は難しくないんです。ただ飛ばすとなると制御が難しい」
「なるほどな」
俺は腕を組んだ。デルタの殺気に晒された状況下で瞬時に判断し行動できたのは評価できる。
だが炎の放出にはまだまだ改善の余地がありそうだ。
「明日はヒーロー活動についてのレクチャーを行う。現場に出るのも視野に入れるぞ」
「本当ですか!?」
轟の目が輝いた。その反応に俺も自然と笑みが漏れる。
「ああ。その前にコンディションを万全にしろよ」
「わかりました!ありがとうございます!」
轟が深々と頭を下げた。その素直さと向上心はやはり眩しい。
リビングを出て行く彼の背中に声をかける。
「あとデルタにはもう少し手加減を教えとくよ」
「いえ……大丈夫です。あれくらいじゃないと通用しませんから」
振り返った轟の顔は凛としていた。
扉が閉まり静寂が戻ると、俺はデルタを呼び寄せた。
「お前なぁ……いくらなんでもやりすぎだ」
「でもボス~あいつ面白かったですよ!殺されかけたくせに最後まで立ち向かってきて!」
デルタが尻尾をバタバタさせながら抗議してくる。
俺は額を押さえた。この娘の感覚はどうにかしないといけない。
「明日は現場同行させるからな。暴れすぎたら即送還する」
「えぇ~!?そんなぁ~!」
文句を垂れるデルタを宥めつつ明日の計画を頭の中で組み立てていく。
轟焦凍――確実に強くなっている。だが本当に大切なのは現場での適応力だ。
「明日はお前にも働いてもらうぞ」
そう告げるとデルタの目がギラリと光った。
「任せてくださいデス!ボスのために頑張ります!」
その無邪気な笑顔に一抹の不安を覚えつつも俺は寝床に向かった。
明日の彼はどんな表情を見せてくれるだろうか。楽しみな反面、責任の重さが肩にのしかかる。
3rd舞台となる世界は?
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戦隊レッド異世界で冒険者になる