デルタがオーロラカーテンから飛び出した瞬間、不満が牙を剥いた。
「チッ……ここで全力出せないデスよ!」
狭い路地裏が彼女の獣人的本能に合わない。左右にはコンクリート壁が立ち並び、上空にも限界がある。自由に暴れ回れない閉塞感が苛立ちを募らせる。
何よりも周囲に被害を出す事は許されない。
それがデルタにとっては暴れるのを妨げる要因でもあった。そんなデルタの心情とは裏腹に、視界に入った光景に背筋が凍った。
目の前には血だらけの緑髪の少年——緑谷出久が壁に寄りかかり、肩からは出血している。隣には青年、飯田天哉がぐったりと横たわっている。
そして彼らに殺そうとしていた。
デルタは、即座に身構える。鋭い牙が唇から覗き、爪が鋭く伸びる。次の瞬間——
「止まれ!!」
轟焦凍の声が響いた。彼の手から放たれた氷塊が高速で飛翔し、ヒーロー殺しを狙う。
「ッ!」
ヒーロー殺しは流石の俊敏さで回避するが、その軌道を変えざるを得ない。氷塊がコンクリート壁に命中し、破片が爆ぜる。
「やるじゃないですか轟」
デルタが皮肉っぽく微笑んだ。狭い空間での遮蔽利用。
しかし、デルタが動きにくい状態なのは変わりなかった。
周囲を見ても、デルタの本来の戦いを行う事は出来ない。
「・・・おい、轟、そいつらを守る為に氷の壁を作れ」
「えっ」
それに対して、疑問に首を傾げる。
デルタは目を細め、轟の意図を察した。
轟が即座に応じた。彼の掌から迸る青白い氷が路地の両側の壁を這い上がり、天井近くまで伸びていく。
「よし……これで十分デスよ」
デルタの口元が歪む。彼女の毛が逆立ち、身体が臨戦態勢に入る。
息を大きく吸い込んだ途端——轟は本能的に理解した。
「おいっ、下がれ!!」
慌てて緑谷と飯田を抱えて氷壁の影に退避。轟自身も身を屈める。
次の瞬間。
「ヴォオオオオオン!!!」
デルタの咆哮が空間を震撼させた。路地裏の狭さが反響を強め、音波が物理的な衝撃となって四方八方に伝播する。
壁面に張り付いた氷が共鳴し、細かな氷の欠片を撒き散らす。轟の作り出した壁がなければ、その破片だけで緑谷たちは重傷を負っていただろう。
「グッ……!」
ヒーロー殺しは咄嗟に耳を塞いだが遅かった。獣人の超音波攻撃が平衡感覚を奪い、足元がふらつく。
一瞬の隙を突いてデルタが跳躍。狭い通路を最大限利用し、壁を蹴って三次元的な動きでヒーロー殺しに迫る。
「捕まえたデス!」
鋭い爪が閃く。しかしヒーロー殺しは辛うじて体勢を立て直し、刃を構えて斬撃を弾く。
衝撃音と共に火花が散る。二人の間に距離ができる。
「この程度で……」
ヒーロー殺しが低い声で呟く。だがデルタは笑みを深めた。
「良いから!さっさと気絶しろぉ!!」
そのまま、地面に叩きつける事によって、ヒーロー殺しは気絶する。
3rd舞台となる世界は?
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