「……終わった」
凍りついた瓦礫の中で王雷の呻きが消えた後、イータはゆっくりと立ち上がった。
ツインブレイカーを解除しながら息を整える。
「想定より疲れたな」
遠くで警報が再び鳴り始めた。監視カメラが破損したはずなのに警告音が鳴るのは――
「見られたな」
レフリジェは冷静に分析した。おそらく王雷との戦闘データが敵に送信されていた。
今頃は自分を標的にした敵部隊が編成されているはずだ。時間が無い。
「……行くか」
崩落する天井が床を叩きつける寸前――イータの背部で金属音が炸裂した。
『ジェット!ディスチャージ!ボトル!潰れな~い!』
スクラッシュドライバーから伸びた二枚の翼が瞬時に展開。濃紺のジェットエンジンが氷のゲルに覆われて蒼白く発光し、膨大な推力を噴射した。
「逃げるんじゃない……急ぐんだ」
落下瓦礫を軽々と跳躍で回避したレフリジェは、窓枠を蹴り破って開放空間へ飛び出した。強風が装甲を叩く。高空から見下ろすIアイランド全体像が広がる。
(……予測通りだ)
南東区画で煙が上がっている。管制塔のアンテナが傾いている。
そして眼下のタワー頂上で行われている戦い。
そこには、敵がいた。
暴走している様子か、何十メートルもの規模の大型金属類を塊が空中に漂っている。
それらが、この事件の首謀者である事。
そして、それを正面に立ち向かう2人。
「・・・なるほど、師弟の戦いという訳」
そこにいるオールマイトと緑谷。
2人が真っ直ぐと立ち向かっている。
それを見たイータの判断は。
「邪魔はさせない事。それが今の私の役目かな」
タワー頂上の空気が張り詰めた。
腰にあるスクラッシュドライバーから、冷蔵庫スパークリングスクラッシュゼリーをネビュラスチームガンに装填する。
『ファンキーアタック・フルボトル』
銃口の冷却機構が唸りを上げる。青白い光の筋が迸り——
「一発」
トリガーが引かれ、氷の弾丸が高速で射出された。敵の巨躯がわずかに揺らぎ、金属塊の動きが鈍る。
「何だ!?新手か!」
敵が吠える。
その隙を突いたオールマイトと緑谷。
2人の必殺の拳がは名垂れる。
「「SMASH!」」
二つの拳が交差し、敵の胸部装甲がひしゃげた。轟音とともに金属塊が弾き飛ばされる。
イータは静かに距離を保った。派手な追撃はしない。ただ冷却能力を維持したまま傍観する。
「……邪魔者はこれでいい」
戦闘の喧噪の中で、彼女は影に溶け込んでいた。誰も彼女を目立つ存在とは思っていない。そうして、全ての戦いが終わりを告げた。
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