ツカサこと、ディケイドが戦っていた頃。
その戦いが行われていた。
「ふぅふぅ」
それは、少し離れた場所。
秘密基地で孤立していた洸汰の前に現れた敵。
その敵の名は、マスキュラー。
全国指名手配犯の敵であり、洸汰の両親を殺害した人物でもある。
そのまま退屈を紛らわすために洸汰を殺害しようとしたものの、そこに駆け付けた緑谷に阻止されたことで交戦を開始する。
緑谷との戦いにおいては、洸汰を守りながら戦う彼をほとんど一方的に蹂躙する。緑谷のOFA100%のスマッシュを喰らってもなお立ち上がり、殺害一歩手前まで追い込んだ。
「良いなぁ、それじゃ、お前を」
「やらせるとでも?」
そんなマスキュラーに向けて、氷のような冷たい言葉と共に割って入ったのはゼータだ。
風のように舞い降りたゼータは、そのままマスキュラーに向けて鋭い回し蹴りを放った。
マスキュラーは反射的に腕を上げて防御するが、ゼータの蹴りはそれを容易く砕いてしまう。
「ぐあっ!」
「……愚かな」
痛みに顔を歪めるマスキュラーに対し、ゼータは無表情のまま呟いた。
地面に叩きつけられた衝撃で土埃が舞い上がる中、マスキュラーは血走った目で周囲を見回した。
ここは深い森の中だった。月の光は木々の間から僅かに差し込み、湿った空気が肌にまとわりつく。
「てめぇ……よくもやってくれたなァ……!」
マスキュラーは怒りに震えながらも、すぐに立ち上がった。彼の筋肉は既に膨張し始め、体表面に脈動する血管が浮かび上がっている。
深緑の森に月光が薄く差し込む。地面に倒れ伏すマスキュラーを、影のように佇むゼータが見下ろしていた。彼の周囲だけ時が止まったかのようだ。
「ゼータ……さん?」
かすかな声が背後から届く。振り返れば、負傷した緑谷出久と、彼に支えられる洸汰の姿があった。
ゼータの瞳が一瞬揺れる。少年たちの目には何が映っているだろうか。復讐に燃える獣か、それとも——
「見るな」
短く告げた言葉には鋼のような冷たさがあった。
彼女はゆっくりと踵を返し、背筋を正して立ち尽くす。肩越しに振り返ったその横顔は、月明かりに照らされて鋭利な輪郭を描いていた。
「ごめんね、今、本当にヒーローらしくない感情に支配されているから」
そう、声だけでも分かる苛烈な怒気。普段のクールな振る舞いとはまるで違う、剥き出しの殺意が漂っていた。
「洸汰くんの両親を奪った輩らしいじゃない? こいつ……」
吐き捨てるような低い声。それはまるで別人のようだった。
緑谷が息を詰めるのが聞こえる。少年が握りしめた拳は小刻みに震えていた。
「あの……ゼータさん……その……」
言葉に詰まる緑谷。目の前の人物が発する重圧に押し潰されそうだ。
そんな彼を一瞥すると、ゼータの口元がかすかに緩んだ——冷徹な笑みだった。
「大丈夫だよ。私はまだ"理性"を持っているから」
言い終えると同時に彼女は再びマスキュラーへと視線を移す。
「ただ少し……『掃除』をするだけ」
まるで明日の予定でも語るように淡々とした口調。
しかし次の瞬間、彼女の背中からは漆黒のオーラが湧き上がり始めた。
森全体が息を潜めるような緊張感が広がっていく。
「ゼータさん」
「まぁ、けれど、少し良かったのは、どうやら君のヒーローが見つかって、良かった。その点だけは、本当にね」
ボロボロになりながらも、洸汰を守ろうとした緑谷。
その姿を見て、少なくとも、ゼータは。
「だから、そこで待っていな」
この世界のヒーローとしての希望を崩したくない。
そうして、マスキュラーがいる森の中へと入る。
「へぇ、お前か!良いねぇ、さっきの緑谷よりも強い蹴りだったじゃないか」
「不意打ち程度で、そう騒がないでくれる。何よりも、今の私は結構苛ついているんだよねぇ」
マスキュラーの唇がゆがんでいく。血に飢えた狼のように歯茎を剥き出した笑みだった。
「へへっ……なんだよそのツラ。本気モードってわけかい?」
月明かりを浴びたゼータの瞳孔が細くなる。理性で抑え込もうとするほどに、奥底から滲み出てくる獣の本能。彼女の全身からは黒い蒸気が立ち上り始めていた。
「あぁ……いいぞぉ……!お前みたいなヤツが一番美味いんだ」
マスキュラーの筋肉が膨張し、服がビリビリと裂けていく。露出した上半身は異形のオブジェのようだ。無数の筋繊維が蛇のように絡まり合い、鎧を形成している。
「そこのガキどもなんかよりよぉ……お前こそ本物だぜ!」
「・・・本物ねぇ、別にどっちでも良いけど、とりあえずは」
そうして、ゼータは笑みを浮かべる。
「あんたは私の獲物って事で良いよね」
3rd舞台となる世界は?
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