ワケあり生徒の青い記録   作:フルール・ド・ガリア

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例え彼女らが敵だったとしても。

あの出来事から2日が経った。

部屋を借りて、家具はブラックマーケットに「落ちてた」ものを「拝借」して、少なくともアリウスでの住居よりは住みやすい空間にできたと思う。

 

元々私の部屋は簡易的なベットと机以外には何もなくて、みんなに「家具ってどこにあるの?」

と聞いたら、そこらへんから奪ってきてるって返ってきて困った。

ベットはあるから、まずは棚かランプを取り揃えることにした。

 

基地から少し出て周りを探索すると、やっぱりヘルメット団による襲撃を受けた。

そうだ、このヘルメット団の基地から借りればいいじゃん。

ヘルメット団の攻撃を避けながら、降伏しない程度に反撃して撤退を促した。

所詮民兵にも満たない組織に軍事訓練を受け続けた人間に勝てるわけなんてなくて、彼女らは目論見通り潰走を始めた——仲間の何人かを見捨てて。

 

見捨てられた彼女らは私の服の裾を掴んで必死に

「お願いだ、助けてくれ」

「生かしてくれ!」

と縋ってきた。

生かしてくれ。

普通、そんなことは見捨てられたとしても…言わないはず。いくらブラックマーケットだからと言って、人を殺すヘルメット団は…多分少ないし、そんなことをしたヘルメット団が包囲網を組まれて壊滅させられたという話も聞いた。

つまり彼女らは————。

でも、だからと言って見捨てるわけには行かない。

「大丈夫。私は貴方達に恨みはないから。それより、あの…お仲間さんの基地について教えてほしいのだけれど。そうしたら、私の仲間の基地に連れてってあげる。」

藁をも掴んで助けを求める彼女達に一番効く言葉を選んで話すと、大人しく基地の場所を教えてくれた。

曰く、小規模なヘルメット団で10人にも満たないこと。そのため、廃屋数軒を拠点にしていることを教えてくれた。

 

詳細な場所も確認して、目的地へ壁を蹴りながら高速で進むと、すぐに拠点らしき場所に到着した。

弾薬箱が二つ、そして目標の物品は…ランプはなかったけど、カーテンと小さい棚があった。

敵地展開は見張りが1人、おそらくさっき逃げた人が3人、そしてリーダー格が1人。

すぐに終わる。

 

地面を勢いよく蹴って、見張りの眼前に飛ぶ。

見張りは突然現れた私に何の抵抗もできずに蹴り飛ばされ、近くの簡易バリケードにぶつかった。

 

銃のセーフティを外し、さっき上から見た情報を元に大体の位置を把握し射撃を開始。

ヘルメットにいくつか防がれたが、位置はわかった。

近くにあった木箱を投げ飛ばして相手の隠れた瓦礫ごと破壊すると、ぐえっという悲鳴が聞こえた——2人目を排除した。

残った2人とリーダー格は近接戦に挑んだみたいだけど…動きが洗練されてない素人相手に負けるわけもない。

銃を腕で吹っ飛ばして腕を掴むと、リーダーは怯んだのか殴ろうとした腕を少し引っ込めた。

引っ込んだ腕も掴んで地面に叩きつけて、降伏勧告を行った——聞くまでもなく、彼女らは投降の意を示した。

 

ヘルメット団のメンバーを拘束して、家具の調達を行いたいと聞いたら、そんなものならいくらでも、と言ってきた。

仲間を見捨てて、家具も見捨てて。誇りがないのかとも思ったけど——まあ、突然軍人と同等の人が襲撃してきたら家具程度見捨てもするかと自分を納得させた。まだ引っかかるけど。

 

早速カーテンと棚を拝借し…棚の持ち運びめんどくさいな…

とりあえずカーテンだけ拝借して、見捨てられた皆の場所に向かった。

あれから移動してなかったみたいで、私を見つけるや否や集まってきた。

 

私が持ってきたカーテンには何も言わなかった。もしかしたら彼女達の…

ともかく、プクプクヘルメット団の…私達の基地に案内した。

キバからは勝手な行動をするなと叱られたが、見捨てられて可哀想だったと言うとキバは

「そう言って内通するヤツだって居るんだ。本隊が来たらどうするつもりだ?」

「大丈夫、本隊はすでに壊滅させたから」

「…お前は…いや…もういいや…」

呆れたような表情を私に向けて、キバは根負けしたのか「私がみんなに話しておく。無所属だったって誤魔化すから、そこは任せたぞ」と言ってくれた。

なんだかんだキバは優しいから、こうなると思ってた。

善意を利用したようで悪いけど…信頼の裏返しってことにすればいいだろう。きっとそのはず。

 

棚も早速持ってきて、部屋に配置すると、殺風景だった部屋にカーテンの彩りと棚の重厚感が生まれて「自分らしい」部屋に近づいた…んだと思う。

窓から外を見ると、キバがみんなに新入りの紹介をしてた。

反応を見る限り、悪い反応じゃない。よかった。

 

少なくとも、今は…彼女らを信用してもいいはず。

裏切りを警戒し続けても良いことはない。信頼関係をここから築けると良いなと思いながら、私はキバ達のところに行った。思いついたことがある。

 

「そうだ、もしやりたかったらだけど…私戦い方とか教えようか?」

ヘルメット団のみんなは正直言って弱い。

危険なヘルメット団だって居るのだから……いつ、最悪の事態が起きるかわからない。

だからこそ、強くなって…平和に生きてほしい。すぐに無くなりかねない居場所より、砦の中にある居場所の方が少なくとも安心感はある。

真意を理解してか、激昂する人も居たけど…大多数は教えてほしいと好意的な反応だった。

何よりキバが教えてほしいと言ったのが大きかったのかもしれない。

さっきの見捨てられた…いや、新しい仲間の彼女らにも教えることになった。

 

「じゃあ、教えるのは明後日からね。とりあえず私も教えることまとめないといけないから」

そう伝えると、キバがみんなを解散させて、それぞれの仕事に戻らせた。

仕事。キバに「仕事って何があるの?」って聞いたら、

「食事担当、警備担当、洗濯担当、雑務が居る。まあ、言わなくても内容はわかるだろ?」

「ふぅん…警備担当の人には厳しく教えないとかもね」

「あー……言わなければよかったな」

 

これが、私とプクプクヘルメット団との…最初の提携に至るまでの話。




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