ワケあり生徒の青い記録   作:フルール・ド・ガリア

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前話読了ありがとうございます!
活動の励みになりますので、今後とも拙作をよろしくお願いします!

少しシリアスが入るかもしれません、苦手な方はお気をつけてください。


例え過去がなんであろうとも。

変な形の銃をブラックマーケットで購入した帰り道、試し撃ちがてらに路地裏で見たチンピラたちを襲撃してみることにした。

我ながら野蛮極まりない思考だと思ってるけど、何事も実戦あるのみだから仕方ない。

狙いをつけて…射撃!

タタタンと3点バーストのリズムで撃ち出された5.56mm弾は路地裏に陣取っていたチンピラ集団のボスに、一寸の狂いなく頭に着弾した。

 

マガジンが後ろにあるから重心がよってて撃ちづらかったけど、問題なく命中はさせられた。

させられたのだが。

 

「耳、痛った…」

 

マガジンが後ろにあるということはすなわち射撃体制をとった時に発射機構が顔のすぐ近くに来るわけで。

多少はもちろん慣れてはいるけど、ここまで至近距離で爆ぜるような音を聞いやことなんてないし、鼓膜が悲鳴を上げてる。

それに硝煙も吸っちゃいそうだし、これは慣れるのに時間がかかりそうだね…

 

突然の奇襲に驚いたのか、残ったチンピラ3人は私がどこにいるのかすらわかってない、これはまたとないチャンス、今度は……うん、やっぱり怖いしサイトは覗かないで撃とう。買ったばかりだから仕方ないよね。

タタタン、タタタン…

やっぱり当たらないし覗くしかないのかな、我慢我慢…

 

耳の痛さを感じながらもチンピラに狙いを定めると思った通りに銃弾が飛ぶ。

いや、銃だから普通なことだけれども、買った場所が場所だからこれだけでも嬉しい。

粗悪品じゃなくてよかった、精度もまあまあ良いから手に馴染む。

ただ…

 

「これ間違いなく実戦用じゃないよね」

 

「見たらわかるだろ!?」

 

チンピラ達を軽く制圧して銃弾を拝借してアジトに帰って、キバに銃を見せた。

変な銃だなと笑われたがまあ仕方ない。実際変な銃だし。

 

「そういえばキバたちってどこで銃器買ったの?」

「基本私たちは銃を『買ってない』。プクプクヘルメット団を結成する前の話だが、最初バールとかで他のアジト襲撃して、そこで奪った。多分みんなそう、ロロもユイもネモもだ。」

「呼んだー?」

「っ…!ああ、ネモか。突然背後に出てくるんじゃない、驚いただろ」

 

実はネモは私が帰ってきてから尾行してたから、ずっと気配は感じてた。

足音とか、匂いとかでわかった。

決して私のフェチとかではない。断じて。

 

「尾行するならもうちょっと足音に気をつけたほうがいいと思うよ?」

「ありゃ,気づいてたのねー。結構上手くなったと思ったんだけどなー」

「シウもシウで気づいてるなら教えてくれよ…」

 

んー嫌だ。わかりやすい尾行だったし気づいてるかと思ってた」

「口に出てるぞ、シウ…そういえばネモはどこで銃を手に入れたんだ?」

「私の銃ー?………確かアビドスの方に銃が落ちてたからそれを拾ったの。」

 

これね、とネモは銃を見せてきた。

ウィンチェスターM1897、って言ったっけ。アリウスでも使っている人がいた気がするけど、気づいたら「居なくなってた」

…そういうことなんだろうね、多分。

 

「シウ?」

「ん?ごめん、ちょっと友達がその銃使ってたなって。アビドスの方じゃなかったから違うと思うけどね、懐かしいなって」

 

嘘は言ってない。けど、あの、ショットガンを使ってた人は——

助けないと。

私が、私しか助けることができないんだから。

 

「んー…シウちゃん大丈夫かなー?」

「…こうなったら」

 

瞬間、私の意識は途切れた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「キバちゃん、本当にやってよかったのー?」

「あんな顔したシウなんか初めて見た。思い詰めてるなら無理矢理にでもやめさせて休ませるべきだと思ったんだ」

「ふーん。確かに手震えてたしね、シウちゃん。」

「そうなのか?……こいつも訳ありか。まあ些細なことだな。」

「出自なんて私も訳ありだしねー。キバちゃんもそうでしょ?」

「思い出させるんじゃないよ」

 

キバは白い羽と黒い、小さな角を見せてそう言った。

トリニティの羽、ゲヘナの黒い角。それが意味することは——

「とりあえずシウちゃん部屋に運んでくるー。キバちゃんはシウちゃんにしっかり謝るんだよー?」

私はそう言って、シウを担いだ。

本当に軽くて、風が吹いたら飛んじゃいそうな細い体は、重いように感じてしまった。

私は人の感情とかに敏感みたいで、暗い感情には特に気付きやすい。

 

「あ、失礼するよー」

私は聞こえてないだろう、寝ているシウに向けてそういうと、シウの部屋に入った。

 

「…。」

なんか…不恰好だね。センスが独特なんだろうね、きっと。

古ぼけたベットに寝かせて、私は部屋を出た。

「本当に、シウちゃんはわがままだなー。少しくらい頼ってもいいのに。部屋のコーディネートも、悩みの相談もね。」

 

聞こえていると良いな。

 

 

「そうできたら、よかったかもしれないね」

 

そう聞こえたような気がして、振り返るとシウは寝息を立てていた。寝言、なのかな。

そんな返答が聞きたかったわけじゃないのに、聞こえてしまったような気がして。

逃げるようにシウの部屋を去った。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

目が覚めると、私は部屋にいた。正確にいうと、私の部屋のベットの上。

ええと、キバに銃を見せて、ネモが来て…

何を話したんだっけ?

 

ああ、銃の話だったね。

そして流れでアリウスの話を思い出したんだ、多分。

懐かしいな…あの日から1ヶ月経ったか経ってないか、かな。

気分転換に窓でも開けて、ブラックマーケットの空をみる。

もう日は落ちてて、紫と橙と黒が空を覆い尽くしてる。

そんな景色を見てると、なんだか心の重りが外れたようで、スッキリした気がする。

早くみんなのところに行かないと、心配させちゃったかもだし。

髪を整えて、またアジトの中心に向かった。

 

これは、私の…過去の話。




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