◎キヴォトス
キヴォトスの全ての頂点に立った少女、連邦生徒会長の失踪から数週間が経った。
大々的に報道されたこの失踪事件を受け、数千もの学園自治区が混乱に陥り、矯正局にいた生徒らの脱走も発生し、キヴォトスの犯罪発生率は飛ぶ鳥を落とす勢いで——急速に悪化を始めていた。
残された連邦生徒会に多くの生徒…有力な学校からの生徒が大半が抗議にやって来ており、D.U区域には生徒でごった返しており、住民は避難を余儀なくされている
スケバンやヘルメット団の抗争と抗議にやってきた生徒が巻き込まれ、市街地は戦場の様相を呈していた——巡航戦車や野砲が各地に展開し、普段の閑静なビル街の雰囲気はもはや伺うことができずに、地獄のような光景が広がっていた。
一人の男性が来るまでは。
「先生」と呼ばれたその男性は、各主要自治区の主要メンバーを指揮しヘルメット団を撤退に追い込み、七囚人の孤坂ワカモとも接敵。
が、先生による天才的な指揮を受けた生徒たちの下巡航戦車やワカモ指揮下のヘルメット団も敗北し、彼女は撤退。
その末に先生らはシャーレ及びサンクトゥムタワーの制御権を取り戻したのだと言う。
今は、
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◎シャーレ部室
各地に火の手と煙が上がり、消火活動もままならないD.U区域をシャーレの部室から臨む「先生」。
荒れ果てたD.Uを眺める先生の顔には少しの疲労と希望、そして強い決意が現れ、これからの展望に想いを馳せていた。
時々また砲撃音が聞こえるなど、治安の改善はかなり難しいように思え、どうもヘルメット団が一枚岩でないことがわかる。
先生の片手にはタブレットのようなオーパーツ「シッテムの箱」を持ち、彼はそれに話しかけていた。遠目で見れば独り言を話している変人だが…誰も気には止めなかった。それほどまでに先生の行った行為は素晴らしいものだったのだから。
時々シッテムの箱に「A.R.O.N.A」と呼びかけているようだが、応答は聞こえたようには思えない。しかし先生は構わずに話しかける。まるで先生は応答が聞こえたように。
シッテムの箱は謎多きものであった。
ある人曰く、連邦生徒会長が残したオーパーツ。
ある人曰く、先生の天才的な指揮をサポートするタブレット。
ある人曰く、制御装置。
不思議な噂が後々語られ、真偽不明の情報のみ残る不思議な物品を持つ先生の独り言は「そういう機能でもあるのだろうか」と連邦生徒会役員には受け止められていた。
A.R.O.N.Aとの話を終えた先生は、シッテムの箱を持ちシャーレのオフィスから出て、まわりを散歩してみることにした。
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◎シャーレ/D.U区域
アロナと色々話し合ってみて、とりあえず外を歩いてみることにした。土地勘がないせいで迷子になったなんて笑えない話だったから。
突然先生に任命された時はどうしたものかと頭を悩ませたが、生徒たちの様子を見ると……大変な仕事になりそうだ。
今後くるであろう激務を忘れようとシャーレのオフィスから出て、D.Uの郊外を歩いてみると、あれほどまでに展開していたヘルメット団は面影もなく居なくなっており、瓦礫と残された一部の戦車が残るばかりであった。
あてもなくシャーレの近所を歩いていると、ふと後ろから声をかけられた。
「先生、であってますよね?こんにちは。」
小柄で、グレーのパーカーを来た白黒の髪を持つ少女はそう私に聞く。
「“こんにちは、君は……”」
「私はエガリテ学園生徒会書記の永葉シウ。先生の活躍を先ほどは見させていただきました。どのような方かと興味を持ったので…」
小柄な少女…シウは礼儀正しく、そして堅すぎない挨拶を行った。
「“シウ、これからよろしくね”」
「はい、よろしくお願いします。…もしかして、用事とかありました?」
「“ううん、ただ歩いていただけ。この付近について詳しかったりする?”」
もしかしたら彼女がここらにある面白い場所だとかお店を知っているのかと思って聞くと、彼女は少し申し訳なさそうに
「私はここらへんに住んでいないので、あまり詳しくは…」と答え、続けて
「それに、D.Uには私はあまり来ないんですよね。理由もあんまりないので…何回か連邦生徒会に呼ばれて来ることはありますけど、それだけです。」
ふと、私は疑問に思ったことを聞いてみることにした。
「“シウの学校…エガリテ学園だっけ?どう言うところなの?”」
「エガリテ学園はですね…」
そう聞くと、シウのスマホに電話がかかって来た。
「あ、生徒会の友達から電話が来たので今日はここで失礼します、さようなら!」
急いだ様子でそう言った彼女は電話に出て疑問に応えることなく去っていった。
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◎???
連邦生徒会長が指名した先生が今日来ると聞いて、偵察……みたいな、まあそこまで物騒なものじゃなくて様子見だけど——をしてみることにした。何もこう言うことは得意じゃないんだけどね、まあ仕事だから仕方がないか。
生徒を何人か引き連れてシャーレのオフィスに向かう大人の後ろを気配を殺しながら追跡してみると、彼らはシャーレのオフィスの中に入っていった。
やっぱりあの大人の男性が「先生」だ。
指名を突然受けて、そして今日やって来た「キヴォトス外の人間」。
興味を持たないわけではなかったが、様子見をするとなると話は変わる。
先生の指揮を受けていた生徒は自分達の学校に戻っていくようだった。
私の情報は「割れていない」から、むしろ堂々としていた方がいいはず。少し迂回してシャーレのオフィス前を通ると、警戒もなく彼女たちはすぎていった。あとは先生が来るのを待つだけ。
オフィス前で突っ立っているのも怪しまれるだろうから、少し離れたところにあった自販機で飲み物をかって壁に寄りかかって待つことにする。それから少し経った…200の小さいペットボトルを飲み切った時だから少しではないか。ともかく先生がオフィスから出て来た。
私のいる方向とは逆に向かったから、少し早歩きで先生を追う。こっちに来たら無駄に体力を使わずに住んだのにな。
先生が立ち止まったから
「先生…ですよね?こんにちは」と声をかけた。
私は何回か大人の顔は見たことがあるが、悪人のような雰囲気は感じ取れなかった。言葉遣いも、顔つきも、態度も…「善人」だ。
「真摯な大人」、それが率直な感想だった。
情報を引き出すためにも少しの間話をしていると、生徒会からの電話が鳴ったから、先生との会話を切り上げて学校に戻ることにした。
うん、彼は今のところは悪い人じゃない。けど、今後の行動に着目することには変わらない。
あのオーパーツを使いサンクトゥムタワーを奪還した……しかも、戦力的に劣勢な状況で奪還した実績は目を見張るべきものだとも思う。
もし敵になったら………厄介だね。戦う方針はやめた方がよさそう。
彼がいる限りは、少なくとも平和になるはず。私たちにどれくらい影響があるかはまだ未知数だけれど。
エガリテ学園:本作オリジナルの学校。詳細設定は後々
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