「やっほーメディスン」
「久しぶりね。何をしに来たの?」
「なんか当たり強くない?」
「そりゃ、会いに来て仲良くなったと思えばそれっきりの相手に優しくする道理はないでしょ?」
「スーさん仕込み?まあ僕にはわからんけどもね」
しかし新しい毒かな。足元がふらつく。メディスンの隣に座り込み、免疫を作ることに体を集中させる。僕の特技…と言うよりもメディスンの側にいることで得た荒技ともなるか。こう、毒を一気に吸い込んで…そのまま意識を少し薄める。ぼーっとだよぼーっと。前後感覚が不安定となり、ゆらゆら地面ごと身体が揺れ、メディスンが首を傾げた頃に体を起こす。どうやら免疫は作れたらしい、やったぜ。
「早くなったわね」
「最初の頃はまずメディスンの興味本位がなきゃ死んでたかもな」
「はぁ…いや途中で私も殺す気にはなったのよ。全部抗体つくし…」
「挙句には風見幽香に毒抜き。そんなもん」
「まあ、気に入ったのもあるけど」
一先ずは免疫を作れたからよしとして。メディスンとの会話を続ける。ちなみにだがメディスンが殺す気になった時期は僕も思い当たるところがある。僕はその頃メディさんの機嫌が悪いなくらいしか考えてなかったんだけど、どうやら本当に殺す気だったようだ。よく他の人が止めなかったな。毒気が強いから近づきたくなかっただけか。メディスンは自称人形で、それ繋がりでアリスとも仲が良いらしい。あいつ爆破させてた気が…
「あら、久しぶりに見たわね」
「風見〜」
「幽香で良いのよ」
「大妖怪さんだ」
「メディスンはまた毒を撒いてるの?植物から苦情が来てるのよ」
「…本当はゆーが心配なんでしょ?」
「バカ言わないで。私は貴女が人形や味方をするのと同じように植物の味方をしてるってだけよ。」
「何よ、じゃあゆーのことが心配つてこと?」
「…今の発言のどこを切り取ればそうなるの?」
何やら風見幽香には理解し難いことになっている模様。僕はそれを無視して地べたに寝転ぶ。メディさんの周りはいいぞ。虫が居ない。前日が雨でなければ心地の良い眠りを僕に与えてくれるのだ。嬉しいね。そんなことを言っていたら風見幽香が僕の横で同じように横になった。メディスンも。流石に僕が窮屈だ、起き上がる。と、僕の服を掴む手が二つ。それに引かれて僕はまた寝転がった。
「服に皺が付くから寝転がらないほうがいいよ」
「魔法でどうにでもなるのよ。貴女こそ、服の皺は大丈夫?」
「水浴びする時に一緒に取るから良いのよ。ゆー、また一緒に水浴びしましょ」
「は?」
「…風見、それは、そう、僕が水浴びしたいと言ったら連れて行って」
「その人形の裸を見た、と?」
「あはは」
「メディスン笑ってないで弁明してよ」
「…そうね。私を消してもゆーと一緒に水浴びしたって事実は変わらないのよ。それでも良いならどうぞ」
「っ…」
最近は色んな人と風呂に浸かってるけどね。それは言わずに場が収まったことを素直に喜ぶ。この二人、仲が良いのか悪いのか全然わからない。出会った最初の頃はここまで変に煽ったりする仲じゃなかったと思うんだけどな。なんだろ。心情の変化?まあ良いか。実際その心の変わり方が僕に良い方向に働けば万事良しなので。しかしそれはあまり期待できないことではあるのだが。なんて考えてたら風見幽香が僕を覗き込む。
「ところで…ゆーは最近他の女と一緒に入浴してるって聞くけど」
空気が固まる。緊張感でもあるが、その瞬間に空を眺めていたメディスンが生物としておかしいだろうという速度で首を横に振り僕を向いたのもある。ガンギマリの目で僕を見ないでもらいたい。怖いから。しかしおかしいな。噂は…そういや回す奴が僕の周りに多かったんだ。しかし噂が風呂に入るで止まってくれていて助かった。関係を持ったとか言われたら全力で否定することになるだけだがね。
「…入ってるよ。僕としては抵抗はないし」
「…そう。じゃあ、私たちと入りましょうか」
「えっ」
「それで良いでしょう、そこの人形」
「貴女とが気に食わないけど、満足ね」
「…え、じゃあ着替えとかいる?」
「ゆーなら別に裸で彷徨いても文句は言われないでしょう?」
「そうかもしれないけどさあ」
着替えを取ってくる。僕の家には衣玖がいた。天子を探し回っているらしい。僕の服がしまってあるタンスの前にいたのは追求しないでやる。感謝しろ。着替えを持って風見幽香の家へ。風見幽香の風呂は一度入ったことがあるのだが、なんと言うか…環境に良さそうだな、としか思えなかった。なんだろうかこの感慨というかなんというか、とにかくそう言うものは。僕もとうとうおかしくなったか。
「…んぅ…っ!」
「三人だと小さいわね、やっぽり」
「即席で大きく出来ないなんて、大妖怪もそこまでなのね」
「メディスン」
「何?」
「風呂場で騒がないで欲しい」
「あ、ごめんなさい」
「…そうね。確かにその人形の言う通りよね。空間を広がるわ」
どうやらそれも魔法らしい。魔法がどんなことにも使える免罪符と化している。魔法とは便利な言葉だな。僕はちょっと強くなるくらいしか使えないけど。空間を広げると言った通りに風呂場がみるみるうちに広がって行き、そうして三人同時に入れる風呂が出来上がった。メディスンは僕の隣を離れようとせず、風見幽香はそれを恨めしそうに眺めている様子で、僕が気まずいな?
「ま、私が後ろに回れば良いのよね」
「っひゃあ!?」
「っ…いきなり動かないでよ…飛び散った水滴が痛いんだから」
「あら、それはごめんなさい」
Q.なんでゆーは一緒に風呂に浸かって恥じらいとかないの?
A.そこらへんの感覚が切られてるだけです。夢の中では復活するけどね。