寵愛な幻想郷   作:覚め

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淡々と


そういうもの

聖やら紫やら、摩多羅やらの騒動から翌日。台所から物音がしたため覗いてみると、誰もいなかった。はて透明な妖怪にでも好かれたか。頭を抱えたがるが…それとは別の部屋も見てみる。この家の部屋は寝室と居間と台所と…後風呂場と脱衣所。縁側もあるにはあるが、使わないので省略。つまり隠れる場所はかなり少ないはずだ。たまに妖怪が謎の力で作ってたりするが、それは無視して考えるが、とにかく少ないはず。

 

「…誰かいるのかー?」

 

「いるよー」

 

いるらしい。もう一度台所を覗くと、何故か先ほどはいなかった…身長が僕の腰辺りの小人?がいた。…僕知らないぞ、この人。そんな感じで初対面な僕と小人だが、正邪の褒め言葉を介して僕は知られているらしい。正邪が?どんな悪口を言ったんだろうか。いやはやわからない…そうして机の周りに座らされ、机の上に皿が並ぶのを見る。僕は一体いつから対面すらしたことがない人を惚れさせる能力を手に入れたのか。

 

「さ、どうぞ!」

 

「ん、いただきます…の前に。貴女誰。この料理毒入ってないよね?貴女誰。」

 

「当然の質問で囲めば失礼な質問も当然の質問になると思った?」

 

名前を針妙丸と言うらしい。針妙丸。確か正邪の口からその名を聞いた覚えがある。小人とは知らされてなかったけど。そんな感じで僕は針妙丸の作ったご飯を食べる。本人曰く毒はないらしい。確かに美味しかった。そして唐突に変な事を言われた。もしも願いが叶うなら。小槌を振ることで叶えられる願いがあるなら、何がしたいか。要は願いを聞かれている。僕が叶えたい願い…んなもん無いわ

 

「欲、ないんだ」

 

「ないっつーか。そもそも僕はたいていの願いくらいは叶えられる」

 

「どうやって?」

 

「…語弊があった。仕入れられる」

 

「まさか正邪が本当のことを言っていたなんて」

 

「ちげーよ。正邪が何て言ってたのか知らないけど、僕は叶えられるだけ。叶えたいとは思わないし、叶えたいものは叶わないし。」

 

外の世界だとか、幻想郷だとか、そう言うのを別にして僕が叶えたいのはね…あれだ。こう、自分の家とか部屋にな、人が入ってこない生活だ。無理だろ?だって、あれだぜ。最近は減ったけど睡眠時間にも人と関わる時間ができたり背面蹴っ飛ばされた勢いで体が浮いたのなら摩多羅がいるし、異様に快適な寝心地で起きたら他人の家…僕の生活は何なのか。地域密着型の生活をしているんだろうか?

 

「…その、私もいきなり押しかけ女房してごめん…」

 

「謝んなって。飯作ってくれるだけ…まだマシだから」

 

「何今の間」

 

「いやー、そういえば飯作るやつ何人かいたなーって」

 

「えー…何それ、私の料理は上から何番目だったの?」

 

「全員出してくる飯の傾向が若干違うんだよな…でも割と上手い方だよ」

 

「はぐらかした?」

 

詰めてくる針妙丸が太陽を見て焦ったように去っていった。何かあったのだろうか。太陽の知り合いは流石にいないはずだが。うーん…あ、太陽が沈みかかってんのか。そりゃあ帰るわ。僕は布団を敷き眠る準備をする。どうやら今日は起きるのが随分と遅かったらしい。朝飯を食ったつもりが何故か夕飯だった。うーん、朝日だと思ってたのは夕日だったと。悲しみの中眠りにつく。

 

「…」

 

「夢の中でも眠ったフリですか?」

 

「フリっつーか、あれだ。ここに来ると寝た気にならないんだよ」

 

「そうなんですか。可哀想に」

 

「…やっぱドレミー嫌い」

 

「まあまあ。どうですか?今あの摩多羅隠岐奈が貴方の夢を見ているんですけど」

 

「まじ?…あー…やっぱいい」

 

「私も先ほど見てきましたが、こう…気持ち悪かったですよ。悪寒が走ったのは八雲紫の夢以来ですね」

 

「僕としてはそっちの方が気になるぞ」

 

さて案内を。そう思うのが早かったか、相手が早かったのか。僕は危害を加えられず、目の前のドレミーだけがど突かれる。ん?と思い横を見ると、摩多羅。あっやべっ。僕は2歩素早く身体を引いたのだが、その後ろに感触。摩多羅だ。少し顔が赤いのは夢を見られかけたからだろうか?それとも怒りからだろうか?ドレミーは油断しきっていた所をやられたらしく、どうやら気絶したらしい。あれ、僕は?

 

「…その、見たのか?」

 

「いや、見てないよ」

 

「そっちは?」

 

「見たって」

 

「…そうか」

 

「…どうするの?」

 

「知ってるか。漠は悪魔を食べるらしい」

 

「つまり?」

 

「私が今見ているこの悪魔も食べてもらう」

 

目が覚める。なんだろう、摩多羅が暴れたような気がする夢だった…さて、日はまだ沈んでいる時間に起きてしまったわけだ。どうしよっかな。僕としてはまだ寝たいが、悪夢を見る気がしてならない。一体僕が何をしたと言うんだ…何したんだろ…何もしてなくね。夜道をただただ歩く。この時間帯ならルーミアは起きているだろう。あんなことがあって…おおよそ2日か。朝起きてたら真っ先に感謝を伝えにいったんだけどな。

 

「ルーミア〜」

 

「は〜い」

 

「…お前のそのデカくなった理由って何だっけ」

 

「ゆーのせいだよ。それで?何?」

 

「いや、先日の礼をな」

 

「今ならチルノも起きてるよ」

 

「…夜更かしか?」

 

ルーミアは昼間に幼児体型で、深夜には大人体型になる。理由としては僕のせいらしい。このルーミアが何に匹敵するのかは知らないが、その気になれば昼間でもこの姿になれると言うのだから不思議だ。僕としてはどっちでもいいが。先日僕を救った時は大人体型だった。紫はどうやらそれを知らずに、驚愕していたようだが。

 

「チルノ〜一緒に飯食おうぜ〜」

 

「わーい!」

 

「…人、妖、妖精。三種族の口に合う料理があるの?」

 

「お前ら僕の作った飯なら美味いって言うだろ」




摩多羅「私とて乙女。頭の中を見られたくはない」
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