寵愛な幻想郷   作:覚め

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伝わらない悲鳴
伝えられる気のない耳


続・カウンセリング

「停滞は一種の安心だと僕は考えるんだ」

 

「進歩なき生物は滅ぶのみだと師匠は言っていましたが」

 

「…はぁ。」

 

また純孤さんのカウンセリングだ。なんなら昨日の今日だ。つまり2日連続だ。何故。自主的に来るようになったら傷つけずに日を空けさせる方法を思いつかなきゃならんのだぞ。また貧乏神姉妹に守って貰わねばならんくなるかな。それか招き猫。どっちにしろ無視してくるやつは一定数いるが、まあ、それはそれだ。僕としては人付き合いが面倒になる日もあるということだ。それに今日は正邪もいるからな。

 

「怖い!」

 

「帰れ、小娘。私とゆーのカウンセリングだ。お前のいる場所ではない」

 

「正邪、ワッペンは縫ったからさっさと行け」

 

「へーんだ!」

 

「大変ね」

 

「純孤さんの口調がよくわからない…」

 

またまた他愛のない会話。もうこれ優曇華とやってろよ。でも受けた以上そうするわけにもいかない。もどかしい…殺す…無理…。話していると雲行きが少し怪しい。シングルマザーは往々にして必死だとか悲哀さを感じさせるとかいうが、それとは別。そうだね。僕は察したんだけど、ちょっと怖いことになったね。こんなに早くなる人は久しぶりだ。青蛾さんくらい早い。

 

「…ゆー。嫌なら嫌と言っても良いの」

 

「なんです?」

 

「私と…養子縁組をしない?」

 

「…ん?」

 

予想の斜め上を掠めたのでよくわからなかった。僕と話すと心が安らぐ。話さないと心が荒む。私としても新たな一歩が踏めそう。その一歩として養子縁組を、とのことだ。えーと…ちょっと待てよ。とりあえず、僕確認することできたから確認するね?今の季節はまだギリギリ冬じゃないし、寒い気温でもない。ので、こういう時に便利な相談役、八雲紫に聞く。養子縁組って、僕がやっても問題ないよね?

 

「…養子縁組…いや、私のことを頼ってくれるのは嬉しいんだけど…相手が、ねえ?」

 

「いや、うん。僕もそう思う」

 

「まあでも、良いんじゃない?ゆーのお母さんになりたいと願ってる人妖はいないはずよ。世話を焼きたいとかはいるけど」

 

「わかったありがと」

 

「私を嫁とするのも良いんじゃない??」

 

「そこの妖」

 

「っ」

 

「私の子に手を出すつもりか?」

 

「純孤さん。こいつは一応相談相手としては有用なんだから」

 

「む、そうか」

 

…というわけで。養子縁組には前向きな返答で。しかし公の養子にはならない。なったら色々と面倒なのが湧くから。というわけで純孤さん、今日のカウンセリングは終了です。お引き取りを。あいや、純孤さんが嫌とかじゃなくて。あの、今日疲れた。優曇華は僕の寝室で何やってるんだ。怒らないから一緒に帰りなさい。帰って行ったな。よし。さてどうしてくれようか。僕はどうすれば良いのだろう?

 

「…しっかし、母親か」

 

「あの人も、お前を欲したのか」

 

「摩多羅は知ってるの?」

 

「まあ、憧れてはいる。なんだゆー、お前かあの人なら間違いなくお前を選ぶぞ、安心しろ」

 

「そっか」

 

「ゆーの母親はどんな人だったのか、気になるが聞いても良いか?」

 

「あー…実際のところ、ここでの暮らしが騒がしすぎて何も覚えてないんだよね。外の世界のことほとんど」

 

「ふぅむ…人里のあの妖の仕業か」

 

「人里?…あ、そうだ慧音さんに近況の報告。四季が変わるたびに言いに来いって言われてんだよね」

 

「そうか」

 

摩多羅を帰し、さっさと秋の報告をしに行く。人里を尋ね、慧音先生のもとへ。妹紅さんもいた。以前言ったと思っているが、僕は妹紅さんに告白されたことがある。キッパリと断った。数日間姿を現さなかったが、姿を現すようになってからは僕が断ったことをなんとも思っていないような素振りだったので僕的には助かっている。まあでもたまに出てくる人里に引っ越さないかという話には警戒するが。

 

「今回は少し遅かったな」

 

「忘れてたもんで」

 

「月一にするか?」

 

「しても良いが、付き合いは?」

 

「…僕が暇な日自体少ないからねー」

 

「不老不死になれば時間は無限だぞ」

 

「妹紅」

 

そう言われるも拒否。さては肝臓を食わせるつもりだな?そうは行かない。一時期人間不信っつーか人語を解すもの不信になってた頃に永琳にやられかけた。結局その肝が輝夜のものなのか永琳のものなのかは判明してないが、とにかく食わされかけた。問い詰めたら不老不死にしてやろうと思ったらしい。蓬莱人の気持ちってそんなもんだって。不衛生だろ医者としてどうなんだ。

 

「ん…そうだな。家の壁…北西の方角の壁が植物に変わったのか」

 

「妖怪の喧嘩ですよ」

 

「なるほど、ゆーらしい」

 

「私じゃ燃やすことしかできないからなぁ」

 

「燃やすの?」

 

「燃やさないよ」

 

「…この際博麗の巫女に結界を張ってもらったらどうだ?」

 

「可愛がってる妖怪が来なくなるでしょーが」

 

「あ、ああ、そうか…?」

 

全く、慧音さんも配慮が回らない。僕の家に入られたからと言って困ることはない。なんなら家の倒壊に関わるレベルの喧嘩なんか、外でやられても中でやられてもほとんど変わらない。被害規模によれば家が消し飛ぶ。僕も飛ばされるだろう。くそが。つまりは結界なんて張ったら遠くでやってるから大丈夫だと勘違いした妖怪に家を飛ばされかねないということだ。現に三度ほどあって、僕はその度に鳴る地響きに怯えてばかりだった。

 

「…苦労したんだな」

 

「かと言ってどこかに属すなと患者から言われてるし、ほんとどうすれば良いのか」




紫「属するな!属したら幻想郷終わり!!」
摩多羅「こっちに来い♡可愛がってやる♡幻想郷?一人の意思で壊滅する方がおかしかろう。早急に解決せよ」
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