寵愛な幻想郷   作:覚め

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渦中雨注


雨の中

「僕が頼んだのは萃香だけ。他は知らん。帰れ」

 

「しかし、結界を張れる上に神の加護を与えられるのは私だけで」

 

「じゃあその二童子は」

 

「わ、私の補佐だが?」

 

「ゆーがこわーい」

 

「まあ当然かな」

 

二童子を帰す。仕事しろ。摩多羅…お前はどうしたら諦めるんだ。美鈴は帰ったと言うのに。萃香は作り始めた。まさか喧嘩の正体が摩多羅一人のせいだとは思わなかったぞ。この野郎が。お前が言ったんだろ?『この家は私が建築する。故に全員消えよ』って。流石に度が過ぎている。僕の説教始まって何時間目だ?もう一時間超えたんだぞ。分かってんのか。萃香が建築終えて気まずそうにしてるんだぞ。

 

「まあまあ、ゆー。隠岐奈にそこまで言ってやる必要はないのよ?」

 

「なんだ紫」

 

「私たち妖怪と違って貴方が発する言葉には限りがあるの。なら、その言葉を隠岐奈に使うなんて勿体無いのよ」

 

「一応言っとくけど紫も同類だからな」

 

「えっ」

 

信頼の度合いなら摩多羅の方が高い。いつでも危険があれば僕の後ろ盾ならぬ後ろ戸となるだろう。対して紫はガチギレした顔で何か暴れる気しかしない。摩多羅はその分まだ冷静だ。多分な。二人を帰し、萃香に礼を言い、家に入る。その場で崩れるように座る。最近は物事の密度が、すごい。ドレミーに警告やら勧告やらをされた次の日にはこれだ。もうあの紅魔館はないと言うのに、夢で見たら信じたくなるのは何故だろうか?

 

「お邪魔します」

 

「あの二人の情けない姿、初めて見たわ」

 

「でしょうね、幽々子さん」

 

「盆栽を届けに来たわ」

 

「お、ありがとう」

 

「あの、こちらです」

 

「妖夢が持ってたのか…じゃあ幽々子のそれは?」

 

「私の分のご飯」

 

「なるほどね」

 

つまり今日は帰らない。ここに泊まるぞ、と言うことだ。アリスが家を訪ねに来たが、何故か臨戦状態の妖夢が追い返した。扉から先で少し見えた、何人かの横たわる体は無視することにした。そんなものを気にしているのなら僕はこの二人と一緒にいない。幽々子さんが僕の顎を唐突に掴むと、何やらモゾモゾと食べ物を。黄泉戸喫はいけない、妖夢に助けられることで回避した。

 

「…俺がそれを食えば、一応半端な死者にはなるんだがな」

 

「止めなければ良かったです」

 

「じゃあもう一回」

 

「ぬぁっ!?」

 

頭突き。流石に勘弁なさい。僕は席につ…席どうなってんだこれ…は…?動く…動くよな。座れるか…座れるわな。ただ、どうも椅子と認めたくない。何でこの椅子浮いてんの…?何かこう、あるだろ…理由が。萃香はどんな技術で僕の説教一時間ちょいの間に作ったんだ。これ、下に小さい萃香が大量にいてそいつらが持ってることで浮いてるように見えるとかないよな。…ないよな?

 

「ところで、いつウチに来てくれるの?」

 

「まだ言うのか」

 

「まあ聞いた時は紫がどうのこうのって誤魔化されたじゃない?だから今、聞きたいわ」

 

「何でも良いけど…僕がこの家を何度も建て直す理由がわかる?」

 

「いえ?」

 

「ここから動きたくないんだよな、要は」

 

色々と便利だから。そう付け加えて会話を切り上げさせる。僕にはそれだけで十分だと思えたのだ。幽々子さんに何かを任せるわけじゃないけど、相手に何かを言う余地を残せば地雷を踏むことはないだろうと考えている。ま、その結果今さっき幽々子さんに首を絞められかけたんだけど。理屈としては、動きたくないなら死んだ状態で持っていくから問題はないよねということだ。大アリだ。死ぬかと思った。

 

「知らないの?ゆー、貴方に恋した妖の中にはもう手段とか均衡とかを気にしなくなった奴がで始めたのよ」

 

「徒党でも組んだの?」

 

「…元から徒党を組んでいる者もいたわね。神霊廟、だったかしら」

 

「あそこは聡かったろ…」

 

「良いじゃない。恋は盲目、よ」

 

「見えなくなるってのは怖いだけだ」

 

神子達が僕を捕まえに来る。それならば今僕がこうしてこの場にいることはおかしい。つまり摩多羅や紫、華扇あたりが制してくれているのだと思える。ちなみにだが、以前会ったときは青蛾の件で謝られた。それはどうでも良かったな。後ろの二人が僕のこと怖い目で見てたから。怖かったな、絶対に流さないと言う目だった。慧音さんが助けてくれなければ僕はあのまま連れて行かれたことだろう。謝礼の名目で。

 

「…幽々子さん、玄関先で転がっていたのは?」

 

「紫と摩多羅神が帰った後に出てきた泥棒猫達よ。神霊廟の奴らじゃなかったわ。全員見覚えがあったわよ」

 

「射命丸文と鈴仙、それに加えて天人もいました」

 

「まあ、なんてこと。とにかく、紫達は味方のままにしておきなさい。」

 

「そりゃまたなんで?」

 

「私たちが本気になればご飯を無理やり食べさせることができるのにそれをしない理由だからよ。怖い顔されたら悲鳴が出ちゃうから引っ込みなさい、紫」

 

「悲鳴?過去を一度失くした貴女が?」

 

「関係、ある?」

 

「ないわ」

 

妖夢が僕の前に立つので危ないから下がれと服を引っ張り僕の後ろへ。妖夢が前に出ようとするのを手で制しながら2人の間に入る。ここで喧嘩するな。また家がなくなるだろうが。そう言った途端、僕の両腕に危機が。右腕には幽々子さんが出した死を呼ぶ蝶、左腕がさっぱりと入ったスキマ空間。蝶は触れたら死。スキマも閉じればスパンと切られる。手をどちらも引っ込ませる。

 

「危うい危うい」

 

「きゃ、妖夢も怖い顔できるのね」

 

「小娘が」

 

「紫?」




幽々子の蝶で死んだらどうなるの?
幽々子の支配下となり成仏できなくなる
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